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クラゲに会いたい

感情のあるクラゲ。少しずつ、不定期に投稿して行きます!

今年中に、小説一冊分の量で完成できればと思っていますので、応援お願いします!

「那覇空港に着陸しました。ベルト着用サインが消えるまで、シートベルトを締めたままで……」


 アナウンスからの着陸の知らせ。

 それを耳にすると、後輩から預かったお土産リストをしまい込み、荷物を纏め、乗務員の指示に従う形で飛行機から一歩を踏み出す。

 その時、私の眼前に広がっていたのは透き通った美しい海。

 誰もを魅了する、優しい沖縄の海。美しく、それと同時に毒を持った海。

 恐らくは数年ぶりに目にする沖縄の海に、心が強く騒いでいるのを感じる。

 それと同時に、自然と彼女の言葉を思い出す。


「クラゲって知ってる?」


 その言葉から始まる彼女の話。

 クラゲの特性。クラゲの生態。クラゲの豆知識。

 楽しそうに、寂しそうに言葉を綴る彼女。

 彼女は一通りの説明を終えると、毎回同様の言葉で説明を締めくくる。


「だから、あたしはクラゲになりたい」


 単純な言葉。それでいて理解できない言葉。

 彼女はその言葉を放つと同時に、優しくニッコリと笑う。

 彼女と共に過ごした、ひと時の時間では、その言葉の真意を理解する事は出来なかった。

 しかし、数年、十数年もの時間を必死に生き抜いてきた今ならば理解出来る。


 彼女はきっと……。


 ふと、我に返ると、搭乗橋を塞いでしまっていた事に気が付いた。

 後ろに並んでいる男性に謝罪の言葉を済ませると、急ぎ足で前へと進んで行く。

 

 あの夏から数十年。

 この夏、私は再度クラゲに出会う。

 君が憧れた、君がなりたいと願ったクラゲに。


 心の奥底で、君というクラゲに出会えることを祈りながら。

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