第7話 ゴブリンZとの邂逅
実戦経験を積むため、両親に見守られながら、ゴブリンの1つの小さな群れを討伐することとなった。
両親からに説明によると、ゴブリンは最悪な性格でこれまでの人生で1回しか善良なゴブリンをみたことがないらしい。
仲間意識がとても強く、魔物の割には頭もいいため連携をするが、リーダー格の者が倒されると、仲間を殺された怒りと、指揮者が居なくなったことで連携も崩れて討伐が容易になるらしい。
リーダー格は、赤いバンダナのようなものを付けていて、分かりやすいが、リーダー格ということもあって頭もよく、仲間に自分を守らせたりとかしてくるっぽい。
それらを頭の中で反復させた後、気を引き締めて森の中に入る。
すると、両親が事前に言ったように気配を消し完全に見えなくなった。やはり実力がやばいんだなあの二人。
まず、ゴブリンを探すため、音感知を使用する。
すると、森のありとあらゆる生物の音が感知出来た。これでエアロスミスごっこができるな。
虫などの音とは違う大きな複数の音がある方向に歩いていると、ゴブリンが5匹いる指定の群れが見つかった。
足音を軽減する軽足と、見つからないように隠れ身を発動する。ゴブリンの姿を見てみると、よくファンタジーものである、緑色で醜いゴブリンだった。
だが、1つ想定外な事があって、それが、予想以上に怖くて、あまり踏み出せないということだ。
これならもっと小さいころに実戦経験を積んでおけば良かったかも。
だが何時までもこんなことは出来ないので、とりあえず、土魔法の石つぶてを使って遠くに物音を立てる。その後風魔法の風起こしで物音を立てた周辺の草を揺らす。
これでバカで愚鈍なゴブリンどもは、獲物であるレッサースモールラビットがいると勘違いしたはず。そのあとに、仙技の気誘導でゴブリンの一匹をこちらに誘導する。
そして風魔法の音無しを発動し、群れから見えなくなった所で、両親から渡された銅の片手剣で、袈裟斬りにする。
ゴブリンを確実に一刀両断出来るよう、仙術の念動でカタパルトのようにして放つ。
よし、できたぞ。ここで、リーダー格さえ倒せばいい事を思い出す。いや、だけどリーダー格は頭がいいから群れ全員できるのでは?やっぱりやめとこう。
先程の作業をもう1回しよう。気誘導、音無し、袈裟斬り、はい終わり。
すると、仲間が2人居なくなった事で、異変に気がついたようで騒いでいる。
そして、リーダー格が残り2人の仲間に自分の護衛をさせているので、土魔法の泥濘を発動する。そして、足まで泥に使ったのをみて、土魔法の泥固めで泥を固定する。
後は首チョンパするだけ・・・なのだが、最悪だな。リーダー格のゴブリンと取り巻きゴブリンが進化しやがったよ。
ここで1つ解説しよう。魔物には進化のツリーがある。ホブゴブリンに進化してゴブリンキングやゴブリンジェネラルを目指す道、小鬼に進化して大妖怪や鬼に進化する道、ゴブリンシャーマンに進化してゴブリンゴースト等に進化する道、ゴブリンは生命力がとても強い為、進化のツリーも膨大な数がある。
その進化のツリーの中でも、勿論当たり外れあるのだが、今回のゴブリンは当たりも当たり、大当たりのゴブリンZという種に進化、いや、真化してしまったようだ。
ゴブリンZ・・・
それは・・・今まで進化できなければ雑魚、進化しても単体では雑魚、そんなゴブリン達全ての救世主。それがゴブリンZである。ゴブリンZは端的に言うと仮面ライダーみたいな格好をして、仮面ライダーみたいな技を振る完璧で究極のヒーローなのだ。
ゴブリンが進化したな。あれは・・・仮面ライダー?なんかエグゼ〇ド?だったかな。あれのチビデブ状態緑バージョンみたいな見た目だ。
見た目だけではなく、更に存在感も増している。ん?何か奇妙なポーズをしてるな。?!変身している?!ここは攻撃せずに見守っておこう。
うーん、シュールだなぁ。子供の頃に見たやつとかは効果音があったから派手出かっこよかったんだけど、これはゴブリンだしCGも無いからクッソシュールなんだよなぁ。お、変身終わったようだ。なんか周りのゴブリンも応援してないか?
天まで高く飛び上がった?これはあれか!ライダーキックか!とりあえず、危なそうだし仙気を全開放したらいけそうだな。
ゴブリンZとに向かって仙気を全開放してぶっぱなす。
うーん、減速はされたけどまだ危険だろうな。
「風魔法、ウインドカーテン!」
ウインドカーテンは、そのまんま風のカーテンだ。よし、更に減速したな。あとは、串刺しになるように銅の片手剣を構える。
うっ!串刺しになってないな。なんか押されてないか?こいつの足強すぎだろ!
――――――――――ヒーローとは背負うものがある。だから負けないし負けられない。
――――――――――ゴブリンZはか弱く愛すべきゴブリン種達を護る。だからめげない。
――――――――――ゴブリンZの必殺技、ゴブZキックは己の全身全霊と仲間達の希望をかけ、死に物狂いで放つ技である。だからゴブZキックは止まらないし止められない。
「いぃぃギィやぁぁぁ!!!!(仲間達を守るんだぁぁ!!!)」
死んでくれ死んでくれ死んでくれ。て言うかゴブリンが進化とかしなくてええねん。
「鬼技 麻痺吐息!」
麻痺する吐息を吐きかける。そして俺の今の最大威力の技、
「鬼技 吹鬼出露!!」
鬼技とかは1番今の所扱い下手かもしれないが、威力っていうか吹っ飛ばし力に関してはこの技が1番かもしれない
そしてこの技は、相手の技の素早さや威力に比例して吹っ飛ばし力が上がる。減速したり、物凄い量の魔力を身体中に巡らせて押し負けるのだ。俺はまだガキだが身体能力上昇に関しては自信がある。とてもとてもとっても自信がある。
吹鬼出露で吹っ飛ばされているゴブリンZを見てみる。アニメみたいな吹っ飛びかたしてんな。え?え?え?いや予想以上に飛んでんだけど・・・
国跨ぐのを疑うレベルで飛んでね?星になってて草。飛んでいる方向は南西で、ここはサラナザル王国というのだが、南西の方角だとミミニャアという猫がいっぱい居そうな国だ。ミミニャアの更に南西に行けば砂漠とかがあるらしい。
ミミニャア王国に住むとある住民・・・
ふ〜、畑仕事も今日の所はひと段落ついたか。家に帰って娘でも抱くか。いや、パパ汗臭いとか言われたらやだな。一風呂浴びる・・・か?なんだあれ!流れ星が降ってんなぁ!こりゃ貴重だべ!あ、おっと方言出ちまったぜ。
古来より流れ星が出たら願い事3回唱えるって決まってんだ!2人目の子供が欲しい!2人目の子供が欲しい!2人目の子供が欲しい!やった!言えたぞ!フォーーー!!!
すぅっーー、おら、何やってだべさ?まあちゃっちゃと家にでもかえるか。
見慣れた木製の家の鍵を開け、見慣れた玄関をみる。
「あ!パパ帰ってきた!わーい?バパ汗くさー」
はは、汗臭いって言われちまったよ。ぐすん。
すると、焦っているような、喜んでいるような紅潮した顔で妻が走ってくる。
「お父さん!2人目の子供が宿ったわ!!」
え?・・・
ヴィオリカ視点・・・
さて、ゴブリンZとかいう訳わかんない邪魔者は消えたと・・・
あとはお前らだけだな!ただのゴブリン共が!ゴブリンZと少しだけやり合って経験を積んだ俺から逃げれるかな!!
泥沼、泥固め、はい終わり。首チョンパ首チョンパ。
そして、討伐証明の左耳と魔石を解体してアイテム袋へと収納する。
そして、両親からは街まで戻って、もう1つのスモールボアの依頼を終えたら成功と言われたため、音感知と軽足、隠れ身を使用して森でて、街の門を潜って冒険者ギルドに証明の左耳と魔石を受付嬢に渡す。
そしてスモールボアの依頼も受ける。実は、先程の帰り道でスモールボアの居場所は把握しているのだ。
スモールボアは現実で言うと、ゴールデンレトリバーとかが2回り大きくなった程度だろうか。
とりあえず、油断しているスモールボアを土魔法と泥濘と泥固めを使い、行動不能にしてから、首チョンパする。次に、討伐証明の角と魔石をとり、アイテム袋に入れる。そして最後まで油断せずに、森を出る。
ここで両親が姿を表した。
「ヴィオはやっぱり僕ににて慎重派だね!」
「くっ……ヴィオリカちゃんは私に似て一気に掃討すると思ったのに、ぐぬぬ」
この2人は何を争っているのだろうか、と呆れの目を向ける。
「けど、ゴブリンZはまだしもヴィオの実力だったら、あんなんせずに特攻して倒せたと思うんだけど」
「入学試験は1人で行かなきゃ行けないんだから、慎重にやった方がいいでしょ。」
「ほら、やっぱり慎重派だよ」
と言い、ロザートに肘でつんつんとする。
「あんたはいっつも夜にあたしに負けてる癖に、勝って余程嬉しいのね。」
と小声で言う。いや聞こえてんだよなぁ。父さん情けねぇ。
アンパンマンは、やられてもその後元気100倍になってバイキンマンを倒しますよね?そして、ゴブリンZは死んではいません。また必ずリベンジしてくる日がくるでしょう。
因みに、ミミニャアに住む住民というのはゴブリンです。ゴブリンZはゴブリン達の希望を叶える者なので夢が叶いました。誰も人とは言ってませんからね。