表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

ヤンデレ彼女の誕生

初投稿。ヤンデレが嫌いな人は注意。

ここは学校で、今は夕方。

俺の名前は、真冬(まふゆ)(ゆき)高校二年生の立派な帰宅部だ。

で、帰ってテレビでも見ようかと思い学校を出ようとした。

そして、げた箱を開けてみると手紙が……。

シンプルな白い紙に『午後6時30分に屋上で待つ』と書かれただけ。

これでは告白なのか決闘なのかは分からない。が、呼ばれたので行くことにはする。

でも、まだ時間は5時前。本でも読んで暇をつぶすか……。


そして6時30分。


「よし! 誰が俺を呼んだのか楽しみだ!」


もしかしたら俺の好きな、彩乃(あやの)かもしれないし!


屋上に繋がる扉には鍵もかかってなく、すんなりと入れた。

しかし、ぱっと見、誰もいない。が。


「おい!」


制服姿の女の子が屋上の柵の向こう側におり、今にも飛び降りそうだ。

俺は慌ててその方に向かう。


「やめろ! 死んでもなんにもならないぞ!」


「わたしは雪君に嫌われてるんだ……雪君が嫌う世界なんていらない!」


何を言ったのか。俺に嫌われていると言ったのか? 別にそんなことはないんだが……。


「俺は嫌いなんかじゃないぞ! だからこっちに戻ってこい!」


俺の言葉に反応して彼女はこちらに振り向く。


「じゃあ、好き?」


「それは答えかねるが……」


「じゃあ死ぬ!」


「だー! 分かったよ! 好きです! 好きすぎてます! ほら、これでいいんだろ!?」


「うん! じゃあそっちにいくね♪」


そう言い彼女は笑顔になって、素早くこちらに戻ってくる。


「はぁ、それにしてもなんで死のうとしてたんだよ?」


「雪君に嫌われてるのかなって、思ったから……」


「何故に!?」


「だって、約束の時間に来てくれなかったんだもん……」


「時間って、3分も過ぎてなかったぞ?」


「1秒でも待たされたら死んじゃうの!」


俺を真っ直ぐ見て、涙目で言う彼女。

たぶん彼女が手紙をくれた主で、俺に告白をするつもりだったんだろうな・・・・・・。

うん。なんだかちょっと悪い事をした気持ちになるじゃないか。女の子の涙は恐ろしいな・・・・・・。


あ、彼女の名前を聞いておかないとな。


「君の名前は?」


「え!? 分からないの? もう死んじゃう」


彼女はうつむいて、どこからともなくカッターを取り出して自分の手首に当てる。


「ちょい待て! 今思い出すから!」


そして考える。頭をものすごく捻る。捻りに捻った。しかし分からない……。


「死んじゃうよ?」


「ひ、ヒント! ヒントをくれ!」


そう言うと、彼女は優しく微笑む。


「助けてもらったよ」


「……あ! もしかして、さゆりか!?」


「うん! やっと思い出してくれたんだね! 嬉しいよ♪」


小学校の頃、さゆりはクラスの皆からいじめを受けていた。

俺はそのいじめてる奴らから『さゆりを助けた』という形になるのだろう。

そして、さゆりはすぐに転校をして俺とは離れ離れになった。


「さゆりか。立派に成長してたから気づかなかったよ」


そう、よく見てみると『可愛い美少女』という感じだ。

しかし、昔のように病んでいる。だからいじめとか受けてたんだって!


「わたしね、今日この日のために、今まで死なずにいたんだよ? 雪君が大好きだから……。だから! 雪君が恋人になってくれたら嬉しいなって」


そうか……。でも、さゆりと同じように、俺にだって想い人くらいいるさ……。


「悪いけど、俺には好きな人がいるんだ。だから付き合うのはだめだ」


「そっか……」


さゆりはカッターを!


「ストーップ! カッターは禁止です!」


「じゃあ、わたしはどうすればいいの?」


「友達ならいいからさ、また一緒に遊ぼうぜ」


「恋人がいいのー!」


「いや、だから俺には……」


「さっきは、好きって言ったくせに! 雪君の嘘つき!」


今度はカッターを振り上げて思いっきり手首に!


もちろん俺は止めに入る。ぎりぎりでカッターを持った方の手首を押さえる。


「放してよ! 雪君に好かれないんだったら死んだ方がいいもん!」


「ちょ、ちょっと待ってくれ! ま、まずはカッターを置こうか。お、俺はカッターなんか持たない女の子の方が好きなんだ!」


適当に口から出た言葉だが、さゆりにはそれが効いたようで、


「わ、分かった! ほら、置いたよ。じゃあ、付き合ってね♪」


と、嬉しそうに笑顔になる。


「え、えっと、付き合わなかったらどうなるの……?」


「雪君のせいで自殺したって遺言状に書いちゃうよ」


「はい!?」


まじか!? いったい、どうすれば……。


「雪君。もう時間ないよ。わたし、死んじゃうよ?」


うん……。さゆりが死ぬよりは付き合ってあげる方が、断然マシではある……かな?


「わ、分かりました……。付き合ってもいいでしょう……。ただし! お試し期間だからな! もしかしたら、性格とか合わないかもしれないし……」


「やった~! うん! 大丈夫だよ! 雪君にはわたししかいないんだって、教えてあげるから♪」


なんか夏なのに、ものすごく寒気がするな。帰るか……。


そして、俺の右手がさゆりの暖かい指先に包まれた。


「暖かいでしょ? これからは、ずっとこのままだよ♪」


うん。もう駄目だ。さゆりのペース。さゆりゾーン。どうにもできん。


……まあ、でも、夕暮れ時の今は、暖かいからいいのかもな。たぶん……。

どうでしたか?意見、感想、待ってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ