お布団ルーレット
毛先を軽く遊ばせる感じで話が構築できるとらくなんですが。
私は目が覚めた。
誰かに抱きつかれている。……布団の中で。
ドアにカギをかけるだけじゃ、やっぱり無力だったらしい。
布団の中の“誰か”に、思考を巡らせる。
本命:エルミィ様
→「お兄ちゃん大好きっ娘」筆頭、やりかねない。
対抗:ウインデーネ
→なんか分からないけど、やりかねない。
単穴:母さん
→普通にやりかねない。というか経験がある。
大穴:イルカさん
→昨日は意味深な手紙をくれたし、ないとは言い切れない。
無印:ブラックウッド家の当主とその使用人たち
→本当にやめてください。
内心、「欲を言えばイルカさんがいいな……」なんて思ってしまったそのとき。
枕の横に置かれた、例のアイツ。
封は切られ、中には白く濁った液体が入った風船が――
答えは、母さんだった。
私は小さく叫ぶ。
「母さんいい加減にして!」
イリーネは気だるそうに
「昨晩は激しかった」
「惚れ直しそう」
私は
「どうして私の物を勝手に開けたの。宝物にしてしまって
置こうと思ったのに。」
イリーネはしれっと答える。
「イルカ工房のものなら、まだストックたくさんあるわ。お土産に持って行きなさい」
「そういう意味じゃない。好きな人がくれたものなんだ!」
「私の育て方、どこで間違ったのかしら……」
「そうじゃない……」
「道具は使ってこそ意味があるのよ?使い方が分からないなら、母さんが教えてあげましょうか?」
その時。
ノックが聞こえると、ほぼ同時にドアが開いた。
昨日、私を案内してくれた使用人だった。
「……何で母さんはカギをかけ忘れるの?」
「っていうか、ノックした直後に開けたら意味ないでしょ」
彼は少しだけ口元を緩めながら言った。
「イリオス様、奥様。朝食の準備ができております。どうぞ食堂へお越しください」
私は見逃さなかった。
彼の眼は笑っていなかった。
お布団ルーレット 私は当主に1000ペリカ




