パンの味
どうでしょうか。エドモンド ボスキャラでいますか。
エドモンド
「もう一度聞くが、エルミィと一緒になるつもりはないか」
私
「私には、マルカという心に決めた人がいます」
エドモンド
「……そうか。無理強いはしない」
エミリィ
「パパ、負けちゃダメ!」
エドモンド
「客人に何ももてなさず返すわけにはいかない。質素で悪いが、朝食を食べていってくれ」
(パンとスープが運ばれてくる)
私(パンに手を伸ばす。香ばしい香り)
――あれ? マルカさんのくれたパンの味がする……
使用人
「旦那様、客人が食事をなさっている時に使用人が話す無礼、どうかお許しください」
エドモンド(手を軽く振る)
「話していい」
使用人
「ミリウス様を屋敷にお連れしたマルカ工房の従業員は、私の遠縁にあたります」
「このパンは、私のいとこが嫁いだパン屋の商品でして、毎朝この屋敷に届けられておりまして」
「……今朝、そのいとこが嬉しそうに話していたのです。“お義姉さんが妊娠して里帰りしてきた”と」
私
「だから何が言いたいのですか」
エドモンド
「ミリウス殿、話は最後まで聞こうじゃないか」
使用人
「そのお義姉さんの旦那は、マルカ工房の避妊具開発主任。そして、明日発売の新製品の研究責任者です」
エミリィ
「むずかしいこと、わかんなーい」
エドモンド(笑って)
「エミリィ、もう少しだけ我慢なさい」
エミリィ
「はーい」
私
「結局、何がしたいのですか?」
エドモンド(柱時計を見つめ)
「壁の時計が見えるか」
私
「……九時五分前ですね」
エドモンド
「この話を、株式市場が開く前に“念話”でリークしたらどうなると思う?」
私(青ざめながら)
「……まさか……」
エドモンド
「そう、その“まさか”だ」
「……トーマス。念話水晶を持ってきてくれ」
私
「……私の負けです」
エミリィ
「パパ! お兄ちゃんに勝ったら“メッ”なの!」
エドモンド
「エミリィ。今日から君は、ミリウスのお嫁さんだ」
エミリィ(混乱)
「えっ、なにそれ!? なんで!?」
エドモンド
「パパがミリウス殿に勝ったからだ」
エミリィ(混乱×2)
「えっえっ!??」
エドモンド(穏やかに微笑み)
「孫の顔が早く見たいな……」
エミリィ
「パパ……だいチュキ……♡」
イリーネさん何処に行った。完全に置物と化している。




