ヤンデレ彼女と対決提案
執筆してると時間があっという間に過ぎていきますね。
その後も、相変わらずに気の休まらない感じだったが、かなりの時間をかけて、なんとか牛肉コロッケを全部食べきった俺。
っていうか、もう授業終わってる時間帯だよな。
「はぁ……」
マジで死にそうだ……。
心身共にかなりのダメージを受けていると実感できる……。
「それにしてもこれだけの量を全部食べきるなんて、わたしが真心を込めた、愛の手作りコロッケがそんなに美味しかったんだね♪」
「あ、ああ、そうかもな……」
うん……。普通は明らかに美味しくないって分かるよね……?
しかし、食べきらないといけなかった。
全部食べないと、どんな恐ろしい事になっていたか分かったもんじゃないしな……。
「ゆ、雪さん!」
景助君が、突然声を張り上げる。今に始まった事じゃないからあまり驚かないけど。
「どうかした? 景助君?」
「ぼ、僕も雪さんにお弁当を作ってあげたいです!」
「え? マジ!? いやぁー、そりゃ喜んで」
さゆりの作る料理とおでんに飽き飽きしていたので、つい嬉しくて了解しようとする。が。
「……」
やはりさゆりの方から、無言の威圧感を感じるのであった……。
「お、お断りいたします……」
はぁ、食べたかったなぁ……。でも、俺や景助君が酷い目に遭うよりはマシだろう。
しかし景助君は、やはり悲観的になり、
「うぅ……、やっぱり僕の作るお弁当なんて、誰も要りませんよね……」
と涙を溜める。
「い、いや! 毎日さゆりに弁当を作ってもらうことになってるからさ! 景助君の作ってくれる弁当を残すわけにはいかないしさ! な!?」
これは仕方のないことで、景助君は悪くない! 悪くないんだ!
だからそんなに、悲しそうな顔をしないでくれ!
その思いが伝わったのか、涙の溜まった目を、手で拭う景助君。
「そうかも知れませんね……。で、でも! 僕は雪さんに作ってあげたいんです!」
「そ、そうは言ってもな……」
俺がどうにか諦めてもらえないかと悩んでいると、
「ふっ、話は聞かせてもらった!」
「へ?」
後ろから声がするので振り向くと、腕を組んだ彩乃が、仁王立ちしていた。
「彩乃ぉ!」
彩乃だ! 俺の大好きな彩乃だ! 会いたかった!
さぁ、彩乃はこの状況を、どのように解決してくれるんだろうか!?
そう期待していると、彩乃は笑みを浮かべる。
「私に考えがある! 愛する雪を取りあう『愛の料理対決』を行う事を、ここに提案する!」
「・・・・・・」
え、っと……。よく分からん……。
というか、その取りあう中に彩乃がいないのが、俺としては一番の不満です……。
しかし、そんな俺の気持ちとは裏腹に、さゆりは嬉しそうで、
「さすが彩乃さんだよ! わたしがこの子に、絶対に敵わない相手がいる事を、教えてあげられるわけだね!?」
「その通りだ!」
もちろん景助君も嬉しそうに、
「素敵です! この人より僕の方が美味しければ、僕が毎日、雪さんに作ってあげることも可能だという事ですよね!?」
「その通りだ!」
うん。なんか彩乃が一番嬉しそうなんだが……。
俺は彩乃の手料理が食べたいのに!
そして彩乃は、当たり前のように仕切りだす。
「ではルールの説明だ。まあ、いたって簡単な対決方法だ。各々が雪の為に、愛情たっぷりのもの凄い弁当を作り、雪に食べ比べをしてもらい、雪をより、『美味い』と唸らせた方の勝ちというわけだ」
「さすが彩乃さん! 超単純明快なんだよ!」
「さすがです! 単純すぎますけど!」
「そう誉めるな」
なんかさゆりも景助君も、彩乃をバカにしてるような気がするのは気のせいか?
うん。多分気のせいだろう……。
そしてそんな事はみじんも感じていない彩乃は、
「では、決戦の日は明日という事でいいか? 明後日は学校は休みだし、早く決着がついた方が何かといいだろう?」
と、二人に提案する。
「異論は無いんだよ!」
「僕もそれでいいですよ!」
二人共了解したので、彩乃はご機嫌になる。
「よし! では明日の昼休みに決闘を行う! 二人共! 明日の為に今から買い出しだ! いざ出陣!」
「おぉ~!」
「了解です!」
彩乃の声に、さゆりと景助君は、それぞれ走っていなくなる。
「明日が楽しみだな!?」
「そ、そうだな……」
彩乃は、本当に楽しそうにルンルンと去っていく。
「はぁ……」
俺がガックリと肩を落としていると、後ろから肩をポンと置かれる。
「お前も大変だな……」
「あぁ、優也か……。でも、さゆりがいなくなったから一時はゆっくり休めそうだ」
はぁ、本当に疲れるよ……。
「そうか、暇ならお前と二人でゲーセンにでも行こうかと思ったんだがな。まぁ、なんだ、ゆっくりしたいみたいだからまた今度な……」
「優也ぁー!」
「うぇ!?」
思わず優也に抱きついてしまう。
あぁ、優也が天使に見えるよ。優也大好き!
「離れろバカ! 俺にそっち系の趣味は無いぞ!」
「いいじゃん! 今は優也だけが癒しなんだよー!」
俺の言葉で、優也の離そうとする力が弱くなる。
「はぁ……、分かった分かった。お前はよく頑張ったよ」
優也はそう言って、俺の背中を優しく叩いてくれる。
「優也大好きだー」
「お、俺も少しだけな……」
あぁ、ずっとこんな感じならいいのになぁ……。
しかし、こんなところをさゆりに見られたら、俺はどうなってしまうのか?
そんな事が脳裏に浮かぶ。
「雪君」
「ひぃ!? さ、さゆり……さん……」
さゆりのドスの利いた声で、変な声が出てしまう俺。
優也もさゆりの声で、慌てて俺から離れる。
「そ、その……、なんで……」
俺の疑問に対して、さゆりは尚もその声で、
「雪君に『行ってきますのハグ』するの忘れてたから」
「じゃ、じゃあ……、い、行ってらっしゃい……」
俺はそんな言葉をさゆりにかけながら、さゆりをぎゅっと抱きしめる。
「ゆ、雪君……♪」
さゆりの声は、いつもの俺に話しかけてくれる調子に戻り、俺を見上げて背を伸ばし、
「行ってきますのちゅっ♪」
と、俺の頬にキスをしてくる。
「……、うぇ!?」
「じゃあ行ってくるね~! 愛してるよ雪く~ん♪」
そんな感じで、走って去っていくさゆり。
「は、ははははは」
「ゆ、雪……?」
なんで俺はハグなんてしたんだ!? アホか!?
さゆりにはファーストキスを奪われるし……。
はぁ、なんかもう、回避なんてできない状況まで来てる気がするよ……。
「なんだ、その……。まぁ、ゆっくり休めよ……」
そう言い残して優也も去っていく。
もうやだあああああああああ!
「雪君の為にもの凄く美味しい料理を作るぞ~!」
なんだこの展開は!?まぁいいや。次は勿論決闘ですよ~。




