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初代声優
空が閃光に包まれ、甲高いロケット音が夜空を切り裂いた。
天から降り立ったのは――巨大な建造物。
外壁には、誇らしげにマルカ工房のエンブレムが輝いている。
「どこでも宿泊施設~」
マルカさんが、あの大山◯代の声を真似て軽口を叩いた。
外見はこじんまりしているが、中はまるで小さな屋敷だ。
寝室が四部屋、風呂と台所も完備。
冷蔵庫には採れたての野菜と肉がぎっしりと詰め込まれている。
「……この意味、分かるね?」
マルカさんが精霊娘たちに囁くと、四人の顔色が一斉に青ざめた。
――ノームだけは、そっとしてやってほしい。
まだ傷心の余韻にいる彼女を前に、俺はそう願わずにいられなかった。
マルカさんの狙いは明白だ。
人類はどんな場所にも即座に拠点を築き、戦闘指揮所を展開できる。
その圧倒的な工業力を見せつけ、人類の優位性を精霊たちに植え付けるつもりなのだ。
……まったく、相変わらず精霊には容赦がない。




