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キスは血の味が

四人娘の怒声が響いた直後、ミリウスは冷静に彼女たちへ問いかけた。

「それで――お前たちも、俺の相手をしてくれるのか?」


挑発めいた言葉を吐いた瞬間、首筋に鋭い痛みが走る。

エルミィが歯を立て、必死に噛みついていたのだ。


「……私がありながら、他の娘を誘うなんて――あり得ない!」

その目は涙に濡れ、狂気にも似た嫉妬が燃えていた。


振り払った首筋には、くっきりと歯型が刻まれている。出血していないのが奇跡だった。

気づけばエルミィの両手には短剣が握られ、逆手に構えられていた。


「こうなれば……お兄様を殺して、すぐに私も後を追います!」

叫びと共に刃が胸を狙って振り下ろされる。


咄嗟にその両手を押さえ込み、ミリウスは強引に唇を奪った。

エルミィの瞳が蕩けるように揺らぎ、力が緩む。


――だが次の瞬間。

激痛。舌を噛みちぎられる。


「キスで誤魔化されるなんて、小説の中だけの話よ」

吐き出された血に混じって、赤黒い肉片が床に落ちた。


痛みに呻くミリウスを一瞥し、エルミィはウィンデーネへと命じる。

「……治してあげて」


それだけ告げると、怒りを宿したまま部屋を出て行った。




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