試作番号238923
楽しく制作しています。
マルカ
「ユマ、今日はもう帰っていいぞ」
「悪かったな、新婚のお前を引きずり回して」
「奥さん、体調崩してるって聞いたぞ」
ユマ
「ありがとうございます」
「……でも、ボスも働き詰めですから、お身体にはお気をつけて」
マルカ
「私のことはいい。さっさと帰ってやれ」
ユマ
「じゃあ、今日の研究指示だけ出してから帰ります」
「では、失礼します」
マルカ
「奥さんに、よろしくな」
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ユマは避妊具の研究室に向かう。
中ではルタが作業を続けていた。
ユマ
「ルタ、頑張ってるな」
ルタ
「とうとう明日ですね、我が工房の新商品!」
ユマは柔らかく笑う。
「半年の努力が報われるな」
ルタ
「主任も、新婚なのに家にあまり帰れてなくて……奥さん、心配してるんじゃないですか?」
ユマ
「新商品が出たら、研究部もしばらく暇になるだろう」
「その間に、行けなかった新婚旅行にでも行くさ」
ルタ
「その間は、私がしっかり研究室を守ります!」
ユマ
「ルタも立派になったな……」
「じゃあ頼んだ。今日はお前に任せるよ」
ルタ
「お任せください! 奥さんの顔、見せてあげてくださいね」
ユマ
「ありがとう。後は任せたぞ」
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ユマは工房を出て、久しぶりに自宅へと向かう。
しかし家に入ると、いつも出迎えてくれるはずの妻、カレンの姿が見当たらない。
胸騒ぎを感じ、大声で呼ぶ。
「カレン! カレン、どこにいるんだ!」
しばらくして、驚いたような顔でカレンが玄関から顔を出した。
カレン
「どうしたの、ユマ。そんな大きな声出して……」
ユマ
「いたのか……良かった……」
「最近、体調が悪いって言ってたから……心配したぞ」
カレン
「うん……気分が悪いのがずっと治らなくて。だから病院に行ってきたの」
ユマはカレンの様子に、何かいつもと違う気配を感じ取る。
少しだけ真剣な声で尋ねた。
「……何か、あったのか?」
カレン
「いいニュースと悪いニュースがあるの」
ユマ
「……ニュースが二つもあるのか」
カレンは静かに首を横に振ると、短く一言だけ告げた。
カレン
「……妊娠した」
その言葉を聞いた瞬間、ユマはその場に崩れ落ちた。
安堵と――そして、言い知れぬ絶望が同時に押し寄せてきた。
遊び過ぎましたか。




