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=ナリーズ・テティルディカン

 壁の向こうは、小さな空洞があった。

 「ビックリしたな、まさかダンジョン内にこんな空間があるなんて思わなかったな。」

 座標認識でさっきまでいた場所を探ってみると、単純に壁一つ隔ててすぐ隣にいるみたいだ。でも音も聞こえなければ入ってきたはずの入口すら見えなくなっている。見えなくなっているなんて言ったけど光がほとんど入らない空間だから、探せばあるはずだと思う。暗くても座標認識を当てにして空洞内を探れる。もっとも、視覚が機能しないから敵が出てきたら対処しづらくなるな。

 俺はこの空間に連れてこられてから一歩も動いていないが、真後ろに入口があるわけではないみたいだ。とゆうか空間の真ん中に立ってる?そんな感覚を覚える。なんだろう、座標認識の精度が良くなっている気がする。視覚が奪われてるせいか?とにかくこの空間を探索してみる。壁まで歩き、壁に手を触れながら歩く。未知のダンジョンの古典的な探索方法だが、原始的だからこそ道具がない緊急時に有効だ。壁を伝いしばらく歩くと元の位置に帰ってきた気がする。その間に壁が動いて扉になりそうなものはなかったと思う。

 うん、困った。脱出の解法はなんだ?今の俺にできそうなことはそうそう無いんだが。

 ふと、先ほどから感度のよくなった座標認識で出口を探る方法を思いつく。だが、座標認識は自分がどこにいるか、というためのものだ。この空間に入った時にさほど距離が離れていないと分かったのは壁の向こうの自分の座標と今の座標の位置を比較して割り出しただけで、自分以外の何かの座標は、試したことがなかったかもしれないな。やってみるか。

 “世界への接続を開始。我が求むるモノの座標を示せ。我が望むは此の空間と他の空間の接続域。領域を示せ。”

 …。……。だめみたいだな。ちょっと調子に乗っただけみたいな感じになってしまったよ。

 でもほかに打つ手はなさそうだよな。ちょずいたついでに他の座標を探ってみるか。

 “世界への接続を開始。我が求むるモノの座標を示せ。我が望むは此の空間における光。発生源を印せ。”

 …。……。だめか。次。

 “世界への接続を開始。我が求むるモノの座標を示せ。我が望むは此の空間の鍵。在り処を印せ。”

 …。幽かにこの空間全体から淡い光に包まれる。これはこの部屋全体が鍵ってことか?よくわからん。あるいは何かが隠されている。そうみるべきか?ならば。

 “世界への接続を開始。我が求むるモノの座標を示せ。我が望むは此の空間に隠されたもの。顕現するよう示せ。”

 すると、空間の中心部に小さな、祠?のようなものが現れた。いろいろ突っ込みたいが兎に角この空間から脱出することを優先にして突っ込みをスルー。ボケ殺しだ!

 淡く光を放つ祠に近づき、そこに書かれている文字を読む。

 『ようこそ、いらっしゃいませ。この世界に選ばれたあなたにはこの魔剣を授けます。この制約だらけのふざけた世界で、魔剣の所有者として苦しみぬく権利を与えます。この魔剣は「ナリーズ・テティルディカン」あなたに理不尽を捧げる放縦の剣』

 さすがに突っ込むわ!えーっと、何?つまり俺は世界に選ばれしものになったってこと?伝説?の武器を手に入れて、、でも勇者にはなってないみたいだね。なんだろうあんまりいい感じのことが書いてないみたいだよ?喜び6に対して悲しみ11ってところ?

 まぁ、でもどうやってもこの空間から出られないんなら、甘んじて受けるしかないんじゃないかな?出られないなら餓死しちゃうだろうし。

 祠の中に祭ってある魔剣。両刃のやや細めの刀身に黒の色素で縞模様が引かれている。鍔付きの柄と、柄尻には球体。鞘は光さえ吸収しそうな黒色から仄かに蛍のような灯りが発せられている。

 「俺はそんなに悲観して世界を見ていないし、これからも変わるつもりはないんだけどな。仲間もいるし、それなりに充実しているつもりだけど。許容しましょう。世界がそれを望むなら。」

 

 

 目の前の暗闇を見据え、呪われた魔剣を放つ。剣の名はナリーズ・テティルディカン。森羅万象を分かつ魔剣。閉じられた空間に向けて剣を振り下ろす。


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