母との邂逅 副題 パンツは白かな
イリーネさんお前もか
イリーネは顔を上げて、私を見る。
「大きくなったわね、ミリウス」
私は微笑んで答える。
「母さんも元気そうで、何よりだよ」
イリーネは少しほっとしたような顔をした。
「今でも“母さん”って呼んでくれるのね」
私は何でもない顔で答える。
「普通でしょ。再婚しても、血の繋がりが消えるわけじゃない」
イリーネは少し難しい顔をして言う。
「そういうところ、あの人に似ているわね」
私は目を細め、軽く睨むように言った。
「賞金首の件……母さんでしょ」
イリーネはため息交じりに笑う。
「そういう鋭いところも、あの人にそっくり」
私は肩をすくめながら言う。
「あまりイルカさんに迷惑をかけないでよ」
イリーネは呆れた顔をして笑う。
「それもあの人にそっくり。元夫と実の息子まで、彼女に取られるのかしらね」
私は真剣な目で母を見る。
「母さんは、僕のことを応援してくれるよね?」
イリーネは、くすりと笑ってこう言った。
「エルミィ、可愛いでしょう? どう、ミリウスにならお嫁にあげてもいいわよ」
「エルミィも、あなたに懐いているみたいだし」
私は母の戯言を聞かなかったふりをして、話を切り替える。
「それより……ブラックウッド父娘とウインディーネ、どうするの? このまま食堂の床に転がしておくのもなんだし」
イリーネは「それもそうね」とうなずき、呼び鈴を鳴らして使用人を呼んだ。
「主人を寝室に運んでちょうだい」
そして私に向き直って、さらりと言う。
「悪いけど、ミリウスはエルミィの寝室に運んでね。母さん、早く孫の顔が見たいな」
私はイリーネを完全に無視して、ウインディーネの元へ歩いて行った。
「……パンツは、白かな」
イリーネは呆れながら、ぽつりと呟く。
「そういうところも、以下略…」
ミリウス もしかして もしかして。