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暖炉の前で若い男女が
エルミィは淡々と語りを続けた。
「季節外れの猛吹雪。閉じ込められた若い男女が、暖炉の前でお互いを見つめ合う……。
『エルミィ……君はなんて綺麗なんだ。この胸の奥から湧き出すパッションが、もう抑えきれない……』
私はお兄様のお喋りな口を唇で塞ぎ、そのまま舌をねじ込んだ。
彼は一瞬驚いたが、抵抗せずに受け入れる。
私たちは相手を貪り尽くすような深いキスを交わし──彼は私の服に──」
パシィン!
後頭部に鋭い衝撃が走り、私はその場に蹲った。
痛みに耐えかねて顔を上げると、お兄様は手刀の形を作ったまま、微動だにせずこちらを見下ろしていた。




