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 転生してすぐに、グレーネス家は裕福な家のようだと気づいた。


 リュカには専門のメイドが何人もつき、毎日朝から晩までつきっきりで世話をされる。まだあまり動けないために周りの様子をうかがい知ることは難しいが、それでもリュカの住む部屋が非常に広く、調度品も格調高いものだと分かった。


――好都合だ。金があれば、多少の無理は通る。


 リュカは金に物言わせて弱者を虐げる自分を想像してすこし笑った。


 そんなリュカを見たメイドの一人が微笑んだ。どうやらリュカがほくそ笑むさまははたから見ると赤ん坊がキャッキャと無邪気に笑っているようにみえるらしい。


「リュカ様、――――――――。――、――――――。――――」


 メイドがなにか言ってリュカを抱きあげる。リュカ様しか聞き取れなかったが、言語の違いは仕方ない。


 言語どころか、世界が違う。前の「平坂として生きてきた世界」には、このメイドのように耳の尖った浅黒い肌の種族は存在しなかったのだから。


「―――――――――」


 彼女は大切そうにリュカを抱き寄せると、メイド服の前をはだけて乳房をあらわにした。


 リュカは彼女の形のいい乳房を口に含み、母乳を飲む。赤ん坊としては至極まっとうな行為にも関わらず、精神年齢24のリュカとしては釈然としない。


――まあ、仕方ないか。


 体が弱くては、出来ることもできない。そう割り切ることにしたリュカだった。そういうことができるようになるまで、時間は嫌というほどある。


――それまで、何か別のことにうちこむのも悪くはないかもしれない。


 授乳をされたまま、リュカは今日何度目ともしれない眠りに落ちた。

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