めでたし めでたし
ようこは、生まれたばかりの我が子をロディに見せた。
ロディは、ぽつりと呟く。
「……皺くちゃだな。」
ようこは、心のどこかで思っていた。
この選択が、間違いじゃなかったと、そう思いたい。
私も──学園を去った。
あれは一時の感情の過ちなんかじゃない。
ロディと一夜を共にしたのは、ただの衝動なんかじゃなかった。
彼の選手生命を絶ってしまった自分への、罰だったのかもしれない。
ロディは、ようこの目をまっすぐ見つめ、微笑む。
「……また訳の分からないこと気にしてるのか。
俺の膝なんて、疲労が溜まってただけさ。
早かれ遅かれ、こうなってたんだよ。」
「それに──」
「ようこを初めて見た時から、ずっと好きだった。」
ようこの“親父”にも殴られた。
ようこの兄貴にも殴られた。
──でも、一番怖かったのは、ようこのお母さんだった。
そのことを思い出し、ロディは小さく身震いした。
「ようこも、俺も、この子も。
ちゃんと幸せにする。」
──それが、ドラマの中で最も視聴率が跳ね上がった瞬間だった。
だが、ロディの自伝を原作とするこのドラマには、続きがある。
三年後、ロディは別の女性と浮気する。
その子どもが、やがて代表の監督になるのは──また別の話。
めでたいのか、めでたくないのか。
それすら曖昧なまま、ドラマは幕を閉じた。
そして──
あらゆる関係部署に多大なる迷惑をかけたため、
この作品のドラマ化は非常に困難だったことが、後に語られることとなる。




