表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/254

マルカさんはマッドサイエンティスト。

マルカは、さきほどシグルに使用した小瓶を、今度はノームに向けた。

瓶の口が彼女の鼻先に近づいただけで、ノームはビクンと体を震わせ、涙目で嗚咽しながら目を覚ました。


「げほっ、ごほっ……っ、くっそ……!」


咳き込みながら、ノームはマルカを睨んだ。

その目は、怒りと恨み、そしてほんの少しの哀れみで潤んでいる。


「……マルカさん。私たちで製品の実証実験をするのは、やめてください……」


だが、マルカはまったく悪びれる様子もなく、むしろ淡々と――それでいて鋭く彼女を追及した。


「で? アカシックレコードには何て書いてあったの? シグルの羽の正体。」


ノームは目を逸らした。その仕草が、すべてを語っていた。


私は慌てて、トーマスと一緒にマルカの前へ出た。

彼女の瞳の奥に潜む、狂気の光を感じ取ってしまったからだ。


マークワンは……当然、マルカの味方に着くと思われていた。

だが、彼は静かに佇み、ただ状況を見つめているだけだった。

味方にすれば心強いが、敵に回すには危険すぎる存在。

動かないでくれ、と私は心の中で祈る。


マルカは手をパン、と打ち合わせ、場の空気を断ち切った。


「――冗談はこの辺にしましょう。」


そう言った彼女は口元だけ笑っていたが、その瞳の奥には、冷たい影があった。


私は、ふと考える。

なぜ彼女は、“人間以外”にあれほど強い敵意を向けるのか。

それは信念か、過去の傷か――あるいは、彼女自身が既に“人間”を超えようとしているからなのかもしれない。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ