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まあだだよ

作者: 風音紫杏

<あとがき>

 こんにちは、風音紫杏です。「消しゴムマニアの末路」及び「毒舌令嬢が幸せになるまでの物語」も読んでくださっているような方は、おそらくいい加減にしろ!とでも思っていらっしゃると推測されますが、いつも通りあとがきから始めました。たとえ、これが本来、「まえがき」と呼ばれるべきものでも、作者が「あとがき」だと言えば「あとがき」なんです。というわけで、これは「あとがき」になります。初めましてな方は、「消しゴムマニアの末路」のあとがきを読んで下されば、だいぶすっきりすると思われます。思わなかったらごめんなさい。あとよければ本編も読んで下されば、とてもとても嬉しいです。喜びの舞を踊ります。(やめとけ)ついでに、「毒舌令嬢が幸せになるまでの物語」も読んで下さればもっと嬉しいです。さらに踊りまくります。(だからやめろ!)

さて、本作品は、この小説家の卵子たる私が、唐突かつ無謀にも応募した、「夏のホラー2021」というコンテスト用の作品です。

実を言いますと、私、怖い話、メッチャ苦手なんですよ…なら何でホラー作品を募集するコンテストに応募しようと思い立ち、ホラーを書こうとしたんだ!と、突っ込まれるところですが、当の本人がそこのところ、よくわかっていないもので…強いて言うなら、コンテストに応募してみたい!という気持ちがあったからなのでしょうか…?

よくわからないことが多すぎる、ごちゃごちゃした内容のあとがきでしたが、ここで終わります!(唐突)それでは本編をどうぞ!

<まあだだよ>

「かくれんぼしようよ。」

一週間前にやってきた転校生、香穂かほに、急に公園に呼び出されてきてみれば、彼女はこんなことを言ってきた。夏休み前とはいえ、7月中旬の公園は暑い。セミの鳴き声が大音量で繰り返し繰り返し聞こえてくる。この声を聴くだけで、暑い。美枝乃香穂みえのかほ。彼女は、友人とも積極的に会話をしたりせず、移動教室の時なんかも一人で行くから、気が付いたらいたり、ふとした瞬間いなくなったりと、マイペースな彼女。しかし、どこかミステリアスな雰囲気を醸し出す彼女が、そんな提案をしてきたことに、少なからず驚いた。まして、普通、かくれんぼなんて、中1にもなった女子が、家で妹や弟と一緒にやるならともかく、公園まで行ってやる遊びじゃない。それよりも、クーラーの効いた家で、ゲームでもしていたい。SNSの返事もしないといけないし、メールだって、もう2時間程チェックできていない。かなりたまってしまっているはずだ。そもそも、クラスでもあまり話したこともない私に、何故連絡なんてしてきたのだろう。そんなことを思って、ここはお断りすることにした。

「せっかくだけど…ここじゃ暑いし、やめておくね。」

「大丈夫。すぐ涼しくなるよ。」

そう、にっこりと笑って言う香穂。彼女の笑った顔を見るのは、初めてだ。学校では、少なくとも私が見た限りでは、香穂が笑ったことは、一度も、なかったから。何故このタイミングで笑顔を見せたのか。意味が、分からない。

「どういうこと?」

思ったことをそのまま問いかければ、ますます笑みを深める香穂。

「すぐにわかるよ、美沙みさちゃん。」

気味が悪い。香穂はいったい、どうしてしまったのだろう。

「どうして、かくれんぼがしたいの?」

質問を変えることにする。理由がわかれば、断り方も見つかるかもしれないし、ないとは思うけど、仕方のない事情があったら、付き合ってあげてもいいと、そう、思って。

「理由なんて、どうでもいいじゃない。とりあえず、やろうよ。」

返ってきた言葉は、予想外のものだった。こんなことを言われると、返答に困る。気が付けば、

「う、うん。一回だけなら…」

と。そう、返事をしていた。

「ありがとう!嬉しい!」

そう言って、また笑う香穂。その可愛らしい笑みの裏側に、美しい瞳の奥に。何かどろどろとした、真っ黒な何か。一瞬、そんなものが見えた気がした。でも、彼女の笑みは噓じゃない。純粋に、喜んでいる。ただ、その喜びが、ねじれて、歪んだ喜び。そんな気がした。

「じゃあ、私がかくれるね。もういいよって言うまで、目を閉じててね。絶対だよ。数は…そうだなあ、10秒数えてくれたらいいや。もういいか~いって言ってね。」

そんな、言われなくたって誰だって知っているルールを、何故説明し直すのか。聞こうかと思ったが、やめる。そんなことより、早く終わらせて帰りたい。

私は頷いて、後ろの木に体を押し付け、目をつぶった。

「1,2,3,4…」

ゆっくりと、数を数えていく。あまり早く数えても、結果的にもう一度数えることになると、時間の無駄だと思ったからだ。

「…9,10。もういいかい?」

目を閉じたまま、決まり文句を口にすれば、

「まあだだよ」

という返事が返ってくる。少しため息をついて、もう一度、1から数えていく。

これが、10回繰り返された。だいぶイライラしてきたし、足元もふらふらする。意識も朦朧としてきた。熱中症の兆候だろうか。さっさと終わらせて帰らないと、下手をすると倒れる。

「まだ!?」

怒気をにじませ、声を張り上げて聞く。我慢できず、振り向いた。

そこには、香穂がいた。気配も何もなかったのに、そこに。

「もういいよって言うまで、振り向かないでって言ったのに。」

口調こそ穏やかで、漫画やアニメで言うと、ぷうっとほほを膨らませている絵が似合う声だったのに。口元だって、笑っていたのに。その目は、氷のように冷たくて。背筋が、凍った。何か言いたいのに、声が、出ない。動こうとしても、金縛りにあったかのように、指一本、動かせない。そんな、白昼夢なのだろうか。否、そんなわけはない。現に、暑さや、蝉の声、額から滴る汗の感覚も、私以外の時間が、動いていることだって、わかる。

「涼しくなるって言ったでしょ。」

彼女は、こう、言った。

「もっと先のことを指したつもりだったんだけどな。」

この先に、何があるの?

「私ね、あなたから、魂をもらったんだ。」

え?

「今、ふらふらしてるし、意識だって、何回も飛びかけたでしょ。魂がなくなって、記憶だけが体に残ってる状態だから、その記憶を頼りに、必死で立ってられるみたいだけど。」

噓?

「噓じゃないよ。私ね、病気なの。俗にいう、不治の病ってやつかな。本当なら、もう、死んでるの。でもね、家族は私のために悲しんでくれた。私を助ける方法を、必死で探してくれた。そして、見つけたんだ。悪魔と契約して、寿命を延ばす方法を。私の一族は、霊感がある人達ばっかりだから、直ぐに悪魔を呼び出せたんだ。それで、悪魔は教えてくれた。私と、限りなく魂が近い、美沙ちゃんの存在を。それで、あなたに近づいた。ああ、安心して。あなたの記憶なんか必要ないから、それは残してあるよ。まあ、もう終わりだけどね。」

どんどん意識が遠ざかっていく、否、切り離されていく。

                     ・

                     ・

                     ・

倒れている美沙ちゃんの体をおこして、呪文を唱えた。悪魔が出てきた。いや、使い魔か。まあいい。その使い魔に、空っぽの、記憶だけが刻み込まれた美沙ちゃんの体を渡す。これで、儀式は完了。今日で果てるはずだった私の命は、何倍も生き続けることができる。最後にかけるはずだった、美沙ちゃんのことを誰からも忘れさせる呪い。美沙ちゃんが振り向いちゃったから、かけられなかった。だから、しばらくニュースでは、行方不明になった少女のことを放映するのだろう。まあ、大した問題ではないが。さあ、転校の手続きをしないとね。私はそんなことを考えながら去ろうとした。後ろに、冷たい笑みをたたえた、私の魂を握りつぶしている悪魔と、笑っている美沙ちゃんがいることに、気づかずに。

蝉がひっきりなしに鳴いている、暑い7月の公園で。一人の少女の命が尽きた。寿命通りだった。

                                             END

<あとがき2>

 おひさ!数分ぶりですね!風音紫杏です。書きあがったのですが…全然怖くないですね!やっぱり私はホラーには向いてなさそうです(泣)いつか、もっと怖い話が書けたら再チャレンジしたいですね。でも、そうなったらそうなったで、チェック中に私が怖くなって結局投稿できなさそうなので、おそらく無理だと推測されます。

ここで、一つ告白しておきたいことがあります。実は、この「あとがき」と、「あとがき2」は、投降した後に付け足したものなのです!私は、読者様に大きめのインパクトを与え、「風音紫杏」という作者のことを覚えてほしいという願望(野望、陰謀とも言う)から、あとがきを本編の最初につけるということをやっていたのに…すっかり忘れていた自分を殴りたくなりました。というわけで、今こうして「あとがき」と、「あとがき2」を書いているわけであります。全然興味ない読者様!いらん話をダラダラ書いてしまい、誠に申し訳ございませんでした!!!

では、またどこかで読者様が私の書いた小説を読んで下さること、読もうと思って下さることを願って。

                                            風音紫杏

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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章力が凄くて怖さがマシマシでした。物語のラストの書き方でちょっと冷や汗出ました。 [一言] 普段とは少し毛色の違う作品で面白かったです!
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