リゼリナは呆れながら
リゼリナは肩をすくめ、呆れたようにマルカの発言を否定した。
「……マルカの言うことなんて、半分以上信じちゃダメよ」
「俺は、もちろん」
ミリウスは頷く。
「そうですね……信じちゃダメですね。というか……半分以上、マルカさんが何を言ってるのか理解できないんですけど」
その言葉に、トーマスとエルミィも小さく吹き出す。
ミリウスは続けた。
「でも、ウインディーネが恐れるマークワンのこと、精霊である風の精霊王も興味がないわけじゃないと思うんです。……ウインディーネも、マルカさんも、あまり悪ふざけはしないでください」
誰もが一瞬黙り、視線を交わす。
「……現状、風の精霊王に意図があるのか、ないのか。それすらわからない」
リゼリナが言葉を継ぐ。
「やっぱり、私たちが直接会って確かめないと話は進まないわ。……それに、風の精霊王に関する記録はほとんど残されていない。試練が何を求めてくるかも未知数よ」
「いざとなったら、マークワンの武力で交渉すればいい」
誰ともなく呟いたその言葉に、ミリウスはふとリゼリナを見つめた。
彼女はまた、何かを思い詰めているように見えた。
だが、ミリウスは静かに首を振る。
「……マークワンの武力に頼れば、ウインディーネのときみたいに、精霊との間に軋轢が生まれるかもしれない。
武力を使わずに済むほうが、ずっと価値がある。――それが、この旅で俺なりに学んだことです」
その瞬間、どこかでトーマスが笑みを浮かべたように見えた。
まるで、“師匠”が心の中で静かに頷いているように──ミリウスには、そんな気がした。
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