プロローグ
別に女の子になりたいとか思ってた訳じゃない。
普通に女の子が好きだし、ホモとかゲイとかそういう訳じゃなかったんだ。
ただ、それを演じると、リアルでは味わえない「誰かに必要とされたい」という欲求が満たされるんだ。
俺がログインした途端、そこにいるヤツ全員が俺に挨拶をしてくれる。ミスしても励ましてくれたり、さらには俺と結婚したいとか言い出す奴までもいる。
もちろん、中には俺を正体を疑ってる奴もいた。
そんな奴らに対し、あらゆる手段を使って俺を女だと信じ込ませた。姉から聞いた生理の愚痴や、下着の選び方のレクチャーなどがこんなところで活きてきたのは正直笑った。
つまり、俺はネトゲで女キャラを演じてる男、ネカマプレイヤーだ。
しかも恐らくギルド全員が俺を女だと信じ込んでいるだろう。
罪悪感なんてない。逆に、馬鹿な男どもを手玉にとっているという優越感に浸っていた。
だから、あの日もその優越感に浸ろうと、このゲームにログインしようとしたんだ。
いつものように、俺を女と信じ込んでいる仲間達と一緒にゲームを楽しむために。俺の承認欲求を満たすために。
まさか、それが俺のリアルになってしまうなんて思ってもいなかったんだ。






