表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/22

17.再び


オフ会と言ってもリフレインのオフ会など、ただ知らない人とぎこちない雰囲気で飲み食いする場だと思っていたが、どうやら少し考えを改めないといけないようだ。



二時間ほど話をして俺なりに参加者を観察した結果をお話したいと思う。



──一人目、幹事の男性。


銀縁眼鏡をかけている、背の高いイケメンだ。

物腰の穏やかな人で、話す言葉も丁寧で男の俺からしてもイケてる人だと思う。

歳も俺と近いらしく、アラサー男子の虚しい会話に花が咲いた。


詳しくは聞かなかったが霞ヶ関で働いているらしく、『最先端科学技術支援庁』略して最支庁のお役人だそうだ。

リフレインに関する部署にいるため、そのルートでたまたま手にいれた事がキッカケでのめり込んだらしい。


非の打ち所のない完璧超人なのに、どこか影を感じるのは何故だろうか。

というか、国がリフレインの使用を控えろって言ってるのに、官僚のアンタが使ってていいのか?




──次、喫茶店にいた二人。


二人共女性で、俺より少し年上だと思う。年齢は聞けないけど。

喫茶店の話はあえて持ち出す気はなかったが、相手も特にその話題には触れてこなかったので無難に会話をする事が出来た。

言っちゃ悪いけど、ルックスも中身も典型的なモブキャラだと思う。




──四人目、宇多田さん。


この子はもう、出会った時と印象は全く変わらない。

天真爛漫とはこの子のためにある言葉なんじゃないだろうか。


山梨の田舎町に住んでいるらしく、狭い環境と狭い人間関係にうんざりしていて、早く卒業して東京で働きたいんだそうだ。

だからリフレインにハマってるのかもしれない。


ちなみに彼女、花もときめくJKである。

犯罪じゃないか!


背は150cmそこそこしかなさそうだが、華奢な割に程よく主張した凹凸が何とも悩ましい。

薄い茶色の髪の毛(地毛らしい)をツーサイドアップにしていて少々あざとさが残るが、それがまた何というか、とても良いのである。


地味な顔立ちではあるけれど、洗練されたパーツはきっと化粧したら文字通り『化ける』んじゃないかと思う。



──最後、逢沢美鈴。


今更紹介するのもあれだが、ツンデレだ。

基本的にクールを気取っているけど、実は面倒見が凄い良くて内心では尊敬している。


見た目はクオーターならではの派手さがあるが、本人は気にしているらしく化粧も本当に申し訳程度だ。俺はそれはそれで良いと思う、いや、最高だと思う。


聞いていると衝撃の事実ばかりなのだが、彼女は高級マンションに一人で住んでいるらしい。

しかもその家は、就職祝いに親に買ってもらったとか何とか。そんな話今どきあるのか?


父親はIT企業の社長をしており、海外にいる。

母親は父親が可哀想だからと一緒について行っているそうで、現在は上海にいるらしい。

それほどまでに実は金持ちのお嬢様だが、本人には自覚がないのがまた、徹底した設定だと思うね。


職場では見せない表情をすることも意外で、結構よく喋る。

喋るし、笑うし、たまに天然ボケをかますところも、エロゲーのヒロイン並に完成されていると思う。


やはりと言うか何と言うか、俺の予想は的中していた。

腐女子は否定していたが、アニメは相当好きで深夜遅くまで見ているせいで会社ではテンションが低く、クールキャラっぽくなっているのだそうだ。

一番好きなアニメは何かと訪ねたら、テンプレのように『くろがねの吟遊詩人(ミンストレル)』と答えた。俺も好きだけどさ。



......そもそも、逢沢さんと食事をするのって初めてかもしれない。

いつも俺の仕事が終わるのを見守っててくれるが、終わるとすぐに帰ってしまうし、どこか遠い存在な気がして、食事に誘うなんて考えもなかったしな。




──そんなこんなで、無事(?)にオフ会は終了した。


二次会をどうするかという話も出たが、みんな明日は仕事があるらしく、全員とラインを交換して解散となった。


宇多田さんなんかは、夢世界で会えたらいいねとか言っていたが、あっちで会えたとしてもお互い気付かないだろうし、まあ無理な話だろう。


それにしても個性的なメンバーだった。

また同じ人たちで集まる機会があれば、飲み会が嫌いな俺だけど間違いなく参加すると思う。


それくらいに楽しいオフ会だった。





──帰ったらリフレインの掃除をしてやろう、そう思いながら帰路についた。


あんな事故があったというのに、俺って案外神経が図太いのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ