番外編
おネコ様が、聖女様として大聖堂に来てから早半年が過ぎていた。
おネコ様は、毎日マイペースに過ごしている。
時には怪我や病を癒やし、時にはご老人の膝の上でゴロゴロし、時には散歩のついでに魔物を狩り、時には護衛リアムを揶揄う。
これが、おネコ様の日常である。
そんな気ままなおネコ様であるが、最近は日向ぼっこをしていることが多い。
動くのが好きなおネコ様にとっては、不思議なことだ。
それに、少し丸くなったような……?
「おネコ様、太りました?」
リアムが率直に尋ねた。
『シャー!レディにそんにゃこと、言うもんじゃにゃーよ!』
「す、すみません!でも、なんかお腹がぽっこりになっていません?」
『にゃにを言うかと思えば、妊娠しているから当然にゃよ。』
「あぁ、妊娠………………に、にんしん!?妊娠って、あの、妊娠!?!?」
『にゃにを言ってるにゃ。あのもにゃにも、妊娠は、妊娠にゃよ。』
「どこのクソネコですか!?どこの泥棒ネコですか!?うちのおネコ様を妊娠させといて、責任取らないやつは!?」
『どこって、その辺の……』
「その辺んんん!?教皇様ー!教皇様ーーー!!!!」
リアムはおネコ様をいつも以上に丁寧に抱っこすると、猛ダッシュで教皇の執務室に向かった。
その勢いのまま執務室の扉を跳び蹴りし、部屋の中に駆け込んだ。
「どうした、騒がしい。」
「おネコ様が!おネコ様がその辺の男と子どもを作って妊娠していますぅぅぅぅ!!」
「なぁーにぃー!?どこの男だ!?私が成敗してくれる!」
『はぁ……そんにゃに気ににゃーのにゃら、連れてこようかにゃ。』
「「お願いします!」」
教皇とリアムは全く同じ表情で、同じセリフを言ったのだった。
数日後、おネコ様が連れてきたのは、白いネコ……ではなく、白いトラ、白虎であった。
神獣の一角を務める白虎は、誰でも知っている存在だった。
確かにネコだ。
非常に大きく括れば。
ただ、誰にとっても予想外だっただけだ。
腰を抜かしている人間をよそに、おネコ様白虎の背で大きな欠伸を溢すのだった。
この後、白虎も同棲すると言い出したり、コネコ様が生まれて新たな大騒動に巻き込まれるのだが、この時のリアムと教皇は、まだ知らなかった。




