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3話 自己紹介

「新入生の皆、こんにちは。ああ、いや今はまだ違うな。おはよう。

 1ーAを担任する真野二矢まの おとやだ。よろしく。」


うっひゃーーーー。


おおっと。こりゃすごい。眩しいよぅ!!

ピカピカ、チカチカ。あるはずのない照明が先生のうしろに見えるんだけど!おまけに大輪の花まで見える。すごい!すごい!すごい!

イッケメンだーーー!!

かあこいいよぉ!!絶対今の何気ない挨拶で私を含めた何人かの女子を虜にしてしまったな!間違いない!


神々しいとかそんな美しさではないけど!例えるなら、遠くのイケメンより近くのイケメン。

…どういう意味だ。

例えたのは自分なのに頭の上にハテナマークが浮かんでるよ。


あの人が担任。

ってことは毎日、あの顔を拝める。くふふ。


…いやでも、ゲーム通りならあの人も攻略対象だ。

テンプレだけど。

主人公の担任だし。

でも直に見ればそれは納得だよ。だってやっぱかっこいい。

屈強ではないけど、ほどよく筋肉のついた身体にあのサッラサラの茶色の髪。・・・そしてあの笑顔だ。

先生というより、お兄ちゃん的な。


うへへ。そして無意識に頼りたくなる優しいあの笑顔は何。

そんな笑顔が毎日見れるわけなのね。ただクラスの担任というだけで。


「葉月、心の声漏れてる」

「はっ。シュイナいつからそこに」

「葉月と詩歌しいかが教室に入ってきた時にはいたと思うんだけど。僕そんなに存在薄い?」

「はっ!心の声ってどっから!」

「あ、聞いてないね。うへへ、くらいかな。顔ニヤけながらぼそぼそ声、ちょっと怖い」

「し、しつれいしました」


あ、くすっと笑ったな。無駄にカッコいいな。

わたしとほぼ変わんない身長で。

そのツルツルのお肌とバッサバサな睫毛は世の女の子に対する冒涜だと思うの。

でもイケメン。されどイケメン。


くそぅ。


こうなれば見てやる。見てやるぞシュイナ!穴があくまでじぃっとな!!


あら、立ち上がったわ。しかもにっこり笑ったわ。

分かる、あの笑顔は営業用だ。や、なんで。

おおおう、ちょっとゾクッとしちゃったじゃん。


「音緒シュイナです。第四中学出身です。よろしくお願いしますね。」


あぁ、自己紹介。

こっちにも営業用で笑いかけてくれたから笑い返してみたけど。

引きっつてただろな私。シュイナのあの笑顔は何か黒いものをかんじる。


ん?

ちょっとまってよ。

半分ほど終わってませんか。自己紹介。

重要だから、皆の自己紹介は心してかかろうと決めていたのにぃ!!記憶ない!

真野先生の笑顔のせいだあああっ!恐るべし…


「つぎは、木村か」


まあでもハプニングも起こってないし、半分位聞いていなかったけど。

本物ヒロインは残ってる、まだ自己紹介してないから、最大の目的モブ主人公が誰かは分かるだろう


そう、ゲームならここからが本番。


モブ主人公はヒロインが名前を言って思い出す。ここがゲームの世界で、自分はそのゲームのモブだってことに。

「えええええええ!!」という雄叫びとともに。


そう狙いはそこ!誰が叫んだかで誰がモブ主人公か分かるのよ!


「…あー、おい、おーい木村?」

「あ、はい。木村葉月です。出身は第四です。よろしくです。」

「…お前適当だなぁ」


なにおぅ。あなたに好感持たれたくないからこその態度なのに。

基本的にヒロインもモブ主人公も結果的にはあなたがきっかけで生徒会やら風紀やらいわゆる攻略対象と次々であっていくわけだからね。あくまでゲームでは、だから分かんないけど。

あ、でも担任じゃん。後々の進路的にはどうなんだそれ。

うん、そうだ。適度に好感は持たれとこう。


手始めに一応微笑んどこう。ほらにっこー。

え、変な顔で見られた。なんで。


なんでちょっと変な子見る目だったのかな。え、やだよ。興味なんか持ってないよね。

好意は拙いけど、興味もそれはそれで拙そうだもん。


「よーし。最後は桜輝か」


はああっと、聞かないと。見とかないと。

彼女こそ、それこそ穴があくまで見ておくべき……


びっしょうじょーーー。


彼女が立ったら何かもともと静かだったけど、ちらほら聞こえてた生徒の声も聞こえなくなったよ。

主に男子。

いやあ。何かゲームだって実感させられる感じ。


なんなんですか。そのふんわりピンクの髪の毛は。

何なんでしょう。その宝石のような翠の瞳は。


頬に赤みが差してちょっと猫目の好奇心あふれる瞳だから健康的だと分かるけど。

なーんか儚げなんだ。

あれか。庇護翼をそそる系か。


「桜輝ひめか、です。ちょっと訳あって自宅学習でした。こういう場所ははじめてで。えっと、…うん。よろしくお願いします。」


かっわえー。あのニッコリ笑顔もまたキュンとかきそう。

ちょっと赤くなってるとこがまた。


何か儚げだけど、どこか芯が通ってる感じがあって。モテるなこれはモテる。


「うん。よろしくな。桜輝。よしお前で最後だな。あー…みんな一年間、よろしくな。

何か困ったことがあったら相談しろよ。何でも助けになるとは言えないけど、協力は惜しまないし。

そうだな。…それこそ恋ばなとかでも。あ、でも俺以外のな?なんてなあ。ははは。」


みんなクスクス言ってる。おう、受けてんじゃんイケメンジョーク。


「とりあえず今日はここまで。明日遅刻すんなよ?じゃ、解散!」


わらわら、みんな立ち上がってく。

あ、やっぱ先生の方に行く女子率高いな~。桜輝さんの方にはこれまた男子が幾人。


おおと。シュイナの方にも何人か女子が!…ま、また営業用の笑顔。寒気が。


「葉月、フリーズしてないで帰ろうよー」

「そうよ。先生なら今日は結構見たから満足でしょ。っていうか明日から嫌というほど見れるわよ。」

「シュイナは先に行っててーって言ってたよ。」

「まあ、あれじゃ仕方ないわよ。こっちだって予想済み。多分葵も似たような状況だしね。二人共昼食は遅刻決定って感じじゃない?」

「まあね。行こー葉月」

「ほんと、いつまでフリーズしてんのよ。今回は長くない?」

「うーん、先生効果かな。先生、教室出てってくれないかなぁー」

「・・・あのねぇ」


とかなんとか言ってる二人の会話に若干耳を傾けてたんだけどね。

あんまりにもあっさり終わったから反応遅れちゃったじゃん。


あれえ…モブ主人公さん、雄叫びは?












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