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マルカ工房
うーん筆が進まない。
私は、ウインディーネの左足を確認する。
やはり――マルカ工房の意匠が刻まれていた。
どこか、イルカに似ている。
イリーネは面白くなさそうな顔をして言った。
「そういうところ、彼に似てないね」
「彼なら、例えピーして、そしてピーするもの」
私はイリーネに顔を向けて言う。
「母さんは、息子がまともに育ったことを喜んで」
「自分が愛した男のことを下げる発言は、控えた方がいい」
イリーネはなぜか嬉しそうな顔で笑う。
「そういう屁理屈っぽい言い方、彼にそっくりね」
……付き合っていられない。
私はウインデーネを横抱きに抱え上げる。
イリーネは慌てて続ける。
「彼はピーして、ピーもしたけど……ピーはしなかったのよ」
私は呆れながら振り返り、
「母さん。実の息子の前で卑猥な単語を並べて面白いの?」
「安心して。母さんの息子はまともです」
そう言いながら、私は思っていたよりも軽いウインデーネを、別の客室のベッドへと運び――
そっとドアを閉めた。
十八禁じゃないので直情的な表現が出来ない。