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4話 食堂

主人公不在?

いや、主人公はいる。


あのふわふわピンクの可憐で儚げな美少女は間違いなく主人公だし。

ああ、じゃなくてホンモノの主人公!ああややこしいぃ。


まさかいないとか?

はっ。まさか私がモブ主人公!?ちょっとしたミスで入学式で気づいちゃって自己紹介じゃ雄叫びはあげませんでした、的な!?

ってことはゆくゆくはあのヒロインちゃんを親友として受け止め…いやいやいや命が幾つあっても足りないぃ…


「せんせーい、そーいえば一人いなくない?」


そうなの?!


「あぁ、保健室だ。入学式のあと体調を崩したみたいでな。」

「男の子?」

「いや、女子。」

「ふーん。名前見てどっちかなーって思ってたんだけど」

「私もー」

「たしかにー」


え、名前?

名前が書いてあったやつって言うと…あった!しまって帰るとこだったよ!

まだ教室残ってて良かった~!!


えーと………どれだ。ほぼほぼ聞いてなかったからなぁ。

全然わからないぞ。しかもどの名前も男の子にも女の子にも取れる名前に見えてきた。


ペちん。


「またフリーズして!!私お腹すいたわ!」

「ごめ…あれ、私のカバンは?」

「あたしが持ってるよー。葉月、入れたり出したりしてたんだもん。そのプリントも貸してー」


ぐぅ。


あ、お腹鳴った結構盛大に。

ああ、二人がクスクス笑ってるよ。聞こえちゃった?

でも確かに今は昼時だもんね。うん。おなかへったー。


実は、この学校の食堂はイケメンの次に楽しみだった。


”美味しい”って評判のここの学食。学生さん向きの安さはもちろんの事、ボリューミーだけどヘルシーで健康的だって。数々のここの学食の映像を見たけど、よだれが垂れちゃいそうだったもん。実際、垂れてるよって皆は言ってたけど。私は言葉の綾だってあえて思うことにする!


腹が減っては戦は出来ぬ。

前世の言葉だ。そうだよ。お腹は減ったのだから、とりあえず食べないと。


「学食って何階?」

「西館の3階ね。」

「すごいよねー。3階まるごと食堂だって。行ってみよ?」


それもはやレストランじゃん。

っていうか先生が言ってたでしょっていう、しぃの声は右から左に通り抜けてった。


ぐぅ。

あ、また鳴った。あれ、今度は二人共笑わない。ため息ついたよ。解せぬ。


***


そしてたどり着いた先は、学食ではなかった。


かふぇだ。

食堂っていうかレストランっていうかcafe、とりあえず、かっこよく言ってみた。


二人もいつになくお菓子入りそうな位くち開けてポカンとしてる。…入れてみようか。

嘘です。二人してそんな顔で見ないで。持ってないし!…あ!ほらりゅうさんだよ!

手を振ってこっち来てってアピールしてるよ!


「おお?」


ね、ねぇ、何回か言おうかと思ったんだけど。


私一人でも歩けるんですけど。

…きいてないい。


あ、りゅうさん。あ、みんなの分の席取っておいてくれたんだね。ありがとー。

み、水まで。女子力?いやお母さ…いやおとこ。おかん。あ、これから、心の中では、おかんと命名し呼ぶことにしようか---


「葉月ー?やめとけー」


あ、はい。やめときます。今まで通り、りゅうさんで。

うん。そのほうがしっくりくるしね。

いやーそれにしても広いし。大きいし。何か所々カラフル。テーブルとか椅子も何か丸々っこくて可愛い。実際、ゲームではそこまで描かれてなかったしねぇ。食堂、いやカフェのシーンはあったけど、基本キャラのバックに食堂っぽい風景が描かれてただっけだったし。実際に見れば、いや当たり前なんだけど奥行とかかなりあって、そこかしこに木々もあってオシャレな空間だったんだな。


ん?


そうだカフェのシーン。あるじゃん。あったじゃん。…どんな場面だったかなぁ。


「葉月ーこれがメニューだぞー。聞いてるかー」

「聞いてないみたいだねー。」

「ダメね。なんか今日はずっとフリーズ」

「俺らで選んじゃうぞーいーのかー」

「いいわよ、お腹すいたし。私はこれにするわ。葉月は…これかしら。」

「あーうん。好きそう。あたしはこれにするー。」


ガタガタガタン。おおお、びっくりした!

ええ、なになに。どこ行くの三人とも・・・何かな。その呆れたような眼差しは。

…え?あ、食券。買いに行くと。

6人分だから。3人で行くのね。

あたしも、ぇああ座ってて?ありがとう、おねがいシマース…


「いい?動いちゃダメだからね、はーちゃん!」

「分かった!席守ってる。」

「大丈夫かなー。まあ、今日は大半フリーズしてるから座っててくれると思うんだけど。」


あの、ともちゃん。フリーズって何?


「お、シュイナと葵、今こっちに向かってるらしいぞ。葵はあとちょいで着くってよ。」

「じゃあ、大丈夫ね。でも一応これ持ってて」


じゃ!と言って歩いてく3人の後ろ姿を見送る。手には前世で言うところの携帯を手渡された。

こっちでは”フォン”と言って電話しか出来ない。これ私は、持ちたかったけど、持ってないんだよねー。

いや正しくは、持てないんだけどね。

今やこれ自体はそんなに高くないし、高価なものでもないからね。6人の中でも持ってないのは私くらい。


「………」


でもなぜだろう。

なんか、発信機付けられた気分。


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