生き地獄を共に
俺──
俺はここで死ぬのか。
レッドウッド家の末代が、やはり俺になるんだな。
家のことなんて、普段は何も考えてなかったくせに。
死ぬ間際になって、何を考えてるんだ、俺は。
血が、肺に逆流して、息もできない。
視界がぼやけて、世界がぐにゃぐにゃに歪む。
頭の中で、どこかで聞いたような声が囁く。
「ミリウス……私を呼んで。思い出して。
私を一人にしないで。私、いま死にそうなんだ。……ああ、恥ずかしい。
一緒に地獄を見よう、生き地獄を──
何が“四界の王に成り代わって”だ、ぷぷぷっ。
中二病丸出し……夜中に思い出して枕に顔を埋めて両足バタバタしよ……」
俺は──思い出した。
「ウイー……ウジューン……」
フゴフゴ声。言葉にならない。
けど、応えた。
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」
「ウインデーネ、参上!」
空間が歪んだ。
トーマスが、反射的に一歩引く。
目の前に現れた少女の存在に、怯えが混じる。
次の瞬間──
トーマスの両肩から、鮮血が吹き出した。
斜めに裂かれた肉。咄嗟に身を翻したのに、避けきれなかった。
トーマスは呻き、片膝をつく。
痛みで、意識が飛びそうになっていた。
ウインデーネは、胸を張って得意げに言う。
「水刃の切れ味、どう?」




