ヤンデレ彼女と昼ご飯
ヤンデレっ子ほしいーーーー!
そして午前中の授業も終わり昼ご飯の時間。
いつもは中庭にあるテーブルで彩乃と一緒に食べている。だが今日は……。
「わたしは彼女だからもちろん一緒だよ!」
「俺はイチャラブしてるところを見たいから、もちろん一緒だぜ!」
二人増えました。
まあいっか。昼ご飯は至福の時間だ。今日の弁当中身はいったいどんなだろう?
そう期待を込めて弁当を開ける。
「なんじゃこりゃあああああああ!?」
「今日の朝の残りだよ。てへ、作りすぎちゃった」
いや、ベロ出されても可愛くないから!
改めて中を見てみる。弁当箱一面が、どす黒い血のような汁と内臓のような物体でいっぱいだった。
「お、俺、食欲ないから……」
「嘘だよ~! さっきまで食べる気満々な顔だったよ!」
「そうだぜ、せっかく彼女が作ってくれたんだから食べなきゃな!」
「それが血みどろ料理でもか?」
「そ、それは……」
優也はまだ俺のことを分かってくれる、こちら側の人間のようだ。が、彩乃は、
「まったく、『さゆりを泣かせるようなことをするな』と言っただろう? 私が食べさせてやるから食え」
と言う。相手は物体X! しかし彩乃が食べさせてくれる! ゴクリ……。
「じゃあ食べようかなー」
「あ、ここは、さゆりに食べさせてもらうべきだな」
「え!?」
変に気がきく彩乃はそんなことを提案するが、それって、なんて逆効果!?
「いやだあああああ! 食べたくないいいいいいい!」
「ほら、優也。一緒に雪を取り押さえるぞ!」
「す、すまん雪……」
「雪君、あ~ん」
「うわあああああああ!」
「はあ、酷い目にあった……」
「酷い目はないだろう、さゆりは雪の為に頑張って作ったのだぞ」
「女の子はこんな料理で喜ぶんですか?」
「喜ぶのだ!」
なんか彩乃を遠くに感じます。凄く悲しい……。
「まあ、お疲れ様……」
優也が俺の肩をポンと叩く。
優也め! 助けようとするどころか俺を押さえてたくせに……。
「では、私と優也は教室に戻るぞ」
「じゃあ、後は二人でごゆっくりな」
そんな言葉を残して、彩乃と優也は去っていく。
「えへへ、何しようか? ねぇ! 雪君!」
「えっと……、眠らせてくれ」
「うん! 一緒に寝よう♪」
俺は近くの芝生に背中を預けて横になった。そしてやはり、それに合わせて横になって、俺にくっついて離れないさゆり。
暑いし熱い。
「眠れないんだが」
「あ、そうだね。じゃあ、子守歌を歌ってあげる!」
そう言って歌ってくれるが、ハッキリ言ってうるさい。
「もう少し小さく頼む」
そう俺が頼むと、ぼそぼそと、何を言ってるかもわからない声で歌ってくる。
まあ、さゆりに普通ってのは難しかったのかもな。
「さゆり」
「何かな?」
「いちごオレとカレーパン買ってきて」
「うん! 任せて!」
そう了解して、さゆりはダッシュで買いに行ったようだ。
「これでゆっくり眠れる……」
「うん? あつい……」
目が覚めたら、やはり、さゆりは俺にくっついて眠っていた。
離れようとしても離してくれない。
仕方がないので、いちごオレとカレーパンを胃に放り込んで眠ることにする。
「むにゃむにゃ、雪君あったか~い……」
俺はあついぞ……。
ま、ヤンデレっ子なんていませんけどね。