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6話 ふたりに挟まれて

誰かたすけてー!!ヘルプ・ミー!!


こんなドスの効いたりゅうさんの声は久しぶりすぎて反応出来ない私を誰か助けて下さい。

あぁ、普段温厚な人の起こった時の怖さは尋常じゃない!

りゅうさん、ともちゃん、シュイナは要チェック…ふははってそんなこと考えてる場合ではないぃ…

みんなの声が聞こえてくるよぅ。

この電話に集中っていうか注目してるのが目に浮かぶ。


トントントン。


「あ、あの大丈夫でしょうか。何か悲鳴みたいな声が…」


天の助けだね!

キイ、バァン!!


「たすけてええええええええ!!」

「ええええええ?!」


後に彼女もにこやかに言った。襲われたかと思った、と。…失礼な!!



***



そして只今3人で仲良く、食堂まで歩いてる。

桜輝さんと桜詩さんと一緒に。言い換えればヒロインとモブ主人公と一緒に。

言い換える必要性は感じないけど…ああ。なんでこんなことに。いや、ほとんど自業自得なのだけど。


「こっちは、第三音楽室よ。食堂は西館の3階だから。遠かったでしょ、木村さん。」


しかも道すがら道案内されるという、ありがたいオプション付き。



「そ、そうなんだ。あ、ありがとう。モブしゅ…いや桜詩さんまで…」

「全然?ちょうど腹へ、いや…お腹もなりそうだったし。確かに広いから迷いそうだよね。」

「そ、…そうだよね」



いや、あなたは絶対迷わないでしょうに。


モブ主人公こと桜詩さんのこと、思い出した。

特技その一!物覚えが超早い。

いや、あれは物覚えとかいうレベルじゃない。瞬間記憶能力的なやつ、一度見たら絶対忘れない的な。

この学校の構内地図なんか朝飯前でしょうが!ああ、羨ましいぃ…私にもあったらこんなことには。


いや…あったとしても使いこなせるかは別問題だな。


「迷いそうなのは、ここを設計した人のちょっとした遊び心らしいんだけどね。」

「へえ。それはまたはた迷惑な遊び心で。」


桜輝さんはクスクス笑ってる。

…美人さんは笑うと更に綺麗だわー。見惚れちゃう!

美人ってのは目の保養だね~。笑うとさらに素敵。


「そうね。でも設計したの人が三つ子だったっていうのは興味深い。」

「へ~三人も…いたんですね。」


はた迷惑な三人だ。


「敬語はいいのに。同い年でしょう?普通におしゃべりしたいな。」

「いえいえお気になさらず」

「えええ…まあ、いっか。学校のパンフレットに載ってたけど見ていて笑ちゃった。叔父様方らしいって」

「覚える必要性を感じなくてそこまで見てなくて…って知り合い?」

「うん。父の弟さんなの。三つ子よ。皆かっこいいのに悪戯好きで「かっこいいの!?」

「え、ええ」

「イケメンですか!!」

「そぅ…かしら?」


はっーーー!!

つい反応してしまった! 条件反射って怖い!

…ま、いいか。若干引いてくれちゃう方がこの後、楽かもしれないし。

自分のイケメン好きに対して何も恥ずかしくも思ってないけど、普通は引くと思うし。

シュイナにも「ニヤニヤしてて気持ち悪い」とか言われたし!!

…。

いや、別に根には持ってないもんね。


「あ、あの木村さん?」

「固まってる…」

「いい!」

「ぇ!?」

「いい!いや、ベストポジションは遠くから眺める、みたいな範囲が理想なんだけど。だって目の保養だしぃ。叔父様ってのもいいね。年を重ねた人が出すであろう独特の感じ。ああ…哀愁ってのがただようであろう感じがいい!!写真!写真はアリマスカ?!」

「なんでカタコト…」

「は、はい!あ、いや、ご、ごめんなさい?今は…」


持ってないんのか……


「ご、ごめんなさい!?」

「ああ、ほら。パンフレットに載ってるかも…あ、載ってないの?」

「お写真があまりお好きではなくて…ああ!!今度!!今度持ってきます!!」

「持ってくるって!」

「忘れずに持ってきます!」


…あれ?思ってた反応とチガウゾ?


それに二人共あんまり引いてない。むしろ放っておけない子供見ないな…

釈然としないけど。でも、写真は楽しみなのでお礼を言いたい。うん。

基本、貰えるものは貰っとけって言う教育方針なので、うち。

単純にその写真は気になる。嬉しい。


「へへへ。ありがとう…。ぎゅー。」


やば!しまったつい抱きついちゃったよ。予想外に嬉しかったんだな私め。幼児確定ジャン!


「あああ、うん。…はい。」

「…。」


ほらなんか生暖かな見守るような視線が~…固まってる。

何か2人とも固まっってる。しかも立ち止まってる。


どうしよう。こんなところに主人公さん達を置いて行けないよ。


あ、あそこ曲がれば食堂かしら。

うーん。

しばらく考えて、二人の制服の裾をむんずと掴む。

命名「裾引っ張って歩こう」作戦~。


「んんん~…ひぃ。」


無理だよ~…手、はち切れそうになるわ。



「…おわ?!」


手を掴まれた。あら、モブ主人公さ…いや桜詩さん。思ったより力強いんですね。びっくり。


「こっち。そっちに行くとトイレに逆戻り」

「ソウデスカ…」

「っぷ。何でカタコト?」


あら笑ってる。か、可愛いい。

ヒロインさんとは別タイプだけど彼女もやはり美人だ。彼女だってモブだけど主人公なのだから。

スタイルはいいし。ちょっとゆるっと巻かれた髪だって似合ってる。茶色のくりんとした瞳も愛嬌がある。


「そうね、戻っちゃう。」


あら、ヒロインさ…じゃない、いやあってるけど。桜輝さん。

やっぱ笑顔はさらに綺麗~絵になるぅ。


…いや、引っ張っるんだ。

今度は2人に。

え、…2人に繋がれて歩くの?


まってやっぱりそれって完全に子供扱い!?



***


…ってな感じで二人に連れられ食堂に。

いや誰?何事?と、ぽかんとした皆に今だと思った私の判断は間違ってなかった。

思わぬ速さで今までの経緯を説明し、心配かけた事を平謝りしたのだ。

…何故かまた後で詳しく聞きたいと、目が笑ってないともちゃんに言われたが。

とりあえず無事昼食の時間が始まった。…良かった。


…いや過保護過ぎない?


そんな感じで、始業式は終わったけど。


ゲーム中での一日は早かったのに現実はやっぱり違う。


まあゲームでは特に初日はイベントもないし数分で終わる出来事なのだろう。


というかプロローグだったのかもしれない。


確か、…入学式に出て、自己紹介の時に「ここはゲームの世界だったのね!」っていうのを思い出して雄叫びを上げて終了。で、ドーンとタイトル…やっぱプロローグ?や、あと1個くらいあったような。


…でも初日に食堂でヒロインとモブヒロインが共にお昼ご飯を食べるシーンなんてあったかなぁ?



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