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Dの庭園 〜The Garden of dreams and death〜  作者: 長月京子
第一話:夢に眠る
8/67

エピローグ

   1



 翠の葬儀は、晴れ渡った青空の元で行われた。沙輝は彼女の柩にユリの花を添える。綺麗に化粧をされた顔は、眠っているように無垢で綺麗だった。

 彼女の顔を見た途端、涸れたと思っていた涙が再び溢れでた。彼が最後に彼女に何を告げたかは、誰も知らない。

 まだまだ涙は止まらず、ふとした瞬間に、沙輝は思い知らされる。

 もう翠がいないこと。二度と会えはしないことを。

 兄と妹。自分と彼女のそのつながりは、永遠に消えない。

 けれど、彼女と出会い過ごした時間も、なくなりはしない。

 ―――翠。

 晴れた天空へ上って行く煙りこそが、彼女の魂。

 耳元に蘇るのは、笑い声ばかりで。

 楽しかった。結末がどうであろうと、彼女との出会いは必然だったから



   2



 凍てついた吹雪が止み、分厚い雲の合間から、陽光がさしこむ。

 翠が日差しを受けて、庭園に眠っている。柔らかな髪が、フワリと風になびく。

 もう、案じることは何もない。この楽園で、ただ彼の幸せを願うことのほかは。

 決して、幸せな結末ではなかったけれど。

 まだ、哀しみは残っているけれど。

 これからは、幸せな夢を見れる気がする。彼が幸せになれる、そんな夢を。

 もう二度と、凍てついた心で幻を追わなくてもいいように。

 ―――大好きな、あの人へ。

 あなたが誰よりも、幸せになれますように。

 いつか、この庭園に吉報が届くように。その涙が涸れて、哀しみを乗り越えて。

 ―――あなたが、幸せになりますように。

 幸せに、誰よりも、それだけを。


夢に眠る END

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