第43話 壊蘭罰敵 その四
タイトルを、堕っこち悪魔と超新星爆発から変えました。自分ネーミングセンスが無さすぎる。
某Reからはじまる死に戻り系の作品とか、世界に祝福するやつとか、タイトルとして覚えやすいの良いなと思った。
タイトルの候補は色々あったんだけど、ヴィオリカの不思議な冒険とか、星歌のヴィオリカとか、他作品と類似してるのが多すぎで、結局星歌とヴィオリカに落ち着きました。
◇
このガキ・・・
中々楽しめたな。出来ればもう少し育てて一流の戦士にしてから殺りあいたかったが、”あの方”の命令だからな、仕方ねえ。
(この異様な雰囲気は何だ?先程から身体も重い・・・)
先程から辺りには異様な雰囲気が漂っている。何処か鬱屈としており、壁を照らす苔の隙間の闇は何処か吸い込まれそうな気持ちにさせる。
(ッ...!?ヴィオリカが居ない?!)
一瞬目を離した隙に、ヴィオリカが消えた。気配は確かにそこに残っているのに姿が見えない。魔力も感じられ無いため魔法でも無い。
(何処だ?何処にいるんだ?死んでダンジョンに吸収されたか?いや!それじゃ俺が気づくはずだ。まさか?!魂魄闘技の覚醒か?!だとしたらどんな能力だ?観察だ。観察するんだ。)
カンムは焦り始めた思考も無理やり冷静に戻す。魂魄闘技の覚醒であるならば、もし魂魄闘技の能力が凶悪であった場合、ジャイアントキリングも余裕なのだ。魂魄闘技とは、それ程までに警戒すべきものである。
カンムは目を瞑り、視覚を遮断する。目で見えないのならば、聴覚を、触覚を、嗅覚を、本来ならば人類から奪われたはずの第六感を使えば良い。
(3時の方向から何か飛んでくる!!)
正体不明の物凄い勢いで飛んでくるナニカを拳で弾き返す。が、カンムの拳は甚大なダメージを追っていた。そのナニカの勢い的にも、カンムのあまりある頑丈さを考慮しても、本来ならばそのようなダメージは負うはずはないのにだ。
(あのガキ、これは本気でやらないといけねえな。今まで手ぇ抜いてた訳では無いが、本気じゃあなかった。勝てる確信があったからな。油断とかじゃねえ俺の今までの経験、歩んできた道のり、努力を考慮しての確信だ。だが、今となっては魂魄闘技の覚醒したあのガキには負けるという可能性が生まれた。これは流石に本気で行かせて貰う。まあ、いつだって気持ちの篭ってないバトルは勝っても気持ちよくねえもんだしな。)
◆
(はあ...はあ...くそ...このまま負けてしまうのか?...)
残りHP5
残りHP4
残りHP3
残りHP2
残りHP1
瞬間、ヴィオリカは走馬灯を見た。
(何だこの記憶は・・・)
その走馬灯に流れた記憶はヴィオリカの脳内には存在しない記憶である。それはヴィオリカの知る由もない他人の記憶で、それも複数人だ。
金銀財宝に包まれて窒息する光景、モンスターに嬲り殺しにされる光景、小さな少女が複数人に犯され、果てには意識がある状態のまま首を切られ、その後の死体すらも弄ばれる様子やモンスターの餌にされる様子を見させられる光景、様々あったが、中には人を不愉快な気持ちにさせる光景も少なく無かった。
その走馬灯の次に襲ってきたのは、自分に対する酷い憤慨である。なぜ、この者達を助けられなかったのか、なぜ、このような酷い事をした者を断罪できなかったのか、そんな自分に対する憤慨である本来ならばこのような事など他人事としか思わないヴィオリカがである。
次に襲って来たのは、哀しみである。可哀想、助けてあげたい、代わりに死んで上げたい、などである。
その次は愛憎である。俺イケメンすぎだろ!俺頭よ!俺優しすぎるだろ!俺が憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。
様々な感情がヴィオリカを襲った。その度にヴィオリカは心が折れ、廃人になりそうになるが、耐え続けた。言い訳をし続け、逃げた。その度に、セツナ、今世の家族、前世の家族、前世の友人がヴィオリカの事を避難した。
そんな事を延々と続けていると、ついにヴィオリカの心が折れた。廃人となったヴィオリカの魂が、何者かによって0,00001秒が何億倍にも、何兆倍にも、何京倍にものばされた時間をさまよった。
・・・
ヴィオリカの魂が廃人となってから、かなりの時間がたった。すると、恐らく時間がこんなにも延びた原因であろう人物が現れ、ヴィオリカの魂を修復した。ヴィオリカの魂は、大きく欠けていた。その欠けを道蘭嚥下の猛窟内で悲惨に死んだ者の魂で補い、1度ヴィオリカの魂を壊し、自ら修復する事で、今後どのようにしても壊れないように補強した。
その補強された魂は、魂魄闘技を会得するには十分過ぎるほど強くなっていた。その魂がその変化に完全に適応した時、時は通常の時間に戻った。
(何だ?!身体が鎖になった。魂魄闘技が覚醒したのか?それに、HPも満タンになったり他のステータスも大幅に上昇している。)
ヴィオリカの身体が瞬時に灰色の鎖へと変化した。その上、生まれた時から動かせるかのような自然さで身体を動かせるようだ。
ヴィオリカは瞬時に部屋中に鎖を這わせる。そして、困惑しているカンムに向かって鎖を突撃させる。
(これが・・・魂魄闘技。物凄い力だ。でも、鎖ってちょっと地味な気がしなくも無い。もしかしてあれか?俺が鎖デスマッチとかやってたからこんな能力になったのか?まあいいや。)
攻防を繰り広げているうちに、カンムも慣れてきたようだ。徐々に鎖の1部を握り潰したりしてこちらにダメージを与えてくる。
少し攻め方を変えていこうか。鎖をどんどんと枝分かれさせ、カンムの周りを八角柱の形にして囲む。そして、四方八方から攻撃を与えまくる。時には一直線に、時には鞭のように鎖をしならせた。
カンムは着実に疲弊し、消耗してきている。だが、カンムも一筋縄ではない。カンムの殺意は鎖の攻撃を捌くうちにどんどんと洗練されていき、黎明発破による効果で己へとバフを課した。
「汝よ、気を研ぎ、意識を澄ましたまえ。かの霊障は沈み、空は堕ち、天は廻った。そして、解を探求せし猿は笑った。道は出来た、進みたまえよ、と。今、道遠き全てが集結する時。集え!堕廻点:凛集超徒」
カンムが堕廻点:凛集超徒と唱えた時、周りにサルに見えなくもない鬼が現れた。鬼は小さく矮小だが、持つ力は凄まじいものだと人目でわかる。
鬼はあろう事か、鎖を齧り始めた。すると、瞬く間に鎖は全て食われてしまった。鬼も力が強化されているようだ。
「幾重にも来る災厄を払い、鐘がなる。鐘に呼応する汝、破滅の時は訪れる。堕廻点:破乱凪弩」
猿が突如爆散した。周囲は荒れ果て、ここ一帯だけが爆撃を受けたかのようになっていた。
HPを見ると、全快した筈なのだがかなり減っていた。残り7分の3と言ったところだろうか。
そろそろ姿を見せてやろうかと思い、鎖で自分の姿を形成した。
「たった今覚えたばかりの能力で楽に勝とうと思っちゃいねえが、勝たせてもらうぞ。」
「はは!ガキが言うじゃねえか!じゃあ、本気のマジのマジのマジの殺意で行こうじゃねえか。黎明発破!魂激空間展開!!実はこれな、俺がいる空間だけに展開出来んだよ。俺以外に殺意を競合する相手が居ない場合、俺にバフが施される。面白くない、実に面白くないが、行かせてもらうぞ!」
再度構えて、啖呵を切る。
「ぶっ殺す!かかってこいよカンム!」




