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銘菓 地獄めぐり饅頭 

「ルカが持ってきた包みの箱を思い出した。」

「この手のアイテムは、主人公の眠っている力を呼び起こすって、相場が決まってるんだよな」


俺は期待に胸を膨らませながら、箱の包みを外した。


銘菓 地獄めぐり饅頭。冥土の土産に


……本当につまらないものだった。


マルカ

「今から冒険者ギルドに行って、冒険者登録しましょう」

「時間にあまり猶予はなさそうだし」


トーマス

「そうだな。善は急げ、だ」


マルカは呼び鈴を鳴らすと、すぐにユマがやってきた。


ユマ

「お呼びでしょうか、ボス」


マルカ

「私たちを馬車で冒険者ギルドへ。それと、人数分の旅支度もお願い」


ユマ

「畏まりました、ボス」


トーマス(にやりと笑って)

「おめでとう、ユマ。お前もとうとう父親になるんだってな」


ユマ(怪訝そうに)

「……どうしてトーマスさんがそのことを?」


トーマス

「ミリカが教えてくれた」


ユマ(首を傾げて)

「ミリカ? ミリカ……覚えてないな」


トーマス(呆れながら)

「おいおい、ユマも薄情だな。ミリカが言ってたぞ、“私がユマを男にした”って」

「ミリカは俺の従妹で――」


ユマ(思い出したように)

「あーはいはい。あの、そばかすの子か」


トーマス

「……そばかすはルノだ」


ユマ(くすっと笑って)

「親族が多すぎて、覚えきれないんだよ」


トーマス

「まあ、分からんでもないけどな」


「トーマス、お前なんでブラックウッド家で働いてたんだ?」


トーマス

「街で、イリーネの波長に似た女性を見かけたんだ。名前もイリーネだった」

「それでブラックウッド家に入り込んで調査することにした」

「イリーネの“神威”に雑音が混じり出したからな」

「もともと、俺はそのパン屋の従業員だったんだ。修行時代にユマに出会ってな」

「……ユマの才能には正直、嫉妬した。あいつならパン一つで天下が取れる」


「じゃあさ、今朝のブラックウッド家の朝食のやり取りは何だったんだ?」

「お前、意味深に“使用人が話してた何たらかんたら”って言ってただろ」


トーマス(意外そうに)

「えっ? いや、俺はただ……ユマのパンについて熱く語りたかっただけなんだけどな……」


「……」


俺は静かに、そして深く、頭を抱えた。

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