表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
175/252

シグルは生肉が苦手

最高に愛おしいカオスですね。


イフリートとシルフは、まさに真っ青になっていた。


──そう、二人とも“やらかした”のだ。


イフリートはかつて、うっかりシグルを「焼き鳥」と呼んで食べようとしたことがあり、

シルフは「気配がないから置き去りにした」ことがあった。


今、龍界の王と判明したその当人──シグル様が、目の前にいる。


二人は覚悟を決めて、ぺたりとシグルの前に横たわった。


「シグル様……いえ、龍王とお呼びすべきでしょうか。

どうか、我々を食べてください。

それで、精霊界に渦巻く怒りを、鎮めていただければ……!」


シグル:「いや、だから……セバスチャンの時にも言ったけど、俺、生肉食べないから。」


イフリートの顔がぱあっと輝いた。


「ならば──私は火の精霊!

ウェルダンからレアまで、お好みで焼き加減は自由自在!

しかもこの体、生娘ですので、口当たりもよろしいかと!」


ミリウス:「……やめんか。」


シグルが、明らかに「助けて」の視線をこちらに投げてくる。


(……そんな顔になるなら、“龍界の王”とか名乗るなよ……)


ミリウスは深いため息をつき、二人の頭にゴツンと拳骨を入れた。


「シグルを混乱させるようなこと、するな。

目の前に本人がいて、ちゃんと話ができるなら──まずは対話だ。暴走するな。」


静まり返った空気の中、なぜかトーマスが目頭を押さえながら呟く。


「……ミリウスも……成長したな……」


(どこ目線なんだよ)


罰の悪そうに顔を伏せたイフリートとシルフが、改めて頭を下げる。


「……ごめんなさい、シグル様。」


「悪気はなかったんです……たぶん……少しだけ……」


シグルは、少しだけ間を置いてから、頷いた。


「……わかった。

この件、二度と蒸し返さないことを条件に……許すよ。」


精霊娘たち:「ハイ!!」


こうして、精霊と龍との一触即発案件は、焼き加減の話題と共に、幕を下ろした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ