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ヤンデレ彼女とお父様

お父様でます。どうでもいいけど・・・・・・。

「あああああぁぁあぁ!」


「どうしたの? 雪くん?」


「どうしたのじゃないよ! 俺はもうつらいです。 こんな人生なら死んだほうが……」


「じゃあ一緒に心中しちゃう?」


やばい。さゆりの目がマジだ。冗談でも言ってはいけないことだったんだ。


「え、えっと、冗談だよ冗談! ほら、心中もドラマチックでいいけど、生きてたほうが色々できるぞ! あんなことやこんなことが!」


「あんなことやこんなこと!? 雪くんはわたしとエッチィことがしたいんだね!?」


「い、いや! 遠慮しときます!」


「え~? もったいないよ~。やれる時にやっとかないと後悔するよ?」


「結構です!」


もう、なんかどんな話をしてもさゆりのペースにのまれてしまうな。なんという恐ろしい子……。


で、今は学校帰りで、あと少しで家に着く。


「雪君ホーム♪ 雪君ホーム♪」


ああ、寒気がする! その鼻歌をやめてくれ!


で、着きました。


「ただいま」

と一声かける。

すると、


「あ、お帰りなさい、さゆりちゃん」

「お帰り~、さゆりさん」

という声が。


「なんで俺がただいまって言ってるのにさゆりに挨拶してるの!?」


「だって、さゆりちゃんの方が可愛いし……」


「さゆりさんの方が綺麗だし……」


はい、わかりました。俺の家族からの評価は、他人よりも家族である俺の方が悪いということが……。


「で、今日の夕飯は?」


「も・ち・ろ・ん。お・で・ん!」


はい、おでんもう何日食べてるかなー。もうすでに飽きてるんですけど。いい加減別の料理を作ってください!


「何よその顔は? おでんが嫌ならさゆりちゃんに作ってもらえばいいじゃない。真心のこもったさゆりちゃんスペシャルを」


「いや! いいよ!」


物体Xはもうこりごりだからな。


ピンポーン。


チャイムが鳴る。

この時間に来る人、もとい、帰ってくる人といえば一人しかいない! そう、父さんだ!


「ちょっとトイレ!」


俺は、部屋からある荷物が入ってある鞄を取り出して、トイレへと向かう。


「雪君? お腹でも痛いの? なら私のどろどろ漢方があるよ~」


さゆりが何か言っているが気にしない。

そして準備をし、完了!

いざ出陣!


「お父様!」


「おお、我が愛しの可愛い雪よ! お父様が帰ってきたぞ!」


「え? 雪君……なの……?」


さゆりが驚くのも無理はない。

俺は今! 女装して父さんに話しかけているからだ!

父さんは俺の女装姿が好きで、女装時ならなんでも言う事を聞いてくれるのだ。


「可愛い~~~!!」


「へ?」


予想外の反応で驚く。もっとさゆりに軽蔑される方が俺的にはプラスなのだが……。


「雪君なの!? 雪君なんだね!? 雪ちゃんって呼んでもいい!?」


さゆりが妙に興奮しているが、とりあえず続きをしよう。


「お父様! わたくし、この、さゆりさんという人から付きまとわれているの! お願い! 追い出してほしいの!」


そう、ぶりっこ風に可愛くお願いする俺。


「ちょっとお兄ちゃん! さゆりさんが可愛そうじゃない! さゆりさんは、お兄ちゃんのために料理まで作ってくれる、偉い人なんだよ!」


「そうよ! そんな事! お父さんが許しても、私と春は許さないわよ!」


母さんと春はもう向こう側。頼れる人は父さんしかいないんです!


「おねが~い! お父様~!」


そして父さんの答えは、

「駄目だ」


「え? な、何故ですか?」


「いや、だって、雪のことを可愛いという人に、悪い人なんているわけないだろう!」


ああ……、そっか、同志を見つけたってわけね。はいはい、うん。もういっか……。


「じゃあ女装はお終い。お疲れ様でしたー」


「え!? なんでだい!? 雪!?」


「だって父さんが言うこと聞いてくれないんじゃ女装する意味がないよね?」


「うぅ、仕方ない……。さゆりちゃんとやら、すまないが今日はお引き取りを……」


そういうと三人から、

「さゆりちゃんは返さないからね。返したら、どうなるか、わかるわよね?」

「さゆりさんはすごくいい人なんだよ! それが分からないんなら二人とも死刑だよ!」

「わたし、雪君のこと好きだったのになぁ、死んじゃおうかな……」

という三連コンボ。


「だー! 分かったよ! 居ていいから! さゆりは居てもいいから! だから、せめて布団だけは二つ用意してくれ!」


と、俺は母さんに要求するが、母さんは当たり前のように、


「ダメよ。恋人同士なんだから一緒の布団で寝なくちゃ」


「は、はぁ……」


そして続いて、さゆりからの要求。


「あ、あとね! 雪君の女装姿がとっても可愛いから、そのままでいてね♪」


「えっと、拒否したら……?」


「無理心中!」


「わかりました……」


こうして、儚い希望も消え去りましたとさ。







「雪君はやっぱり可愛いなぁ~♪」「そうだろう! 雪は女装が似合うんだ!」

なんかさゆりと父さんが二人で盛り上がってるし……。

気にしないでおこう……。

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