子供は野球チームが出来る程欲しい
エルミィは惚けていた。
目は焦点を結ばず、頬は紅潮し、口元にはうっすらと笑み――
(男の子だったら「ルディ」。女の子だったら「ルゼリア」かな……でも2人目は……)
完全に、未来設計モードに突入していた。
マークワンはというと、予想に反して素直だった。
「先程の一件。ミリウス・レッドウッド様に対して無礼があったことを認め、ここに謝罪する」
「どうか、寛大なるお許しを」
その言葉に、周囲は一瞬耳を疑った。
まさか、あのマークワンが――謝った?
しかも、ちゃんとした口調で?
トーマスが小声で呟く。
「……いったい何人、謝罪する人が現れれば気が済むんだ、あの鉄塊は……」
それを聞いて、イフリートは思わず吹き出しそうになったが、何とか堪えた。
だがその空気の中で、一人だけ、深刻な表情を浮かべている者がいた。
風の精霊王。シルフの父。
彼は眉間に皺を寄せ、ぶつぶつと呟いていた。
「末娘……あの末娘が……」
「まさか……まさか……」
「ミリウスの……2号になったら……!」
ぶるりと震えた。
「世界が……崩壊するぞ……!」
その瞬間、遠くから風が吹いた気がした。
彼の脳裏には、“ミリウスの子どもたちに囲まれて幸せそうに笑うシルフ”と、それを囲んでにこやかに笑うウインディーネ・イフリート・エルミィの姿が浮かび上がっていた。
その光景の背後には、マークワンが赤子を抱えたまま“無表情”で子守歌を歌っているという地獄絵図が――
「やめろぉぉぉぉぉっ!!」
風の精霊王の絶叫が、静かな火山地帯にこだました。




