ピンク色のブローチ
誰かに取られる夢を見て
胸がこんなにも熱くなる
私だけじゃなくて
みんなに優しいキミ
誰よりも、誰よりも、誰よりも
積み上がっていくキミへの思い
激しい鼓動が私にそそのかす
今すぐ手に入れなさい
キミの顔、キミの背中、キミの骨格
キミの情報を集めれば集めるほど
私の心は高なって、高ぶって、高まっていった
鉛のようなご飯、モノクロの世界
喧騒に取り残されて
ブラックホールに飲み込まれる
私もこのセカイからいなくなれば
キミのもとへ行けるのかな?
魂の抜けた人形の瞳の中で
細い銀色の光が反射する
くすんだ机の引きだしから出たのは
ピンク色に輝くブローチ
迷ったときの道しるべだった
瞳から零れた黒い雫が
ブローチにかかって現れたのは
花が咲いたようなキミの笑顔
嘆き、苦しみ、悶絶
そしてうなだれる
床から跳ねるその液体は
純粋な青色の雫に変わっていた