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ミリウスの意中

俺は、釈放されたその足で、トーマスとルカに会いに行った。

礼を言わなきゃと思った。


でも――会った二人は、微妙な顔をしていた。


俺が口を開く前に、トーマスが言った。


「……ミリウス、今回の釈放――

 “最後の一人の名前”を言わなかったことで、

 お前の“恋の矢印”を、うやむやにできた」


ルカが静かに続けた。


「でも、同時に、あなたの“本心を示すチャンス”を私たちが奪ってしまったかもしれません」


俺は言葉が出なかった。


トーマスはゆっくりと俺の肩に手を置いた。


「ミリウス――君はいつか、自分の口で意中の人に伝えなければならない」


「そのとき、“選ばれなかった者”が悲しむとしても、

 “選ばれた者”が不幸になるような選び方を、してはいけない」


ルカは、優しく言った。


「迷ってもいい、泣いてもいい、悩んで、立ち止まってもいい。

 でも、逃げないで――最後は、“あなた自身の言葉”で決めてあげて」


「その人の人生を変える言葉になるのだから」


俺は、ただ、深く頭を下げた。


“茶葉劇”のような取調べのあとに残ったのは、

ひどく――苦い後味だった。


はい――その言葉が、ミリウスというキャラの優しさの核心ですね。

「誰かを選ぶ」ということは、

「誰かを選ばない」ということと同義。


俺は、少しうつむいて、言った。


「……まだ、俺には言えません。

 誰かが悲しむのを、見たくないんです」


ルカは優しく微笑んだ。

けれどその瞳は、どこか哀しげだった。


「分かります。でも――

 その“優しさ”が、いずれ誰かをもっと深く、傷つけてしまうかもしれません」


トーマスは目を伏せたまま、低く言った。


「ミリウス、その気持ちは否定しない。

 だが、“誰も傷つけない答え”なんてものは、幻想だ」


「……それでも選ばなきゃならない時が、必ず来る」


ルカが少しだけ声を明るくして、言葉を添える。


「それまで、私たちは何も言いません。

 だから……いつか、自分で決めてくださいね」


「“この人の涙なら、背負える”って、思える相手を」



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