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お約束

ルカは茫然自失のまま、場に取り残されていた。明らかに様子がおかしい。……だが、それもそのはずだ。もしかすると、彼女もまたイリーネの影響を受けているのかもしれなかった。完全には否定できない。


そんな中、ノームが静かに口を開いた。


「……冥界を目指しましょう」


一同の視線が彼女に集まる。


「忘れられた名の神と意識が重なったとき、冥界に行けという声が聞こえた気がしたんです。そこに、何か答えがあると」


「でも、どうやって冥界に行くんだ?」


俺が疑問を口にすると、それに応えたのは――シグルだった。


「僕、よく冥界に遊びに行くよ。友達もいるし。案内できる!」


おいおい、冥界って“遊びに行く”場所なのか?


俺が半信半疑でいると、シグルは胸を張って続けた。


「飛んで行く方が早いけど、皆飛べないよね。じゃあ陸路を使おう。ちゃんと道があるんだ」


……他に選択肢もない。俺は決断した。


「シグル、案内を頼む」


「まかせて!」


シグルは誇らしげに胸を張った。


「それと、人間の街に入るときは、人の格好をするよ。人間のごはん、美味しいからね。ちゃんと溶け込まないと!」


「おいおい、あのデブ鳥が人間に化けても――」


俺の言葉が最後まで出ることはなかった。エルミィの指が容赦なく両目を突いてきた。


「見ちゃダメぇぇぇっ!!」


バシッ!


一瞬だけチラッと見えた気がする。マッパの女性が胸を張り、腕を広げて立っていた。シグル――お前、それは人間じゃなくて人間の皮を着ただけだろ……。


エルミィの手がまだ俺の顔を押さえつけていた。俺は心の中でそっと叫ぶ。


(これ……冥界よりヤバいのでは……?)






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