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ノーム
妖精四人娘はそろってため息をついた。
「ミリウス……それは悪手だ。」
まるで合唱のように冷たい声が重なる。
「そんなこと、考えていません!」
俺が慌てて宣言すると、彼女たちは肩をすくめた。
「まあ……脳が小さいから仕方ないわね。」
「彼の子供を産まなくて済んで、せいせいした。」
「素敵。」
……おい、何その会話。
ただ一人、ノームだけは違った。
なぜか瞳がハートマークになっている。
小麦と豊穣の女神の血を引く俺と、大地の精霊であるノームは相性がいいらしい。
善手と思ったら悪手。
悪手と思ったら善手。
計算は全く意味をなさなかった。
俺は精霊娘たちに嫌われれば、エルミィの心の余裕につながると思ったが……
どうやらノームにだけは通用しないらしい。




