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狂気の淘汰

【霊創法御館大社・茶の間】

「さて、(やしろ)が戻ってきたら作戦開始よ。」

「それは・・・いいんですけどねぇ?玲華(れいか)さん。本当に大丈夫なんですか?」

「どう言うこと?」

隣に座る烏天狗、在風(ありかぜ) (あや)に 目配せする。特に布陣に問題は無い。

紅葉(もみじ)たそが参加できないのは分かるんですよ?"お役目の拘束"もありますから、でもだからって茉莉愛(まりあ)さんも行かせるんですか?治って目を覚ましたばかりじゃないですか」

「そこに限っては、問題無いぜ。半日も眠れればわたしは復活出来る。」

「そりゃ、霧醒(きりさめ)の人間だから傷病の治りが異常なのは分かってますけど、それと無理はまた別ですよ!」

「あら?さしもの、プライバシー常時侵害者のあなたでも人の心を気遣うのね?」

「うぐっ・・・わかりましたわかりました!ネタが増えるのは記者として嬉しいですが倒れた、とかそんなつまらない事を記事にしたくないってだけです!」

それは記者としての性なのかはわからないけど、分別はつくらしい。さっきのだって、照れ隠しみたいだし。

「でも、確かに綾の言うとおりでもあるわ。茉莉愛、ヤバくなったら逃げなさいよ?」

「なぁに馬鹿な事言ってんだ!わたしらは一心同体みたいなもんだろ?死ぬ時は同じ場所だ。」

にこやかに笑う、社が来てからは別の場所で囚われていたから知らないだろうが、その言葉をもう裏切ってるのよねぇ

「たぁでぇまぁ」

「よし、二人とも。脇を締めるわよ!」

「あぁ!」

「ネタのために!!」


「んじゃ行くか・・・フラン。」

「えぇ!お兄様!」

俺を兄のように慕う少女、フランに呼びかける。これで全員だ。

俺は自身の力で飛べる訳ではないので、フランに持ち上げてもらう。吸血鬼の力ってすげー!

日中なのに肌が文字通り焼けたりしていないのはこのメイド服にお呪いが掛けられているかららしい。

このお呪いに使われている力を盾に脅しをかけられたので俺らはそれを阻止するために敵陣へ飛んで向かう。


【迷霧の竹林上空・朝と昼の境】

「見えてきたわ!社、皆!戦闘準備!」

「「「「了解(サー)!!」」」」

眼科には霧が立ち込めていた。何もかもを包み込み惑わせる濃霧は所々に見える竹すらも白く染めている。

この場所は"迷霧の竹林"と呼ばれ、迂闊に入った者は、もれなく遭難するらしい。

と、霧の中でオレンジ色の物が見えた。それがこちらに向かってくるうち、その姿が大まかに把握できるようになる・・・って!?まずいまずい!!

「フランっ!!避けろ!!」

「ーーーーーっ!?」

フランが体を捻り、何とか直撃は免れた。その後ろ姿をこう表現するしかない。

鳳凰。幻の鳥、神鳥、フェニックス。

その鳥は避けた後も俺らを追いかける。

「玲華!綾さん!茉莉愛!先に行ってて!」

「分かったわ!」

「了解だぜ!」

「御武運を!!」

先に玲華達を逃がす。どうやら鳥は俺らだけを狙っているようだ。

玲華達は急降下し、霧に紛れる。

鳥は旋回し、こちらへ一直線に突進してくる。

「くるぞ!フラン!」

「うん!!」

鳥の追撃を避けるためフランは俺を投げる・・・ってヤバイヤバイ!!

すぐさまグレイさんの媒体術を起動。一瞬だけだが灰色の翼が展開される。いや、一瞬だけしか展開出来ない!?

タイミングが合わなければまず間違いなく落下からのデッドエンドだろう。しかし、そこはフラン。飛行に慣れているのか地面に向かう俺を再度キャッチする。

その下を鳥は凄い速さで通り過ぎる。

「あっぶねぇぇぇ!!?」

「あははは・・・ごめんなさいお兄様。でもあの鳥、わたしじゃなくて、お兄様を狙っているみたい。」

「えー・・・なしてや?俺はここらへん全く通らないし、怨みを買うこともしてないぜ?」

「わからない・・・お兄様は誰かを理由も無しに傷つけられる人じゃないし」

「確かに。暴力なんて非生産的でなんにもならんからな。・・・と、そろそろだな。」

「お兄様?」

疑問を浮かべたフランにニヤリと笑いかける。

使うのは媒体術であり、【本】ではない。先程契約を済ませた【カード】の媒体術である。

「フラン!手を放してもいいぜ。」

「っ!?」

「だぁいじょぶ!まぁ見とけ。」

「・・・分かった。それじゃぁ三、二、一で離すよ!」

「おういぇす!」

「じゃぁ・・・三!」

術式を起動。愛桜に呼びかける。

『愛桜!行けるな!?』

『おまかせ下さい!社さんを見事飛ばしてみせます!』

『上等!!』

「二!」

意識下にあるあの白い世界から何故か一つしかないあのカードを取り出す。

(いち)!」

カードは俺の人差し指と中指の間に挟まり現れる。

「ゼロ!!お兄様!」

フランの手は俺の服を離れる。さっき出来なかったのはフランがいきなり俺を投げ飛ばしてびっくりしたからだ。

『合わせて下さい!』

「おう!!」

宙空に体が躍り出る。背中から風圧がかかって息が苦しくなる。視界の端に炎で揺らめく鳥の形をした死が迫って来ている。

「『寵愛を受けし風翼(フライウィング)!!』」

媒体術を発動した瞬間、カードが薄緑色の輝きを放ち背中の風圧がクッションのような感触に変わる。クッションはそのまま背中に広がり、グレイさんの媒体術で出てきた翼と同じような、少しだけふんわりした羽毛のような羽が生える。

発動には成功した。後は・・・限界まで引きつける!!

鳥のくちばしはすぐそこにあり、俺を喰らわんと大きく開けている。

今っ!!

すかさず翼を動かし風を鳥に叩きつける!!鳥は面食らったように動きを止めた。この隙に鳥の背後へ飛びすかさず本の媒体術でグレイさんの剣。固有名灰夜を穢す星々の檻(スターリアウスレージ)を現出する。大剣のような大きさだが、これでも片手剣だ。赤黒い血のような色の鉄柵を模した鎬。刀身は朱色よりも赤色だ。

「ふぅ・・・とりあえずこれで終いだ!!」

型も何もない単純な振り上げ。それでも鳥には効果は絶大だったようで。炎の鳥の姿はその体が裂ける。本の媒体術を解除し、剣を仕舞う。

と同時に、未だ浮遊に慣れない俺の胸にフランが飛び込んで抱きついてくる。

あ~女の子の匂いがする・・・って、何言ってんだ!キモいぞ俺よ!

「凄い・・・!!お兄様!今のって、媒体術ですか!?」

「おう!これで、俺も空を飛べるからもう手をかけることはないな。」

そう言いながらフランの頭を撫でる。あぁ〜ふわふわなんじゃぁ〜

「むぅ・・・」

あれ?なんか不機嫌そう・・・でもちょっと嬉しそう?

「なぁ?あんたら」

声がした方へ振り向く。その姿を見て目を見開かずにはいられなかった。腰まで長い灰色の髪は二つに分かれてストレートに伸びている。季節に合わなそうな長袖のシャツと長い指貫袴のような、これまた季節に合わないであろう長ズボンをサスペンダーで吊した女性だった。

「・・・すまん、フラン。ちょっと。」

「うん。」

顔だけの礼儀を変える。ふわふわの髪から手を、名残惜しくも下ろし、向き直る。

その人、いや、人ではなく神鳥。先程の炎の鳥と同じ気配と、臭い(・・)

「へぇ・・・アンタオレの事を臭いで判断したな?いや、臭いってかカンつった方が正しいか・・・アンタ吸血鬼の嬢ちゃん連れているけどオレがアンタを警戒しているのは分かっているよなぁ?」

「・・・あぁ、初対面で全面的に信用するなんてまず無理だな」

「だろう?んで、警戒してんのは吸血鬼の嬢ちゃんを連れているところじゃぁねぇんだよ」

「・・・何が言いたい?」

「決まってんだろ?オレが警戒してんのは、アンタ自身だ。見たところ徒人(ただびと)なんだろうし、アンタ自身も自身を人間だと思っているんだろうが・・・言わせてもらうとな?アンタ、バケモノ(・・・・)だぜ?種族やこちらの常識を軽く超えた。」

そう言い放ち、姿勢を屈める。すると、女の人の両手から炎が漏れでる。万象を焼き尽くすその炎を身に浴びれば確実に死ぬ。確かに、能力としては人間を超えた。この世界の常識の範疇外だということはよく分からない。俺よりやべぇ奴はいくらでもいると思う。でも

それでも俺は人間だ。一年飲まず食わずで生きてられる訳ない。殺されたとしても媒体術で生き返られるのはあくまで他殺、害意や殺意からなる死のみだと錺は言った。寿命が来れば確実に、だろう。

「・・・えぇ、そうね。お兄様は凄いわ。わたしのお姉様の悪事の後に能力を制御するために何回かお兄様を殺した。何回やっても立ち上がるから確かに人間と言うにはおかしな話よ。」

俺と女の人の間に、フランが俺を庇うように立つ。フランの言葉を共感と受け取ったのか、先程まで浮かべていた笑みをより深める。

「だろう?いやー流石吸血鬼の嬢ちゃんだ。分かっているなぁ!コイツはバケモノなんだ、今ここで消しといて置かないとこの世界の害悪になりかねない。」

「害悪?・・・そう、貴方はお兄様を害悪と宣うのね?」

「ん?違わねぇ筈だろ。」

その時、女の人の炎が硝子細工のように音を立てて崩れる。

・・・あ、やっべぇ。あの人終わった。

俺をそう直感させたのにはフランの顔を見るだけで充分だった。表情は驚く程穏やかなのに般若とか修羅とかそんな生温い表現では表せない程ブチ切れているのが大いにわかる顔をしていた。

「・・・は、ぁ?」

女の人は その顔を見てか、炎が崩れたのを見てか、おおよそ呼気しか出ない悲鳴を上げる。

「お兄様は、バケモノでも害悪でもないわ。人間よ。長い間幽閉されていたわたしを、闇の中で暖かな夢を見せてそれを実現させてくれた、唯一無二のわたしのお兄様よ。あまりいらぬ口を挟むようなら・・・そうね、人殺しはお兄様に止められているしあまり気持ちがいいものでは無いから、こうするわ。

貴方が用意する全ての手を、知略を、戦略を、戦術を全て壊して、手が出せないようにしてあげるわ。無力と言うのがどう言う物か教えることは出来るわよ?」

「・・・クソがッ!!嬢ちゃんもそっち側かよ!いいぜ!やってみな!オレの炎は全てを焼き尽くす!」

「お兄様、離れて。侮辱されてとても、それはもうとても腹が立っているの。」

「・・・お、おう、がんばえ〜」

真剣味を帯びたフランの顔を見て、俺は参加しない方がいい事を悟った。・・・ってか参戦したらまず間違いなく二次災害をもらう。

「わたしからは攻撃しないわ、攻撃は、ね?」

「あぁそうかい!敵ながら気前がいいな!なら初っ端から大技だ!!スペル宣誓!『炎天符:長らく生きた炎』!!」

スペルとは、確か魔術系統の一環で占星術で使われていたタロットカードを元に、この世界の住人が己が編み込んだ技術体系を一枚の札に詰め込んだ物を言うらしい。一種の必殺技だそうだ。宣誓と発言すればノータイムで発動出来るらしい。使わないからあくまで玲華の話だけで聞いた話だ。

「・・・術式破壊(スペルブレイク)

スペルによって出てきたのは先程よりも巨大なドラゴンだった。実体無き炎のみで構成されているであろうドラゴンは、しかしフランがそう唱えただけで女の人が持っていた札ごとドラゴンは硝子細工のように崩れ落ちる。こうなってはさっきのスペルは使えないはずだ。

「ッ!?スペルだぁ!?吸血鬼はスペルが使えないんじゃ無かったのかよ!?」

「えぇ、わたし達はスペルを使えないわ。だから今のはただの応用。わたしの能力は存在する物全てを壊す事が出来る。その能力を応用してスペルを無効化する事が出来るの。」

「チッ!!厄介な!『炎業符:地を這う傲慢な焔』!」

「同じことよ。貴方はもうスペルでわたしに傷を付けることは不可能よ」

「あぁ!だから狙うのは嬢ちゃんじゃねぇ!」

なるほど、俺か。

どうやら、フランのスペルブレイクも他人に効果があるものじゃなく、自分に害意が向いた物のみ効果を発揮するらしい。他人から見ても俺らは仲良く見えるからこその常套手段だ。

「あ・・・!?お兄様ぁぁぁああ!!?」

スペルで生み出されたのは蛇だ。数体の炎の蛇が俺を囲む。飛んで逃げられないように、四方八方を塞がれる。フランが泣き叫ぶ声が聞こえる、そこまで泣かんでもいいのに。まぁ大事にされているってのは嬉しいけどな。

『随分冷静だね?ヤシロ』

「まぁね・・・四方八方炎の蛇。それもジリジリ空間は狭くなっている。いやぁ!楽しいねぇ!全く!」

ヤケクソに叫ぶ、しかし割と簡単にここから抜け出せるのだ。あの女の人も自分で言った事をもう忘れているらしい。

バケモノ。人に化けた何か。もしくは、何かが化けて出た人。そう言われたら期待通り、バケモノじみた事をしよう!

「ジャンヌさんには?」

『全力でやっちゃって・・・との事だ』

「おおう、案外軽いな。んじゃ始めるぞ?やれるよな!?錺!」

『ばっちこーい!だね!

「其は英雄の記憶。受け継がれし龍の魔女の記録。

いま事象、時間、全てを超えここに力を示せ。

いまいまし、いまにいましてせせらがわ

ときにねがいしほしのうたげ、せいなるはいはここにあり

ときはみのこじょうははてにありて、ねがいをささぐうつわをけがせ。いまにまし、いまにまし。」!!』

本が光り、純白色に輝きながらページがめくられていく。途中途中でページは空を舞い、"銀剣"と文様が描かれた純白の"旗"がそれぞれ、剣は腰に吊るされ、旗は手に収まる。ついでにと言わんばかりに、純白の胴当て、肩当て、銀剣の下に腰当て、具足と、中世ヨーロッパの騎士の甲冑が・・・ちょっと二次元のイラストっぽいオシャレな甲冑が体を覆う。顔は覆われなかったがこれが一番危ないと思う。しかし、わがままも言ってられない、この姿こそがかの英雄、ジャンヌ・ダルク・オルテンシアの甲冑姿そのままなのだ。

英雄の魂である英霊の情報を記した一部の本の事を霊媒と呼ぶ、英霊を媒介とした霊媒は発動時に英霊が死ぬ間際に着ていたとされる衣装を・・・流石に異性ならそれ用に置き換えられるが・・・そのまま着る事になっている。解除したらどうなるかって?そりゃもちろんもと着ていた服に戻る。同じにしなくてはいけない理由は単純に、そちらの方が力を発揮しやすいからだ。

「うし、変身完了っと・・・んじゃまずはこの状況をどうにかすっか!」

ジリジリと蛇がにじり寄る。

が、今はそんな事はどうでもいい。また、泣かせてしまった。安心させるためにはどうするかを考えよう。

取り敢えず、思うがままに腰の銀剣を抜きにじり寄る蛇の内一匹に差し込んで見る。

「てい」

すると何も起こらなかった。

ふむ、違かったようだ。

銀剣を抜くと、蛇は再生しにじり寄ってくる。えぇいままよ!銀剣は腰のホルダーに収め、手に持っている旗をブンブン振って回してをやってみる。すると、蛇はにじり寄るが旗に一匹掠っただけで蛇は全て消えた。久々に小学校の掃除当番でやった箒回す奴やってみたが、それが正解だとは誰も思わんだろう。割と恥ずかしいもんだ。

「お兄様!!良かった!良かったぁ!」

「おう!たでーま!」

目に涙を浮かべフランは抱きついてくる。いいにおいだが、浸っている場合ではない。

「・・・やっぱ、アンタバケモノだな。なんだ、随分派手っぽくなったじゃねぇかーーーーー」

「・・・泣かせたな?俺の身内を、泣かせたな?」

女の人の言葉を遮るように言葉を被せて、龍の魔女の術である炎の龍を言葉と同時に当てないように放出する。灰色の髪は掠った部分だけ目立たない程度に焦げていた。

「っ!?」

「何が目的か聞いてなかったなぁ?俺の身内でを泣かせた以上、ふざけた理由であれば目も当てられないようにするぞ?」

「お兄様・・・・・・」

不安そうに見つめるフランを穏やかに見つめ返す。

さて・・・

「目的・・・目的ねぇ・・・・・・アンタ、人に厄介事押し付けておいてよくもまぁいけしゃぁしゃぁと!!」

今度はこっちが押し黙る番だった。その目は激憤に濡れ拳は怒りで震えていた。背後から炎が鳳の翼を模して現れる。

「"刑死者"だがなんだか知らねぇ・・・アンタらが何を考えているのか、目的ってならそっちが教えろよ!」

「ッ!!全術式破壊(オールスペルブレイク)!!」

「吸血鬼の嬢ちゃんでも凌ぎ切れないようだなぁ!!」

翼から無数の炎で出来た弾丸と幾条ものレーザーが俺らを的確に捉える。それらすべてを的確に、一つ一つフランが潰しにかかるがそれでも数が多い。やはり凌ぎ切れないのか何回かは掠れ、服が焦げ煤がつく。

「『命ある者、全て癒す蔓(オールライフヴァイン)』!!」

カードの媒体術で煤けた服と怪我を治しながらフランの援護をする。カードから翡翠の蔓が伸び、俺とフランの左手首に巻かれた。それだけなのに怪我をする度傷口から翠光が溢れ、蔓に傷が付く。傷が付き、それを治しの繰り返し。蔓の傷は増え千切れそうになる。まず間違いなくこの蔓が千切れたら今のような戦法、戦術は通用せず、傷が増える。ジリ貧だ。

「ハハハッ!!無駄無駄ぁ!いくら足掻こうとも所詮物量の違いなんだよ!

アイツはお前らのつまらん計画だかに巻き込まれてあんなんなっちまった!その報いを灰の中で懺悔しな!!」

・・・計画?なんの事だ?俺らはただ蘭さんに、ツケを払って貰おうとして・・・もしかして、この人。

「『怒りのなかに眠る焔、龍を模して彼の者を縛り給え』フラン!!こちらから攻撃はするな!!

少し、話がしたい。」

「お兄様!?・・・わかった、お兄様が言うなら。」

「ありがとう」

フランの前に出て右手を前へ出し左手に本を持ちながら詠唱を終える。霊媒にある媒体術を改編し、龍の形を模した焔を女の人に巻き付ける、話をしたいのは山々だが拘束でもしなければ落ち着きそうになさそうだ。

しかし、そう甘くはなく女の人は俺が出した炎を自分の体に巻き付く前に生えている翼で熱を揮発し、かき消した。・・・目には目を歯には歯をと言うがこれはもうメチャクチャだ。

「・・・ぬるいんだよ。どうした?お得意の"固有結界"って奴を使えよ。どうかかろうがアイツをあんな風にしやがった奴はどうあれ、消す。」

殺気が炎の熱を模して陽炎になる。

なるほど・・・やっぱり"勘違い"してるな。この人がアイツって呼んでいる存在に心当たりが無い。

「待て!俺らは意見がーーーーー」

「うるせぇ!!今更遅えんだよ!!」

「お兄様!もう、持ちそうに、無い!!?」

「くっそ!!フラン!無理やりにでも俺が抑える!もちっと耐えてくれ!!」

「わかっ、た!」

考えろ考えろ考えろ考えろ!!銀剣で出て来た媒体術は炎の龍を自在に扱う物。ジャンヌ・ダルクと言えば旗だが・・・博打になる。失敗すれば確実に落ちてミンチかこんがり上手に焼けるかのどっちかだ。でもやってみない事にはどうにもならない!!

「いくぞ・・・錺!ジャンヌさん!」

息を吸い、吐くようにして呪文を紡ぐ。錺と、この術に眠る魂に呼びかける。この旗のもとで一生を生きた人に敬意と、感謝と、謝罪を込めて。

「『我が旗は主の御心のままに、我が意志は民の為に、我が生に意味などいらず、ただただ語り継ぐのみ。いまいまし、いまにまし。』!!」

旗の先を大技の準備をしている女の人に向ける。しかし何も起こらない。・・・無謀な賭けだと思い、意味もなく旗を掲げる。何処かではこんな行為がそれこそ奇跡のような一であることを祈っていたのかもしれない。

もうそこに、熱量を帯びた光と飛んで来たフランが俺を庇おうとするシーンがスローモーションで再生されている。もう駄目だ。どうにも俺は最初の紅い霧の一件で、自分は何かできる人間であることを傲慢にも誤認識していたらしい。フランにもエミリアにも星那さんにも玲華や茉莉愛、紫芳。いろんな人に悪い事をしてしまった。フランに限っては俺のせいで自分の命を削ってしまうのだ、申し訳ないと言うレベルではないな。

「マイライフトゥオール」

意味もない、頭に浮かんだ言葉を呟きぎゅっと目を瞑る。この光が当たればまず間違いなくここから落ちてミンチになって死亡だろう。確かに運良くミンチになる前に錺の媒体術が発動できれば助かるかもしれない。しかし、そう上手く行くわけが無い。

そんな疑念は、目を開けたにか消え辺りには無事なフランの姿と見えない力に拘束された女の人だった。

「ッ!?あぁっ!?いつの間にオレを!?」

訳が分からない。何があったのかもよく分からない。しかし偶然とも思い難いのだ。なんせ目線を隣に向けると微かだが甲冑姿の女性の形をした光が片手で旗を掲げており、いつの間にか俺も同じポーズを取っていた。ふと、目が合ったような気がして、仕方なさそうに微笑していた・・・気がした。

「お兄、様!!」

「あぁ!拘束完了っと・・・さて、お互い誤解があるっぽいしフランを泣かした元々の悪を絶つ為にいっちょ協力してくれます?」

「だから何度も言ってるだろうが!!誤解だなんだうっせぇ!!終者(アルカナ)だなんだか知らねぇがアイツはテメェらのせいで!!」

「そう、そこだ。俺はその・・・アルカナ?って組織知らねぇんだ。

流れから察すると、さっき言ってた刑死者って奴が俺そっくりなんだな?」

そこまで聞いて、女の人は怪訝そうな顔を作る。さっきの戦闘は無駄じゃなかったようでその刑死者と言う奴との違いに女の人は気づいたらしい。

「あぁ。・・・あれ?たしかに髪は灰色だが奴は黒フードだ。しかも目の色も違ぇ。

・・・オレ、もしかして誤解したままアンタらを?」

「そうお兄様が言っているのに。貴方は勝手に勘違いして暴走したのよ」

便乗するように俺も首をふる。縦に、力いっぱい、何より速度を上げつつ。

「お兄様、流石にウザいわ」

「おっふ・・・すまん」

こうして、俺にそっけなく暴言吐けるくらいには俺とフランは仲がいい。

いや、今はそんな自慢をしている時ではない。

「・・・・・・なんか、すまんわ」

「いいのよ、所で貴方竹林から飛んで来たわよね?」

「ん?あぁ」

取り敢えず話ができる状態まで落ち着いていたようなのでいま発動している媒体術を全て解除する。女の人は急に縛られた感覚が消えた物だから少し驚くがフランの質問には的確に答える。

「オレは迷霧の竹林に住居を構えててな。ちょうどいい。自己紹介しとこう。

オレは光焔(こうえん) 萌紅(もこう)。不老不死だ。」

結構豊かな胸を張り簡潔に自己紹介を済ませる。不老不死かぁ・・・ロマンだなぁ・・・。

「・・・嬢ちゃんは吸血鬼だからまぁ分かるがアンタは不老不死って聞いてあまり反応しないんだな」

驚いた様子で言われる。確かに一般人ならまず間違いなく頭の具合を疑うが、この世界のファンタジーには多少慣れた。伊達に数カ月住んじゃいない。

「まぁ、多分わんさかいそうじゃない?ココらへんだと不老不死辺り」

「・・・ククッ、かもな」

口角を上げかっこよく笑う萌紅さんを見る限り、多少の信頼は貰えたようだ。


【迷霧の竹林内部・同時刻】

「チッ・・・!!なんでこんな所にいるのよ!!」

目の前にいるのは結構前に見た、生意気にも雰囲気だけ似ている赤と黒を基調とした異形の化物。

「なるほどぉ・・・これがペルソナですかぁ。不気味で気持ち悪い見た目してますねぇ」

「お前らはまだいいぜ!こっちは人型ですら無いぜ!!?」

確かに私と綾が相手しているのは巫女服のような奴と黒い翼を硬質にしたヌメヌメした黒い物体で編まれたサマードレスを着こなす異形。

そして、金髪を模した触手を持った顔なし達磨の異形。

それぞれ私、綾、茉莉亜に雰囲気を似せようとでもしたのか巫女服のペルソナはお祓い棒に似た武器を手にしている。サマードレスのペルソナは服装は違えど翼の一枚を手に取りナイフのようにしている。烏天狗は羽毛を手に取ると武器に姿を変えるがそれを真似でもしたんだろう。そう考えると、茉莉亜のペルソナはかなり異質だ。茉莉亜の攻撃方法は"魔力増進六角炉"と呼ばれる六角形の魔術道具を用いて行う光線と光弾、箒に乗っての突撃と物理、あとはスペルの以上五種だ。

しかし

「なんですか何なんですかこの達磨!!?カサカサ動くわ触手から光線出すわでその上他の二体との連携が!!?」

厄介なのは変わらない。達磨のような巨大な見た目からは考えられない程の速度で私と綾を翻弄する。

それに踏まえ残りの二体のペルソナはその達磨を援護するように黒い硬質の羽と浮遊する頭蓋骨を鬼火に形を変えた術式を投げつけてくる。

「くっ・・・面倒ね!!」

連携も個々の力も十分にある。知略を制するはなんとやらだが

「おーい!!こっちはいいぜ!!」

合図だ。

「了解!綾!こっち!」

「いぇっさー!!っとその前に置土産!スペル宣誓!『風鈴(ふうりょう)符:下肢駆け抜ける流麗』」

綾がスペルを発動し、持っていた羽毛に効果を付与する。スペルには二種類あり、付与する種類と直接的な効果がある種類がある。いま綾が発動したのは付与系統、俗に言われる付与系統術(エンチャント)スペルだ。

効果を付与した羽毛はその質量を変化させ硬質へと変わり、綾は翼の内三枚を投げる。すると硬質化していた羽毛が一気にふわふわになり、投げられた羽は投げナイフの要領でペルソナがいる地面を確実に捉える。カサカサ動いていた達磨の足元には届かなかったが地面に突き刺さる前に動きを追跡して達磨だけには直撃する。

途端にカーンと甲高い音が響く、このスペルの発動にはもう一手間必要だったみたいだ。先程の音は綾が履いている天狗下駄を打ち合わせた音だ。それに反応するかのように微かに見える黒い羽毛が共鳴して震える。

「嵐の中でびくびく震えているがいい!!」

調子に乗ったまさに天狗がそう言うと、ペルソナの足元もしくは胴体から動きを拘束するかのようにゴウッ!!と暴風が発生する。

当然、動けるわけもなく無理矢理にでも動けばまずいとも思うくらいの知性はあるらしく辺りをキョロキョロしながら状況を伺っていた。

それがまさに絶好のチャンス。茉莉亜には最大出力でこの隙を狙ってもらうつもりで上空に待機してもらっていたのだ。

「さぁ・・・ショーダウンよ!」

目の前で地面とペルソナを抉る破滅の光が上空から落ちてきた。


「いっくぜぇぇぇ!!!」

空を落ちる、綾が作り出した風を全面に受けて浮力で体を安定させる。

「スペル宣誓!炉心限界突破(ブレイクレーヴ)!!『穿光符:ラァァァスト!!ヴァァァアニゲェェェエタァァァァッッッッ!!!!!』」

紡いだ意志と願いと共に、全てを込めて。これからの未来を穿つ光を放つ。

前に掲げた六角炉は魔力を霧散させてオーバーワークを防ぐため、花が開いたように八角形に変わっている。

やがて、光が消えて。

「茉莉亜!お疲れ様!」

「茉莉亜さん、病み上がりなんですから気をつけてくださいよ!」

浮力を伴った風は消え、体は自由落下を始める。そんな私を箒は捕まえる。箒に捕まった私は綾と玲華の言葉に苦笑しながら、先程から続く違和感に考えを向ける。

違和感、と言うのは先程のペルソナが偶然にも私、玲華、綾に似たペルソナであったことと今この局面で現れた事。偶然だと思いたいが直感が必然であることを知らせてくる。よく当たる茉莉亜様の直感は外したことがない。

まるで誰かに無理矢理自分のペルソナと戦わせられているような・・・奇妙な気分になる。

「さて・・・社はどうなっているかな」

別れて進行中であろう社が気に掛かる。社もまたペルソナと戦っているのだろうか・・・これもまた直感だがあの火の鳥もあまり危険なものではないと思う。

・・・それより今は先に行こう。心配したとしても何も始まらないし、さらに直感だが社は何やっても死なない気がするのだ。心配してもお門違いと言うものだろう。

「社が心配なの?茉莉亜。」

「まさか!あいつはそんなヘマする玉じゃないはずだぜ」

「随分信頼してますねぇ?」

「まぁ、アンタや茉莉亜は見てないでしょうけど社は実際、私達の味方であるだけまだ有り難いくらいの力を持ってる。敵に回ったらまず間違いなく幻想世界全勢力で迎え撃ってギリギリの勝利ね」

その戦力分析に怖気が背中を伝う。玲華の戦力分析は先祖代々の経験がその血に混じっているためどこまで飛んでも正確だ・・・たまに外れるが、それはあくまで先祖の頃から未知の敵と対峙した場合だ。

つまり、未知ではない。既知である場合玲華の戦力分析は正確すぎる。先程述べた幻想世界の全勢力と言う話もあながち間違ってはいない、と言うことだ。

「絶対敵に回らない自信はない。でも進んで非道を行う性分でもないし、何よりまだ甘い部分もあるからそれほどでもないわ。・・・・・・その甘さがあるまでは」

「・・・優男の裏はトンデモ兵器って訳ですか・・・よく何事もなく接する事できますね?」

「慣れっこよ・・・前に来た人もすぐ死んだけど大概な能力を持ってたわ」

「・・・陣の話か・・・懐かしい話だぜ」

"則先(のりさき) 陣宰扇(じんさぜん)"は社の前に外から来た奴だ。社見たいに留まる事は望まず早く自分の世界に戻るために尽力してた奴だったが・・・自分の力の使い方を誤って死んだ。幻想世界には度々、迷い込んで外からくる人がいる。こないだ錺が言ったようにこの世界は全てを受け入れ、覆す。そんな暗黙のルールができている。

「・・・?誰の話をしてるんですかい?」

「・・・そうね、昔の話よ。アンタには関係ないわ」

「んーですかい?ならいいんですが先に進みましょ!」

「えぇ。・・・行くわよ、茉莉亜」

「・・・あぁ」

このように、前に来た人間はその当人が消えた瞬間私達や先祖代々の記録や事象、記憶や当時の感覚を受け継いでいる芒代家の人間以外は覚えていない。

全てを受け入れる存在故に、受け入れる器を保全するため消えてしまった存在は世界から忘却される。

全て受け入れる優しくも悲しい世界。それが、この世界の本質なのかもしれない。

そんなことを思いながら、急ぎ足で奥へ向かう。正直、今回のことに関しては私は無関係と言ってもいい。フランとか言うあの女の子には悪いがこっちは玲華のお願いが無ければ受ける事は考えなかっただろう。

「ホント・・・いつの間に毒されたんだ?あのお人好しに・・・」

思い浮かぶのは玲華の戦力分析で相当な成果だった社の姿。会った時はただの人間だった筈だ。紅霧の異変の時から見た目は変わってない。しかし、確実に人間を辞めている。

人の形を取った化物。頭痛の種が増える前にこの件が終わったら社と話をしよう。そう決めてペースを上げて走る二人に追いつく。


【迷霧の竹林上空・同時刻】

「アンタら、目的はなんだ?それだけは聞きたい。あと拘束解いてくれ」

言われた通りジャンヌさんの霊媒の媒体術を解除し拘束を解く。

「俺らは"月の恩恵"を・・・吸血鬼を助けに行く。」

「月の恩恵?・・・なんだってそんなものが今出てくる?」

「蘭さん・・・石動彼岸宮因幡蘭(いするぎひがんぐういなばらん)さんが今朝、言ったんだ。月の恩恵が奪われるってな」

それを聞いて萌紅さんの目が細まる。

「・・・・・・蘭が・・・月の子飼いが種族一つ消そうってか・・・んな事澪が許す訳が無い」

「澪?・・・澪さんの事か?」

主治医である八幡(やはた) (みお)さんは俺が錺と会った時にぶっ倒れた俺を診てもらっていたらしく。その恩はいつか返したい。

「あぁ。知ってるんなら話が早い。澪は蘭の元直属の上司なんだ。月都兎(つきとうさぎ)っているだろ?ほら餅を()いてる。」

「え!?あれ目の錯覚じゃないの!?」

各地方で月に見える模様は変わるらしい。ある地方ではカニ、ある地方では女性の横顔になるらしいが・・・

「ん?お前・・・知らないのか?」

「お兄様は外の世界から来たから月都兎の事はあまり知らないの」

「ほへ〜なるほどな。それで知らんのか。」

「・・・・・・教えてくれ。月都兎ってのが何なのか」

じゃなきゃ敵を知ることができないから攻略しようにもない。情報戦で負けるとあとに響く。

「月都兎ってのは元来には神話『因幡の白兎』と『玉兔』の話の境が曖昧になって伝わったあと正式に分化したらしく、そのまま忘れ去られて新しい種族として幻想世界(ここ)にある月に住み着いた奴らの事だ。特徴として、全体的に幻術系の能力を保持している事が多い。能力を使用する際、瞳の色が紅になる。これは月都兎共通だ。」

幻術・・・今朝のバトルロワイヤルも玲華達が幻術に掛かったからか・・・そういえばあの時の蘭さんの目は紅色だった。

「蘭はその中でも割と優秀な方でな・・・月都兎の取締め役だった。澪と一緒に月から来たとき初めてあってから丁寧な口調で見下してきたかと思ったら澪に対してはヘコヘコしてたな・・・」

なるほど、どうやら相当な上から目線のようだ。それでいて自分可愛がり・・・一言で嫌味な奴のようだ。

「おし・・・月都兎と蘭さんについては大体分かった。

それで、俺を誰だと勘違いしたんだ?」

「あぁ・・・一度そいつの顔を見たとき社と似ていた・・・と言うか殆ど同じだった。」

「誰なの?そのお兄様のそっくりさんって」

「確か・・・終者(アルカナ)第十二体【刑死者(ザ・ハンジットマン)】ジーゾ=アンリ・サンソン

って名乗ってたぜ?」

「そんでもってまんま俺と似た容姿って訳か・・・それもさっと見て分からないレベルの」

「あぁ。そいつは・・・今の蘭の上司だ。」

「・・・ドユコト?」

「あの兎さんはその澪さんって人の部下なんじゃ・・・?」

「今も部下だ。・・・まぁ表向きっぽいが」

なんとも説明しにくそうな顔で後頭部をポリポリ掻いている・・・おっさん臭いな意外と。

「その・・・アルカナって組織?に裏で繋がってる・・・いや、そもそも蘭さんがアルカナって組織の一員なのか?」

考察した結果として、その可能性を捨てきれない。いや、確実と言ってもいいかもしれない。だとしたら俺は、アルカナとしての蘭さんを知らない。それは何よりの不利だ。

「・・・見た所、な」

「やっぱか・・・・・・勿論アルカナとしての蘭さんを萌紅さんは?」

「知らないな」

「だよなぁ・・・・・・」

話していると、横目で茉莉亜の人影が見えた。何事かと思っていたらどでかいビームを放つではないか!戦闘中なのは分かったが・・・一体どんなのを相手にしたらそこまでの力を出すんだよ・・・

「お兄様危ないッ!!!?」

「社避けろッ!!」

『ヤシロ!左から来る!!』

『社さん!!』

皆が呼びかけるその声と直感を頼りに顔を上げて襲い来るそれを避けようとする。

果たして、飛んで来て俺の鼻先を掠めたのは、今朝嫌と言うほど厄介になった

「蘭さん・・・!」

「・・・今朝方振りですね?邪魔しないでさっさと帰ってほしいのです」

片手を銃に見立てたように光弾を発射した蘭さんだった。

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