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ヤンデレ彼女と想い人

彩乃登場。ひゃっはー!

「げふ」


俺の胃は、さゆりの特製料理のせいで暗黒状態。


「雪君ってば半分も食べてないよ? 具合でも悪いの?」


主にお前のせいでな。


「と、とにかく! 俺は学校に行くからな! ここは危険だ!」


「え~? 雪君の家ほど安全な場所はないよ~」


「じゃあ、ここにいなさい! 俺は行くから」


「勿論わたしは、いつでも雪君と一緒だよ♪」


やっぱり着いてくるんですね……。


学校へ行く準備をして、二人で家を出て学校へ向かう。


「ん、そう言えばさゆりは教科書、今日の分は揃ってるのか?」


「勿論揃ってないよ!」


「いや、元気に答えられても……」


「でも大丈夫! 雪君に見せてもらうから!」


「いや、俺とさゆりってクラス違うからね?」


「えへへ、まぁ期待しててよ!」


そう言って、珍しく俺から離れて、足早に学校へと向かうさゆり。


あんまり期待したくはないんだがな……。

でもまぁ、これで一時の間はゆったりとした時間が過ごせそうだな。


そんな風に思っていたら誰かに肩を叩かれる。


「おはよう、雪」


「あ、彩乃」


この(むかえ)彩乃(あやの)が俺の好きな人。

俺も昔(さゆりに会う前)はさゆりみたいに、いじめられてた時期があった。

それは俺が、自分の意思を言えない人間だったから。


そんな俺を助けて、更生させてくれたのが彩乃だ。

俺はそんな彩乃が好きで、彩乃に認めてもらえるような、立派な男になりたいんだ! 帰宅部だけど……。


「ん? 何か今日はいつもより疲れた顔をしているな。うむ、肩を揉んでやろう」


そう言って、俺の肩を揉んで、ほぐしてくれる彩乃。俺は彩乃のそんなところも大好きだ。


「いつも悪いな。俺、彩乃みたいなカッコイイ男になるから!」


「ふ、私のようになっても格好良くはないぞ?」


そんな感じで、いつもしているように、二人で手をつないで登校する。

この時間が一番幸せなのかもしれない。好きな人との何気ない会話なんかの、日常的な生活。

そう。俺は今、幸せだ!


そんな幸せな気分で歩いていき、校門前。


「雪君!」


肩がビクッっと震える。や、やばい……。


「どうして、その子と仲良さそうに、手をつないで登校してるのかな?」


さゆりの少し低めな声。威圧感を感じる。恐ろしい!


「い、いや、これは、その……、昔からの名残というか……、なんと言うか……」


彩乃が俺を助けてくれてからは、俺を守ってくれるように手をつないで登校してくれるようになったのだ。それが昔から続いていて、今に至るというわけだ。


そして周りの『雪と彩乃ラブラブー!』と言うような声が、さゆりの神経を逆なでする。


「雪君を奪う子は死んじゃえ!」


「馬鹿!」


さゆりはカッターを片手に、彩乃に向かって突っ込んでくる。


「ふん」


しかし、彩乃はその手を押さえ、さゆりの左足を思いっきり踏む。


「きゃっ!?」


さゆりはカッターを放し、踏まれた左足を押さえている。


「まったく、やって良い事と悪い事の区別もつかないのか?」


そんな言葉を投げかけられたさゆりは


「だって、わたしは、雪君の彼女なのに……雪君がとられちゃう……」


と泣きそうな声で答える。


「はあ、まさか雪に彼女がいたとはな……」


彩乃は真剣な表情で腕を組み、少し考えたようで、腕組を外してさゆりを見つめる。


「雪のことが好きなら応援してやる。私はお前から雪を取らない」


え!? 好きな人から、偽りの恋を応援されるの? 悲しいよね……、いや! それ以上だよね!?


「え、えっと……彩乃さんですよね? わたしはさゆりです! どうぞ応援してください!」


「うむ、頑張れよ」


そして二人は握手を交わしだした。

うん。なんか仲良くなってほしくない二人が仲良くなっているわけだが・・・・・・。


「雪」


「は、はい?」


「さゆりを泣かせるようなことをしたら許さないからな」


「はい……」


こうして、ほぼ、俺の青春は終了しようとしていた。

次はいよいよ学校。

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