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赤ひげ薬局
エルミィの叫びが響いた。
その直後、マルカとリゼリナは顔を見合わせ――ふっと笑った。
マルカは幼子を諭すように、穏やかな口調で語りかける。
「エルミィ。よく聞きなさい。エリウスとミリウスは全く別人。
私が生涯愛したのはエリウスただ一人。……ミリウスに悪いけど、恋の対象にはならないの」
リゼリナも静かに続けた。
「エリウスただ一人
ミリウスは恐る恐る近づいて謝罪。
「あれ……私、何でお兄様に怒っていたんだっけ?」
ライバル達は皆、もう自ら退場している。
一番警戒していたマルカでさえ。
けれど――マルカとリゼリナの顔が一瞬だけ、悪く歪んだ。
「私たちを年増扱いしたことに、まだ納得していないのよ」
エルミィは泣きそうな顔でマルカに訴えた。
「マルカさん……マルカ商店で秘薬を買い揃えていること、ミリウスに知られたくないの……」
ミリウスは首をかしげる。
「秘薬エルミィダイエットデモするのか」
エルミィは耳まで赤くして俯いた。
その瞬間、彼女は心に誓った。
――二度とマルカに逆らわない、と。




