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戦場の犬 魔法使いの猫  作者: ふーる30代
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精霊と守護霊

なにもない空間に自分だけがいる。地面もない。浮いているのか立っているのかよくわからない。


まわりの景色が宇宙なのか、瞼のうらに光をすかされたときのような景色にすら見える。


光?小さな光がいくつもある。あれはさっき見た精霊?大きさよりも量が多い。あれが宇宙の星空にみえたのか。


動物兵器は夢を見ない。

たが、これはまるで話に聞く夢のようだ。


懐かしい声が聞こえる。

あれは…パパ?


自分は三度マスターが代わっている。そのなかでも初代マスターであるユーリ・ナカジマ博士は地球由来生物研究所の動生物兵器部門の初代部門長であり、ミックスから(柴犬)成分の抽出を研究していた自分の生体ベースの作成者である。成長して半機械化するまでの数ヶ月を培養液から出して、通常環境で育ててくれた自分のパパ…



「久しぶりだね、シチ。おいで、撫でてあげよう。」


そう言われて自分は子犬に戻った気がした。


パパ パパ ずっと会いたかった。


「ありがとうシチ。でもね、パパはずっとお前の近くにいたんだよ。」


?どういうこと


「この世界の(魔力)というのは守護霊に存在感を与えてくれるみたいだ。だけど魂そのものはずっとお前と一緒にいたのだよ。」


サイキックは魂の力である。という考え方がある。過酷で広大な宇宙において地球の宗教は精神の安定くらいにしか意味はなくなった。しかし、サイキックの実在=魂の実在であり、宗教の考え方は科学的裏付けができるのではないか?という概念も広がる兆しをみせていたらしい。



ともかくパパの魂は実在して、魔力によって話せるようになったのだ。



「まさかシチが異世界転移するとはね。でもそのおかげでシチを助けられるかもしれないからすばらしいことだね。」


どういうこと?。パパがいてくれるのは嬉しいけどさすがに物理的な力はないよね?


「そうだね。でもシチはこれからメンテナンスはどうするつもりだったんだい?」


そうだ。もしメンテナンスが受けられなければ自分は機能不全に陥るかもしれない。


「エネルギー兵器を使えば反応電池の使用時に体内に未精製重金属が溜まる。機械化部分も金属疲労するし、実弾兵器も消耗する。飲食能力は残してあって助かった。たぶんこの世界の食べ物を食べることは重要だから。さて、さっき上げたメンテナンス不能の問題点だか、この世界の魔法でなんとかなりそうだよ。」


まさか魔法でメンテナンスするってこと?


「そうだよ。たとえば水魔法だか治癒と浄化の力がある。これはきみの重金属汚染を回復させられる。機械化部分の金属疲労は土の魔法に刃物の刃こぼれや破損を直す魔法がある。火薬は調達しないと難しいが、弾頭に火の魔法そのものを閉じ込めることも不可能ではない。ただきみ自身は実戦担当だからね。この広大なシチの精神世界に魔法の科学的運用をする研究所を作るのさ。シチが魔法に適応すれば精霊たちは成長するからそこで精霊を研究所員にしてきみをバックアップしよう。」



そうだ。パパはこんな人だった。頭がよくて研究熱心。研究のことになると饒舌になる。そして僕のことを大切に思ってくれる。



ありがとう。パパ



そして自分は目を覚ます。もう子犬ではない。戦場の犬の姿で。




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