不当抑留。
雌牛は、確かに興奮させた。
だが――それで“許された”訳ではなかった。
ミリウスは、再び取調室に戻されていた。
目の前には、女性陣。背後には――出口、無し。
エルミィが微笑む。だが目は笑っていない。
「ミリウス君、ほら……全部吐いて、楽になろうよ?」
「誰と誰と誰が、ミリウス君の中で“汚れ部隊員”なんだい?」
「名前を言うだけで、きっと、開放されるよ?」
俺は首を振った。全力で。
「俺は……絶対に騙されないぞ」
「最初から、お前ら、俺を開放する気なんてなかったんだ……!」
「“雌牛を性的に興奮させろ”とか、無理難題だったろ!?
それを! それをだ! 俺は見事成功させたのに!!」
「なのに……その直後、刑事が来て“別件で拘留継続”みたいなノリで続投って!」
「弁護士を呼べ! 弁護士を――!」
マルカに訴えた。だがマルカは肩をすくめただけだった。
「……お前を無罪にできる弁護士がいたら、マルカ工房が今すぐ雇いたいわよ」
「どんだけやる気ないんだよ!!」
取り調べは続いた。
椅子の並ぶ部屋。ライトがまぶしい。
俺の目の前には――ノーム、シグル、そして後一人。
ノームの瞳からは、すでに光が消えていた。
「……やっぱり、私なのね。ノーム=汚れ担当大臣……」
「……知ってたわ。もういいの、慣れてるから」
シグルは無邪気に言う。
「私は政務次官かな? でもノームの方が目立ってたよ?」
「で、事務次官って誰?」
ルカが窓際からひょっこり顔を出す。
「はい、出番ですか?」
ノームは泣きそうな顔で手を振った。
「いや、あなたは来ないで! 本当に私、これ以上キャラ汚れたら戻れない!」
マルカは机をトントンと叩きながら、つぶやく。
「じゃあ、この中で“最も色気で落とせそう”なの、誰?」
エルミィ「それ、まさかの最終質問……!」
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