世捨て人、出会う
ノウマは己に向き合った。
現実逃避に良いことは無いとノウマはわかっている。
(なんでベッドに女性が二人居たんだ・・・)
しかし、まだ脳が覚醒仕切っていないようで、
「昨日は何があったんだ・・・」
小さくつぶやく、ただ淡々と一つずつ思い出すことにした。
広くはないが狭くもない、そんな家にノウマは暮らしていた。
寝室に入る日の出と共にノウマは活動し始める。
ベッドから起き上がり、軽く伸びをする。
キッチンに向かい軽く朝食を食べる。
(ご馳走様でした。)
さっさと片付け、外にでて、入念に準備運動をする。
この準備運動にはかなり時間が掛かる。
常日頃どんな時でも動けるようにと、父親からの教え。
最初は面倒でサボっていたこともあったが、今では続いている、大切な日課。
準備運動が終わり、狩りの準備をする。
父親からもらった狩猟セット、未だに使ったことは無いものもあるが、これも入念に確認する。
狩りは全力で行う、命を賭け・命を頂く、そしてそれに使う道具には一つの不具合はあってはならない、
これも父親からの教え、準備運動も含め生きるための秘訣でもあるらしい。
長い準備が終わり、太陽が丁度頭上を照らす。
(さて、行くか)
ノウマは狩猟セットを装備して、ゆっくり森を進んでいった。
途中生き物の足跡を見つけては周囲を確認する、
(まだ新しい足跡・・・だけど・・・狼?なんだ??)
この森で見たことがある足跡とは少し違うそれは、ノウマを少し悩ませるが、
獲物を横取りされるのも困るので警戒をしながらゆっくり森を進み地道に足跡の主を探す。
「ワォォォォォォォォン!!!!」
突然聞こえる遠吠えに警戒と緊張が一気に襲ってくる、
ただ少し様子がおかしい・・・
「・・・・!」
突然聞こえる微かな音に鼓動が早くなる。
その音には聞き覚えがあった。
気配を消しながらその音に近づいていくと同時に鼓動がさらに早くなり、緊張の中
心臓の音が気になりながら、さらにゆっくり近づく。
「・・・・ぁ!!」
「・・・・・あぁ!!!」
音の正体はやはり人の声だった。
どうやら足跡の主と鉢合わせたらしいと分かったノウマの足は止まった。
(まさか、この森で人を見るとはね)
そう思っていたら、自然と心臓の鼓動は収まり、緊張も少し緩む。
(いったん家に帰るか・・・)
様子を見つつ後ろに下がろうとしていた時に
「うわ・・・・ああぁ!!!」
気づいた、というかそう思った。
(泣いて・・・いるのか・・・?)
答えはわからないが、そのまま立ち去るのも少し気が咎めた。
久しく見ていない人が少しノウマを悩ませた。
(死ぬにしたってせめて俺がいないところで頼む)
少し酷だが、そう思った。森は危険なことが多い、母親も森の獣に殺されたと父親から聞いた。
護身ができないといけないのは勿論のことだが、細心の注意が必要だ。もちろん注意をしていても、死ぬときは死ぬと思う、運が悪いといえば雑だが、それが真実だ。
(とりあえず、手助けはしてみるか・・・)
再度、警戒しながら緊張感を高め、少しペースを上げ近づく。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ワォォォォォォォォン!!!」
遠吠えと声がはっきり聞こえる、やはり泣いているようだ。
しかし獣を前にそんなに泣くかね・・・
そんなことを思いながら近く、姿が木陰から見えたと同時に見たこともない光景がそこにあった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ヒックヒック
「ワォォォォォォォォン!!!」ワンワン
「なんで二人(うち一匹)で泣いてるんだ・・・」
「「!!!!!!!!!」」
(しまった!!)
二人(うち一匹)が同時にこっちを向き、目が合ってしまった。
今ならまだ逃げれる、そう思った時には遅かった。
「うわぁぁぁぁ!!!助けてくれないか!!!」
「ワンワンワオーン!!!」
うん・・・今日もいい天気だなぁ
「一旦・・・話・・・聞かせろ」
世捨て人、二人に出会う。
初めまして、あそびです。
拙い文章ですが、頑張ります。
どうぞ宜しくお願い致します。
キャラ小紹介
ノウマ①
幼いころから森育ち、父親と一緒に数回森を出たことがあり、
人と遊んだこともあるが、本人は忘れている。
好きな食べ物は干し肉(一番食べる物)