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エルミィの覚悟

ウィンディーネがふっと目を細めて言った。


「奥さん、聞きました?」


イフリートが即答する。


「ええ、私もバッチリ。言質取りました」


ルカもひそひそ声で加わってくる。


「アレ、天然じゃないよ。養殖物だよ。生産地偽装だよ。怖いわ〜……」


シルフが目を伏せて頷く。


「……現代はコンプライアンスの時代なのに……」


エルミィが腕を組んで、ズバッと言い放った。


「やっぱり男に色目を使ってたんだよ。未だに膝枕とか、昭和初期かよw」


ルカは小声で続ける。


「でも私、最初から分かってた。あれは作ってるって……絶対、演出入ってるって……」


皆、うんうんと頷き合う。


ノームは公開処刑にされて羞恥で肌を真っ赤にしていた。


トーマスがミリウスを手招きして、そっと言った。


「……さっきのノームに対する発言。あれは無いな」


ミリウスは少しきょとんとしていたが、真面目なトーンに目を伏せた。


「お前が朴念仁なのは、もう仕方がない。だがな――

その“鈍さ”が、人を傷つけることがある。……今なら、まだ間に合う。謝って来い」


ミリウスは黙って頷き、何か思うことがあったのか、ノームを呼び出した。


ノームも女子陣から自ら離れる事も出来ずミリウスが自分を女子陣から引き離してくれた事に感謝していた。


ノームの前に立つと、両手をノームの肩に置き、真剣な表情で言う。


「……さっきはご迷惑。君が魅力的すぎて、言葉がうまく伝わらなかった。

ほら、人って焦るとさ、本心と違うことを口走ったりするだろ?」


ノームは一瞬きょとんとした後、小さくコクンと頷いた。


そして――


「俺は、そういう目で君を見てるから。……さっきのは、ごまかしてたんだ」


その瞬間、ノームの顔がカッと赤く染まる。

ほんのり焼けた頬が、茹だったトマトみたいに赤くなる。


そして――


バシィッ!!


ノームの右ストレートが、ミリウスの頬を綺麗にとらえた。


「ミリウスのアホー!!」


地響きのように響いたその声に、近くの鳥が三羽飛び立った。


ノームはその場に居た堪れなくて逃げた。


ノームの後ろ姿を見送って エルミィが


ごめん、ノーム。

恋にルールは無用なんだよ。


だから――遠慮なく潰しに行った。

君はいつも、付け入る隙を見せなかったけど……今回は、隙を見せた君が悪い。


それだけ。

それだけ、私は――お兄ちゃんに真剣なんだよ。


お兄ちゃんのためなら、泥水だって啜るよ。


シグルは今は敵じゃない。

でも――もし敵になったら、私は遠慮なく潰す。


それが、私の恋の仕方。







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