上映会
俺も結局、上映会に参加する羽目になった。
子供達が少し大きくなったら見せてあげると情操教育に良い──そうマルカさんに言われ、当初は辞退するつもりだったが、エルミィのたっての願いで参加することになった。
俺たちは防具を装着しているので、今回は子供達が出来るはずもない……と、よくよく考えれば分かることだったのに、俺はマルカさんにまんまと一杯食わされた形になった。
宿泊施設にはシアタールームがあり、四次元ホログラム映像が楽しめる。
部屋が真っ暗で辺りの様子が分からない中、マルカ映像のロゴの後、突然シアターが俺達の寝室に早変わりした。
重なり合う俺とエルミィ……まるで覗きをしている錯覚さえ起こさせる。
秘密事など、マルカさんにかかると無いものと同じだ。
精霊四人娘は見るのが耐え難いのか、下を向いている。
俺は逆に、上映会に参加して良かったと思った。
でなければ、今晩何が行われていたか、一生分からないままだっただろう。
そして、マルカさんの執念を感じた。
父とリゼリナさんにあの夜何があったのか、彼女なりの探索だったのだろう。
今はリゼリナさんがいるが、その当時、父はマルカさんに本当の事を告げたのだろうか。
マルカさんは父の云う事を信じたのだろうか。
科学は一見すると魔法に見える。
マルカさんは俺達の睦言を隠しカメラで写したのではなく、彼女自身の悔悟の意識でここ迄の事をしているのだと。
皆、今は知っている。
ただ、その当時は知らなかったので、マルカさんがこの装置を作ったのだ。




