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タイトル未定2025/04/21 09:45
「……お前、女だったのか?」
彼女は特に驚きもせず、いつもの無邪気な調子で答えた。
「そうだよ? 花も恥じらう乙女だよ。成人してるから、いちおう“事務所”通してくれれば多少の無理は我慢するよ。スポンサーさんとの同伴くらいまでなら、ね?」
「……なんだその芸能人みたいなノリ」
冗談にしては完成度が高い。
本気にしては、倫理観が崩壊してる。
「お前、それ……人間界に染まったせいか? それとも悪意か?」
「どっちでもいいじゃん。面白ければ」
そう言って、シグルは懐から一枚の紙を取り出した。
名刺だった。
「ほら。連絡先。特別に渡すよ」
俺は固まった。
「……お前、今までマッパだったよな? 名刺、どこから出した?」
シグルはにっこり微笑んで答える。
「女はね、いろいろ隠せるの」
……こいつ、マジで怖い。
何がどう“隠せる”のかは知らないし、知りたくもない。
俺は、もうそれ以上追及するのをやめた。
直感が告げていた。
この子には、深入りしない方がいい。




