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友達 友達

「……マルカさんが、何か仕掛けたに違いない」


ウィンディーネは顔を引き締めると、手をかざし、小さく囁いた。

やがて空が曇り、ひとしずく、また一しずくと、癒やしの雨が降り始める。

雨粒は踊り子の上で煌めき、温かく彼女の肌に触れると、吐き気でぐったりしていた体が少しずつ戻ってくる。


踊り子は咳き込みながら、口の中に残った異物を吐き出した。

「うっ……す、すみません……」声は震えているが、呼吸は戻っていた。


トマティは硬直したまま、何が起きたのか理解できない様子で辺りを睨む。

心の中で計算が始まる──ここはマルカを排除して事態を収めるべきか。生身の人間なら、首を跳ねれば終わる。だが、その先に待つものは何か。


「──待て!」


シグマが絶叫し、姉トマティに飛びついた。

「止めて、お姉ちゃん! マルカさんを殺したら、誰がマークワンを止めるの!? あの存在の方が、よっぽど怖いんだ!」


皆の視線が一斉にマークワンへ向く。

機械の瞳がゆっくりこちらを見返した。その声音は、不機嫌とも諦めともつかない冷たさを孕んでいたが、どこか友好的でもあった。


「オデ、友達。殺す、良くない。」


言葉はぎこちなく、しかし真っ直ぐだ。

その一言が、そこに居る全員の胸の奥で、静かな衝撃となって広がった。

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