第七十九話 新たな仕事の最中に見つけたバスとBXD20Eの再生と愛理沙が兄の代わりで
K-ZC121改の移動事務所の仕上げとDA90ベースのキャンパーを作る悟瑠たち
その中でも愛理沙ちゃんの応援に行く悟瑠たち
2か月間いた笠木さんたちと佐藤さんが自分のお店に帰る日が間もなくになったときに予想通り、BXD20Eの再生が来てしまった引き取りの時に見つけたバスは?
主な登場人物と所有車
佐野 雅子 ヒロイン 25歳 4月生まれ
峠のバトラー⇒TSカップレーサー、11勝目にトライ中。
家業の佐野自動車販売の中古車販売店副店長兼整備工場副工場長、整備の段取り担当の副社長
前職はスーパーの経理兼販売促進
所有免許;大型2種、牽引運転免許、2級整備士免許、危険物乙4、玉掛、ガス溶接、救急救命士、巻き上げ機
レース以外の趣味:
オフロード走行:大型の2軸総輪駆動のエンジン、サスペンションをいじって自分好みした。
パソコン:プログラム組むのも好きでシステムを自力で組める
所有車
大型バス:
観光系 ルーシーちゃん
路線系 獅子丸くん
フーセンちゃん
短尺系 ニジュちゃん
エムエム君
大型キャブオーバーダンプ
4×4 藤子ちゃん
大型ボンネットダンプ
4×2 カービーちゃん
小型車
クーペ イチゴちゃん
僕;佐野 悟瑠 雅子の兄 28歳、3月生まれ 妹の雅子より4学年上
家業の佐野自動車販売に就職して6年目、整備工場の工場長兼副社長。
所有資格 2級整備士、MIG溶接機、レーザー溶接機、ガス溶接、玉掛。免許は大型、けん引免許 巻き上げ機、危険物乙4
カーキチ、スペックオタク、エンジンスワップ大好き
所有車
大型バス:
観光系 ゴーゴーくん
ロザン君
なごみちゃん
路線系 パン君
陽菜ちゃん
キューピーちゃん
大型キャブオーバーダンプ
4×4 サイバー君
小型車
セダン サンゴちゃん
三四郎君
佐野 康晴 僕の父親 56歳 佐野自動車販売の社長、総括責任者。趣味人 マニ割、エギマニ作りの名手 元整備工で板金も得意
所有車
バス:路線系
大型 ニイナちゃん
中型 アサイー君
ケーテン君
小型 いい子ちゃん
大型ボンネットダンブカー
4×4 タフさん
セダン
Q-LS131H改
佐野 康子 僕の母親 54歳 佐野自動車販売 副社長 佐野自動車販売店店長、営業、仕入れ担当
所有車
大型リアエンジン路線バス
錦くん
大型ボンネットダンブカー クレーン車改造済
4×2 デコちゃん
小型車 ハードトップ
E-KE70
加藤 隆弘 28歳
悟瑠の同級生で親友。専学卒業後家業の内燃機整備工場に就職、佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。悟瑠の幼馴染。2月生まれ。エンジン加工の名手、エンジンスワップ大好き
所有車両
大型キャブオーバーダンプ
4×4 ラッシー君
大型自家用バス
兎ちゃん
小型車:セダン
エスティーくん
加藤 隆文 25歳
隆弘の弟。雅子より一学年上だが、3月生まれで実はほとんど同い年。工業高校から家業へ就職。佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。板金と排気系を作るのが得意
所有車
大型キャブオーバーダンプ
4×4 まゆかちゃん
大型ボンネットダンプ
4×2 きみこ
バス 大型短尺路線系
恋路ちゃん
クロカン4×4
ロックン
趣味:TSカーレース 今シーズン5戦目で1勝あげた。
松尾 百合 25歳
雅子の親友、丸松建設のお嬢さん。雅子と同じ高校卒業して同じスーパーに入って家業に転職。松尾運輸の副社長。普段はおっとりだがスイッチが入ると途端にせっかちとブチ切れになる 5月生まれ
TSカーレーサー 1勝あげ、2勝目を目指す
所有車
バス:大型観光系
武蔵君
ラムちゃん
大型ボンネットダンプ
4×4 パイ君
4×2 徳次郎君
小型車:クーペ
エスワン
松尾 譲 27歳 百合ちゃんの兄 丸松建設の副社長。マニ割マニア
所有車
バス
キャブオーバー
4×2 ビーフさん
4×2 レイ君
大型ボンネットダンプ
4×2 旦那さん
4×4 ゼットワン
小型車 クーペ
イーサン
松尾 隆 丸松建設の社長 百合ちゃんの父親 56歳 速い車大好き 悟瑠の父親の同級生
所有車
大型キャブオーバーダンブカー
4×4 サンデー君
大型ボンネットバス
4×2 なみちゃん
小型車 セダン
E-GNY33改
松尾 友香 百合ちゃんの母親、丸松運輸の社長 54歳 旧車大好きながらもオリジナル主義
大型ボンネットバス
4×2 デビちゃん
4×4 てつしくん
大型ボンネットダンブ
4×2 でん六くん
小型車 HB
けいこ
小笠原 愛理沙 24歳 係長
TSカーレーサー 総合優勝を狙う
雅子の同じ学校の一つ後輩。小笠原食肉のお嬢さん。元レディス総長(7代目)2児のママ かつて雅子がいたスーパーに勤務 大型免許所持 抜群の運転センス
所有車
小型セダン
TA-GXE10
大型リアエンジン観光系バス
ババロアちゃん
大型キャブオーバーダンプ
4×4 フライヤーちゃん
小笠原 哲史 27歳 愛理沙の兄。別の会社に勤めていたが家業に転職、副社長 大型免許所持 旧車好きでオリジナル主義
所有車
小型車
セダン:E-AE70
クーペ:ましこ
大型路線系バス
マーシーちゃん
中型総輪駆動トラック
美浜ちゃん
長野さん 30歳。 移動販売課 課長代理
バス会社に居たが欲しいバスが排ガスの関係で住んでいる地域で登録できなくて雅子がいたスーパーに転職。今は愛理沙ちゃんの上司 短尺バス好き
所有車
大型短尺系バス
自家用:伊那路
観光系:五平君
路線系:鬼丸君
小型車
クーペ:NE
狩野さん 30歳 業務課長
運送会社にいたが首都圏の事業縮小で地方に転勤になった。偶然募集していた松尾建設に転職
所有車
大型キャブオーバーダンプ6×4
V10:古武道君
V8 :福田屋君
小型車
EHT;ND
綿貫 洋平 スーパーの販売部 課長 37歳
バスに嵌って自分でも買ってしまった。
中型リアエンジンバス
ロニー
橋爪 正治 スーパーの社長 61歳
ボンネットバス
ポニーちゃん
丸ちゃん
矢代さん親子
ボンネットバス
4×4 K-ZC121改 移動事務所仕様
4×2 BH15改 29人乗り送迎などで使用
DA90改 移動事務所仕様
「その人ねえ、BXD20Eの廃車体見つけちゃって、いいことに抹消登録の書類があったもんだからその車が劇レア車ってわかったもんで欲しくなって買っちゃったの。現状渡しなんでBXD20Eの再生資金のためにBXD30を売っちゃったの。個人売買で笠木さんのところに委託したんだって」
「そうかあ、もしかしてスーパーマーケットの社長は笠木さんのところに探す依頼してたのかなあ?すぐに見つかって渡りに船みたいな感じだね」
「そうねえ。愛理沙に聞いたら長野さんの鬼丸君とか綿貫さんのロニーの使用頻度高いから気にしてたみたいで早く追加のバスがいるって探していたみたいね」
「ってことは、社長は決断が早いなあ、運転は長野さんで愛理沙ちゃん?それに綿貫さんも運転かな?」
「そうかも、それで、スーパーマーケットの社長からエンジンのターボ取っ払ってNAにしてって来てるの。山道いかないし、高速も乗らないから255psは不要だって。できれば下から回るようにしたいんでロングデュアルにしてって」
「はいよ」
僕らのバスの改造は続くのだった。
月曜日から専門メーカーで作成したボディが完成したK-ZC121改を移動事務所にする工事を進めると同時にDA90をベースにしたキャンパーのイメージ図づくりも同時に進めていた。
DA90ベースのキャンパーのボディの作成には笠木さん、植木さん、佐藤さんを含む板金のベテラン職人6人と若手1人にも担当してもらっていた。
僕と隆弘、隆文は専門メーカーからボディが仕上がって戻って来たK-ZC121改移動事務所セットを組んでいたのだった。
このK-ZC121改は親父と矢代さんで取りに行ったのだ。
その時に高速道路を仮ナンバーで走って来た感想を矢代さんに聞くと、V8エンジンのパワーはさすがとほめてもらったし、排気系がマニ割とは言え、叩きが2本集合だったので静か過ぎて拍子抜けしたらしい
普段の軽整備やメンテナンスは若手の村上君と小林君と石橋君のアルバイト君3人に任せて僕らは注文されたK-ZC121改とDA90改の作成作業を進めていたのだった。
「悟瑠、このK-ZC121改の移動事務所工事の後はDA90のキャンパーにする工事だろ」
「うん、両方ともトイレは要らないって言うから楽は楽だよ。これもキットっていうか車体を専用にしなくても組める様にするから。窓ガラスはふさぐというか断熱のボードにする、K-ZC121改も同じだね」
「もらった仕様をみると、隠れ家っていうか移動式のシアターみたいな感じだね」
「そうそう、ネット環境も重視とか、K-ZC121改の移動事務所と同じくらいってやるなあと思ったよ。イメージ図を作ったらそう思ったんだよ」
「俺も見たよ。とにかくモニターのでかさにびっくりだな。キャンバーって言うよりもむしろいうように移動式シアタールームかなって思ったよ」
「そうなんだよ。これならキャンパーでなくて移動事務所にしても良さそうだよ。お客さんにDA90の仕様をもう一回確認するよ。移動事務所のほうがあってるなら移動事務所にして一部に荷物置き作って250kg積みで申告すれば税金も安くていいじゃん」
「そうだよなあ。この完成図を見る限り作りが移動事務所に見えるぜ」
僕と隆弘は雅子が作ってくれた完成予想図をパソコンのモニターで見ながら話していた。
DA90をベースにキャンパーにするなら、K-ZC121改の作成と同時に内装の準備ができるものはしておいた方がいいということであーでもない、こーでもないと話していた
隆弘と話しした結果、キャンパーよりは移動事務所がいいと考えた僕はDA90の改造を頼んできた矢代さんにどういった仕様にするのか背景含めて確認していた。
『え?DA90は動事務所にもできるんですか?宿泊設備を持っていると事務所は駄目かと思ってました』
「資材の調達で仕様書と完成図を見ているともしかしてと思ったんです。大モニターがあって、リビングというよりもプレゼンテーションルームのように見えていたので確認です」
『おっしゃる通り、展示というか内装の仕上がりをプレゼンするときも使うんです。DA90の主な使い道は、プレゼンと工事の現場で夜勤の時もつかえるようにと思ってキャンパーにしたほうがいいと思ったのですが事務所のほうがいいとかあるんでしょうか?』
「事務所の方が経費にしやすいのと、仮眠設備なら事務所にもつけれるんです。連続でお泊りのお仕事ですか?」
『大体が3泊くらいです。現場で2人で交代しながら銅線の盗難防止するんですよ。簡易宿泊所って感じです。それでキャンパーにした方がかなと思いました。トイレは工事現場にはありますのでDA90には要らないんです』
「そういうことですね。それなら移動事務所にして寝る場所を仮眠設備ってしたほうがいいですよ。積載トン数を350kgくらいの展示品置き場作って置くとプレゼンサンプル置き場があって使い勝手はいいと思います。それにさっき言った通りキャンパーよりは仮眠設備付きの移動事務所のほうが経費でも落としやすいですし」
『そうなんですね。それはそれは。とても助かります。ご提案ありがとうございます。それでは登録は移動事務所にするようお願いします』
「かしこまりました。念のため、注文書を再送お願いします。現在の注文書は破棄して、登録を移動事務所に変更という形にてお願いします」
『はい、承知しました』
確認が終わると隆弘達に説明してDA90ベースの移動事務所に仕上げることになったと言っておいた。
その後はK-ZC121改の移動事務所の組み立てをやっていた。
K-ZC121改はボディの後部を80年代のスケルトンになったバスのように傾斜角を減らしたのとボディサイドキャンバーを減らして垂直に近づけたのでデッドスペースが減って合理的な構造になった。
矢代さんからK-ZC121改も追加で仮眠設備も欲しいと依頼を受けたので急遽だが仕様の一部を変更して、仮眠設備も入れるようにしていた。
「悟瑠くん、見てこらん、車体のDA90はボディの骨組みが出来上がったよ。計測結果もでててほとんど狂いがなくって設計値通りだよ」
「どうもありがとうございます。お仕事が早くて助かります。素晴らしい精度で仕上がってオーナーも大喜びですよ」
「そうか。これから外板貼りをやって明日には外板貼り付けとフロアの貼り付けが仕上がる予定だ。作業のためにシャシというかフレームとをつないでいるのは、今はボルトだから外せる。防錆はボディをドブ漬けするの?」
「はい、ドブ漬け槽でカチオン電着の防錆塗料がっちり塗ります。その後にベースもドブ漬けで塗っていきます。カチオン電着を焼き付け炉で焼いてまた別のベース色のドブ漬け槽でやります。フレームも一旦塗装落として、亜鉛メッキかけてあります」
「ベースもドブ漬けでやれるのか。こんな大掛かりなドブ漬け槽は初めてつかうんでどんな仕上がりになるか楽しみだ」
「よろしくお願いします。DA90はお客さんと相談した結果、キャンパーでなく移動事務所になります。仮眠場所と事務所設備を分けて作ることにしました」
「そうか。ボディーパネルの隙間はバッチリ塞がってるはずだから遮音も大丈夫だろう。」
「はい、剛性もしっかりしてていいと思います」
「悟瑠君、次に来てるのはスーパーの社長からBXD30のエンジンを生にしてくれだったね」
「はい、以前うちで6BGエンジンにターボ組んで仕上げたんです。どうもその人がレアバスを見つけて買い替えるんでBXD30をスーパーマーケットの社長に売ったようです。社長は平たん路が主なんでターボ要らないから等長エキゾーストマニフォールドとロングデュアル一本出しマフラーと吸気系を慣性過給使って効率上げて欲しいって依頼です。佐藤さん達には念のためボディや足回りの傷み具合を確認してほしいんです。納車そのままでできるかどうか」
「わかった。任せろ。ボディを鈴木がやったんならひっかき傷や融雪剤とかぶつけたとかがない限り大丈夫だろう」
僕たちはその日も2時間の残業終わりまで仕事していた。
次の日もバリバリ仕事して僕と隆文、隆弘はK-ZC121改の内装を移動事務所に仕上げて納車までにやる残りの仕事は全開試験に行くことだけになっていた
DA90ベースの方はボディの鉄物が完成したので防錆のためカチオン電着をやるべく前日のうちにカチオン槽の中にドブ漬けしていた。
帰り際、親父が工場にやってきて
「悟瑠、今回の仕事はほとんど原型が残ってないバスの復活とか、ゼロから作り上げるのに自前でやるのと、メーカーにお願いするのと色々あって勉強になるだろ」
「親父、そのとおりだよ。ここじゃあボディビルド専門メーカーの仕事よりもいいもの作るにはどうするか?ってDA90やりながらずっと考えていたからなあ」
「うちにはノウハウが少ないけど、先輩や佐藤さんが教えてくれたし、鈴木さんも知恵袋のようにアイディアだしてくれるだろ」
「うん、そう思ってるよ。来てもらってよかったよって」
「そうだろ、なんかこの後もバスの再生が来そうだけどうちはバス専門じゃないからなあ。悟達達もやってる様に大型トラックもうちの守備範囲だからな」
「親父それは勿論、レッカーだってうちのトラクターだって改造やったんだから。ミッションスワップも」
「そうやってると大型トラックは一品物って言うのがよく分かるだろ」
「そのとおりだよ、カタログでの量産とか言われてるけどね。なんかこだわりの山って感じだよ」
「だろ。さて。明日はK-ZC121改の全開試験だろ。簡易宿泊設備付きの移動事務所かあ、俺もニイナちゃんに簡易宿泊設備つけたほうがいいのかなあって思う様になった」
「うん、それやったら親父は全国どこでもクルマを見に行きそうじゃん」
「まあまあ、そうかもなあ」
「お父さん、また悪だくみ?悟瑠を巻き込まないでよ。ニイナちゃんに宿泊設備付けちゃったら笠木先輩のところに行って帰ってこないとかやりそうよね」
「あははは、やべえやべえ」
「親父、明日はK-ZC121改の全開試験やってから会社に来る。雅子には2軸総輪駆動レッカーで追いかけてもらって万一に備えるよ」
「頼んだ」
次の日、僕と雅子はK-ZC121改の全開試験に来ていた、V8エンジンに積みかえて吸排気系をチューニングして360ps/2200rpmにしたとは言っても空車で10トン近いボディを急坂でしかも曲がりくねっている道を引っ張るにはパワー不足気味に感じるのはご愛敬だろう
「雅子、K-ZC121改の煙はどうだ?、エキゾーストノートは?」
『うん、煙は多少出るけど。生なら仕方ないんじゃない?音は叩きの集合がいいよ。これならマニ割してるって気づかないって。鳴きも純正のタイコは静かで問題ない。注文通りよ』
「そうかあ、バッチリ狙い通りだな。良かったよ。水温も油温も問題なし。というか低めだな」
『そうなのね。サーモ上げたほうがいいかな』
「まあ、気にする必要はなさそうだから良いよ。バスでターボのラジエターは放熱が良すぎたかも」
『そうかも。効きすぎたらラジエター前を塞げば良いもんね』
「そうだね。よし登りきったぞ。ちょっとパワー不足だけど総輪駆動で走破力重視だからいいかも」
『登りでも後ろから見てても必死というか喘ぎ喘ぎって感じはしないよね。それ考えると必要十分なパワーってことかしらね』
「そうだね。全開にしてるけど喘ぐって感じじゃないなあ。急坂でパワー不足でもなんとかなるって感じかな。交代しよう」
『うん』
僕と雅子は車を入れ替えてお店に帰った。下りでも軸数こそ減るが追加した液体式リターダーが良い仕事してて雅子は走りやすいと行っていた。
「お兄ちゃんの作る車ってどんな急坂でも安心だよね。補助ブレーキガッチリ効くもんね」
お店についてK-ZC121改から降りてきた雅子が言う。
「アジトの近くでバスが落ちただろ。それ考えるとね。止めることは重要だよ」
「そうよね」
雅子としゃべっているところに親父が出てきて
「悟瑠、K-ZC121改の納車はOKだな」
「うん、重量降ろして掃除して納車OKだよ」
「お兄ちゃん、このK-ZC121改納車したらスーパーマーケットの社長のBXD30入れちゃっていいかな?」
「いいよ。生にするんだよね」
「そう、会社の研修センターと駅の間ならターボ要らないもんね。前のオーナーは結構遠くに遊びに行くんで山坂道走るからターボ欲しいとか言ってたけど」
「要らないかもね。平たんだけなら。それに生でも175psあれば充分でしょ。DA640のターボほどトルクはないけど、扱いやすいんじゃない?」
「そうみたいね。社長が乗ったらじゃじゃ馬って感じで乗りにくいって言ったと愛理沙が言ってた。愛理沙はパワーあっていいなあとか言ってるんだよ」
「あはは、そうか、まあ、社長の言う通り生にして念のため補助ブレーキはそのままの電磁リターダー2連装のままにしておくよ」
「そうね。明日にはパパが完成したのを納車に行くとか言ってたから、え?」
「雅子、どうした?」
「お兄ちゃん、重量おろしてくれない?矢代さんが今日引き取りに来るって」
「嬉しくってたまんないんだろうね。DA90ベースの移動事務所もベースのアイボリーを塗り終わって窓をはめているからね。全体のスタイルと内装を見に来るのかな?」
「そう言えば内装は?隆弘さんたちがやってるよね」
「うん、ボディ後部の丸みに苦労してるかも。ビーフさんは丸じゃなくて平面窓になってるからね」
「そうよねえ、完成図だと後部には仮眠室と簡易キッチンにしたんだよね」
「うん、運転席のすぐ後ろに荷物置き場作ったよ。250kg迄って書いておいて後部に貼る最大積載量250kgのステッカーも作った。K-ZC121改は見ての通り500kgの荷物置き場を作ってある。」
「そうかあ」
「やべえやべえ、しゃべってる暇はないや重量をおろそう。」
「隆弘さんたち呼んでくるね」
雅子が工場に荷物降ろしすることを伝えていた、すると村上君たちと隆弘、隆文が台車を持ってやってきておろしていった。
重量を降ろした後は内外装を軽く掃除して納車の準備していた。
連絡貰ってから30分もしないうちにタクシーで矢代さん親子がやって来た、親父が相手して僕と雅子はスーパーマーケットの社長が買った2台目のBXD30改を入庫できるようになったと連絡していた
親父は工場内で事務所の使い方を説明していた。
「佐野さん、完成ですか?」
「はい、なるべく事務所設備を分断しない様にドアは一番前にしました。非常口は仮眠設備に直結です。BH15と違って非常口はボディサイド右の後ろ側になりますのでそこはご承知ください。念のため山坂道で全開で走っても問題ないことも確認してあります。ボディビルダーに取りに行ったときには高速も走っているのでどこでも問題無しです」
「はい、DA90はボディ出来上がっているんですね」
「はい、おーい悟瑠、中を見れるか?」
「見れるよ。内装の接着したところが固まれば色塗って納車できる。今は一部の内装材の接着が乾いてない」
「じゃあ、矢代さん。まだ、この車はベースの色を塗ったばかりです、悟瑠。内装というか運転席も色を塗ればいいんだろ」
「そう、メーターパネルとかその辺を塗れば」
「悟瑠、これはキャビンも切ったんだよな」
「うん、キャビンはAピラーの付け根で切って、ボンネットの部分とバスボディをくっつけた、それなんで結構大がかりな作業だったけどうまくいった。運転席はステアリングの取り回し変えてないのとメーターパネルの位置もオリジナルのままだからDB100より位置が低いけどそれはご愛敬で」
「矢代さん、運転席に座って周りを見てください。どうでしょう?」
運転席に座った矢代さんが
「いいじゃないですか。これは、操作性がトラックと全く同じで、BH15の時も現代的にアップデートされていて扱いやすくて感動ものでしたけどこっちもいいですよ。パワステも入れたんですね」
「気に入っていただいて幸いです。ハイ、大容量の電気バス用の物を使ってます」
「このバスはハンドル重くて大変だったんですが、軽くなっていいですね」
「はい、他にはクラッチアシストとブレーキにもアシスト付けました」
「これは助かります。いいですよ」
「では、ボディカラーを仕上げて納車します。仕上がったらお持ちしますので。ホイールもオリジナルの通り塗りますのでご承知ください」
「はい、ありがとうございます。本日はDA90見せていただきありがとうございます。お邪魔しました。K-ZC121改いただいて帰ります。素晴らしいバスというか移動事務所にしていただいてどうもありがとうございます。DA90もよろしくお願いします」
そう言ってドリュドリュドリュドリュドリュというエキゾーストノートをあげてK-ZC121改はやしろさん親子は帰っていった。
「お兄ちゃん、愛理沙がスーパーマーケットの社長のBXD30を乗って向かってるっていってるよ。そうかあ今日は移動販売車の消毒の日で愛理沙が内勤なの忘れてた」
「はいよ。これはそんなに時間がかからないって、この前にガッチリ整備したから。念のため鈴木さんたちに錆が出てないか確認してもらうけどね」
「そうね、生にしてマフラー作ってでしょ」
「うん、親父に等長エキゾーストマニフォールド頼んだ。それととロングデュアルだね、吸気系もフレキシブルバイプで繋いでロングデュアルにするよ。」
「あ、愛理沙がもう来ちゃったよ」
お店の駐車場に愛理沙ちゃんの運転でスーパーマーケットの社長が買った2台目のBXD30改がヒュオオオーンとタービンの音を立てて入って来た。
「雅子先輩、こんにちは。社長ってせっかちですみません」
「まあ、仕方ないでしょ。早くこのBXD30改も戦力にしたいんでしょ」
「そうですね。この平くん、あ、このバスを"平くん"って呼ぶことにしたの。BXD30が2台あって紛らわしいんですよ。今日持ってきたBXD30改は、後ろの形が平らなんで社長がこっちを"平くん"、前から持ってるBXD30は後ろが丸いんで"丸ちゃん"にニックネームかえたんです」
「なるほどね、社長もニックネームに嵌ったわね」
「そうですね、そうそう、2台とも同じ色にしてほしいって言ってたんで、平くんを丸ちゃんと同じ色にして欲しいっていってるんです」
「色の塗替えが追加であるのね」
「愛理沙ちゃん、OK。エンジンのターボ取るのと色の塗替えだよね。いいよ」
「はい、注文書は課長が送っておくって言ってました」
「あ、ホントだ。綿貫さんから来てる。色の塗替えとターボから生にするのね。2週間かしらね」
「はい。今日はここに来てるメンテナンスの車を引き取って帰ります」
「そうね、補充車の4t保冷車ね。みんな丁寧に使ってるね」
「そうです。実は社長が60年以上前のボンネットバスを買って従業員の輸送にも使ってるでしょ。時々社長が運転して駅と会社の往復してるんですよ。丁寧に乗るんでみんな会社の車を丁寧に乗るようになったんですよ」
「凄いなあ。そうそう4t保冷車も加藤運輸に売ってリースにしたんだよね」
「はい、車の管理を丸ごと加藤運輸に頼みました。今までスーパーマーケットで持っていたトラック全部と移動販売車を全部売ってリースです」
「なるほどね。メンテナンスはうちに出して所有は加藤運輸ね」
「そうなんです。トータルで費用はあがったけど全部経費なんで税金が下がって社長は楽って言ってます。元々担保になるような車じゃないんですけど、ボンネットバスを持ったんでその分資産を減らすって意味もあったみたいです」
「固定資産税も減らしておくってことね」
「はい」
「加藤運輸は資産が増えるから運転資金を借りやすくなって、しかも定期収入も確保ってことね。いいことね」
「そうですね。移動販売車もリースにしちゃってます。あたしの提案です」
「そうなんだ。愛理沙やるじゃん。同じ商業の卒業だもんね。経理事務めっちゃわかってるじゃん」
「雅子先輩のお店の車ってリースにしないんですか?」
「うちの車はトラックと積載とトレーラー以外は改造するからリースは面倒なんだよね。加藤運輸はトラックはうちからのリースにしててメンテと修理に時間かからないようにしてる。」
「え?どういうことですか?」
「加藤運輸のトラックは全部うちのものでリース。修理はうちがやっててメンテナンスと修理の費用は込み込み、うちで使っているトラックと積載車、船底みたいなトレーラーは加藤運輸からリースってこと」
「クラッシックバスをリースにするには難しいですよね」
「できるけど、価格設定よね。償還しないし、修理費を読めないのよ。普通なら丁寧に乗って修理費下がると値引きしてもらえるでしょ。でもクラッシックカーは何処が壊れるかほんとわかんないから難しいよ。いくらメンテしてても」
「そうなんだ。それじゃあ仕方ないですね」
「ごめんね」
「あ、喋っちゃった。先輩。そろそろお暇します。平くんよろしくお願いします」
「任せて。愛理沙、気をつけてね」
愛理沙ちゃんが4t保冷車に乗ってスーパーマーケット本社に帰っていった。
「雅子、僕らはDA90の続きやっるよ。色を塗って焼付ブース入れてだね。その後内装組み立てて納車だよ」
「あ、そうか。焼付やるから一旦内装全部外すのね」
「組付けの寸法合わせも終わったからね。ハーネスも全部弾き直したし、リレーも全部交換終わったよ。念のためステアリングホイールとかシートを外して色塗りだね」
「よろしくね」
僕らはDA90のボディカラーを注文書通りに塗って内装の仕上げをやっていた。
並行して鈴木さん達に平くんの痛みの状況の確認をやってもらってエンジン降ろしも頼んでいた。
週末は地元のミニサーキットでドリ大会だった。
愛理沙ちゃんから頼まれてクルーになっていた。
僕と雅子と走り屋メンバーの3人サーキットの駐車場で車を降ろして暖気して待っていると、少し遅れて愛理沙ちゃんだけがGXE10に乗ってやってきた
「悟瑠さん、すみません。お兄ちゃんが昨日から体調おかしいのが治らなくってあたしが代打ででます」
「いいよ。オフィシャルには連絡OKなんだね」
「はい、OKもらってます」
「愛理沙。車はOKよ、暖機は終わってるから。着替えて行っていいよ」
「先輩。すみません、助かります。家を出るのが遅れたんで着替えて来ました。このままいけます」
「さすがね。愛理沙、ガンバ-」
ジョンとドアを閉めてシートベルトを締めた愛理沙ちゃんはクオオオーンとV8フラットプレーンのエギゾーストノートを木霊させ、愛理沙ちゃんのTSS10改がコースインしていた。
ぎゃぎゃぎゃぎゃと豪快にと言うかスピンかと思う位振って車の様子を確認していた愛理沙ちゃんが戻ってきて
「すみません。もうちょっとアンダーに振ってもらえますか?このままだと後ろがいっちゃってアクセル踏めないんですよ。前に進まなくて」
「OK、それならフロントスタビライザーだな。交換するぞ」
僕とアルバイト君で交換作業して、ジャッキアップするとフロントのスタビライザーを1サイズアップしてしかもブッシュはそのままのサイズにしてプリコンをあげてみた
「トルクチェックOK。おろすぞ」
「はい」
僕らは車を降ろして愛理沙ちゃんに
「これでどうかな?」
「はい、行ってきます」
愛理沙ちゃんはクオオオーンとV8フラットプレーンのエギゾーストノートを吐きあげてコースに入って振り回して確認していた。
3周くらいで戻ってきて
「ちょっとターンインでアンダー方向ですけど、高速ドリの作戦で行ってみます」
「減衰1ランク落とそうか?初期ロールさせてターンインしやすくすればいいかも」
「そうですね。試してみます」
僕は可変ショックアブソーバーのダイヤルを回して1ランク下げて見ていた
「2周行ってきます」
愛理沙ちゃんはまたクオオオーンとV8フラットプレーンのエギゾーストノートとともにコースインして振り回していた。
「こっちがいいです。ノーズが入りやすくなってスムーズに行けます。どうもありがとうございます。」
「よし、じゃあ、車を点検して燃料補充してだな。タイヤは今が丁度一皮むけていい状態だ」
「はい」
燃料を補充して念のために足回りのトルクをチェックして本番スタートを待っていた。
愛理沙ちゃんは車の中でコンセントレーションを高めていたのだ。
"本日は関東シリーズの5戦目の開始です。本日は高橋さんに解説いただきます。実況はわたくし松嶋が務めさせていただきます"
"松嶋さん、今日は幸いにも風もなく穏やかな晴れで選手も楽ですよ"
"そうですね、埃とかの路面温度も一定ですからね。高橋さん。今日の見どころはどこでしょう?"
"今回は難しいですよ。初戦で優勝している松尾選手が本業多忙で今回不参加なのと車のメンテがおいつかなくて常連の選手が来てないのが寂しいですが、新人の伊原選手と菅原選手がこのところめきめきと頭角あらわしているので初勝利あげることができるかですねえ"
"そうですね。同じく同点優勝の小笠原選手も体調不良で出れないということで、妹の愛理沙選手がスポットで出ますね。"
"ああ、なんか愛理沙選手はこのところTSカーカップでトップクラスの常連で活躍してますね。1勝でしたけどシリーズ準優勝ですね。以前はドリフトのレディースクラス年間チャンピオンでしたね"
場内のアナウンスを聞いているうちにドリフト大会が始まった、通常は駐車場で行われるが今日はサーキットコースのショートコースで行われていた
今回も2台のバトル方式でくじ引きで行われ、愛理沙ちゃんの対戦相手は何とこの前バトルで愛理沙ちゃんにコテンパンに伸された菅原という奴だった
「愛理沙、因縁ね」
「油断しないでいくよ。あたしも久しぶりなんですよ」
「そうね。あたしも前回出たけどパワー違い過ぎて」
「ですよね。あ、出番。いってきます」
クオオオオオーンと甲高いV8フラットプレーンのエギゾーストノートをあげて愛理沙ちゃんがコースに向かった。
相手の車はロドスタだった、パシューンというブローオフの音がターボをつけている証だった。
「ロドスタで来たか、ドリフトには4WDは向かないもんな」
「そうね、愛理沙にコテンパンにやられて腕を磨いたのかな?」
「わかんないけどね、この前のバトルの動画だとあんまりセンスあるとは思えなかったけどなあ」
「だよねえ、シフトミスはするし4WDだから良いけどクラッチつなぐの下手で回転あってないとか」
「それよね、ドリフトって振り回せはできるけど、アクセルワークだってそんなに簡単じゃあないって」
「お、スタートだ」
"カーナンバー32小笠原愛理沙選手とカーナンバー45菅原伸一選手のバトルです。先行は愛理沙選手です。"
"小笠原選手というか愛理沙選手のTSS10改はV8と聞いてますが、このエギゾーストノートから推測するとフラットプレーンクランクですね。エンジンは佐野自動車のチューニングだとすると550psは出てそうですね。菅原選手は500psオーバーのパワーに対抗できるかが勝負のカギですね"
"そうなんですね、愛理沙選手の腕はTSカーカップでも証明されてますから午後のショートレースも楽しみですね"
アナウンスが流れる中、2台はスタートを切った、愛理沙ちゃんは絶妙のスタートで一気に2車身ロドスタを引き離すと第一コーナー手前からスピンかともう位ドリフトアングルをつけて飛び込んでいく
"えええ?うそでしょ。スピン?うわああ。お見事"
"衰えてませんね。TSカーカップで佐野選手とほぼ互角に渡り合う腕は半端でないです。え?もしかして?"
"あ、直ドリで次迄いってスピン?うそっ。うまい。えええ?何てこと?ぴたりと2コーナーに合わせて進入してそのまま逆向きにドリフト"
"松嶋さん、見てください。菅原選手、完全にあっけにとられて全くついてもいけずに、それにドリフトしてないですね、これは大減点です"
"あ、オフィシャルから黒旗ですね。このバトルは菅原選手ポイント無しです"
"あんなの目の前で見せられたら、相当なれたベテランでも度肝抜かれますよ。お兄さんの哲史選手もアグレッシブ系ですが愛理沙選手はアグレッシブさに加えてあの走りのすべてが一本線でつながっているような滑らかな走りですよ。僕は脱帽です"
"そうですね、前回の佐野選手と同じ一本の線ですべてが繋がっている走りにはここのギャラリーも立ち上がってみてますよ"
"僕らも慣れてても立ち上がりそうになりますよ"
"あたしも2コーナーのところは腰が浮いてました、バタバタしちゃって落ち着けなかったですよ"
"ですよね。解説どころじゃないです。今まで走った選手たちの中ではトップのスコアと思いますよ。滑らかでしかも全部が一本でつながってる走りには脱帽です"
"あ、スコア出ました。98ポイント?ほぼ満点でしょ"
"そうですね。2本目で菅原選手が100ポイント出しても愛理沙選手が3ポイントだしたらそこで負けですね"
"そうですね。午後のショートレースでは相当後ろからスタートですね"
"はい、今回は1回目ポイント無しが他に3台いますから2本目でコンセントレーション切らさないで50ポイント取れれば中段スタートですね"
僕らは場内のナビゲーターの話を聞いていた
「愛理沙、やるわねえ。もう98ポイントで頭一つ抜けたわね」
「相手の菅原ってやつは完全に戦意喪失で黒旗とは、どのくらいいじったのかはわからないけど排気音聞く限り4発だし500psにするにしても重量バランス厳しいはずだよね」
「うん、TSS10改に全くついていけないってどういうことって思ったわよ。せいぜい250ps位かと思った」
「うん、ロータリーでも積んで来るかと思ったけど、どうもレシプロだなあ。愛理沙ちゃんのTSS10改に対抗するなら350psでもつらいだろ」
「そうね。それじゃあねえ」
「あ、2本目だな。今度は愛理沙ちゃんが後ろからか」
「うん、スタートした。え?」
「なんだ?菅原は?え?アウトに寄せて止まった?」
「あ、白煙?マシントラブル」
「なんだ?原因はエンジンブロー?じゃないな。ミッションブローでエンジンオーバーレブさせたな」
「かもね。ミッション壊れてエンジン壊してリタイヤってことね」
「はああ、何をやってるんだか?」
「愛理沙はのびのび走ってもうギャラリー総立ちじゃん」
「だよね、場内のナビゲターも愛理沙ちゃんばっかりじゃん」
「完全に菅原は忘れられたね」
「おおおおお、今度は逆から行った?」
「逆スピンからぴったしでまたドリフトじゃん。こんなのされたらギャラリーの視線はくぎ付け」
「それ言ったら前回の雅子もすごかったけどな」
「ありがと。愛理沙ほんとに腕をあげたわよ。あたしがやったのを全コピしてるよ」
「うん、動画見てて全コピでしょ。すごいなあ」
「あ、ポイント出たじゃん。うわーまた98ポイント?断トツじゃん。午後はポールからでしょ?」
「そうだね」
「あ、愛理沙、お疲れ。2本とも98ポイントってやるわね」
「先輩には負けちゃいます。ほんとは99ポイント狙ったんですけど残念ですね」
「やるわね。午後はポールポジションからね」
「頑張りますよ。悟瑠さん、すみませんがTSS10改をもうちょっとアンダーに振ってもらっていいですか?午後はグリップでガンガン行きますよ。」
「うん、ステア特性の急変防ぐならフロントスタビライザー2ランクあげて後ろのバネを2ランクあげてだな」
「お兄ちゃん、それじゃあ。そんなにアンダーに行かないじゃ?」
「雅子、リジッドアクスルはロール方向のレバー比悪いから問題ない。独立ならバネもロール剛性のアイテムになるけど、リジッドはなんない。かといってショートショックだとトラクションかからないからバランスが難しい」
「あ、そうか。あたしの乗ってたスカクーは独立だからその感覚でいたわ。さすがお兄ちゃん」
「よし、交換するぞ。みんな頼むぜ」
「はい」
僕らは午後のレースに備えてTSS10改の前のスタビライザーと後ろのバネを交換していた、愛理沙ちゃんは移動事務になっている僕のパン君の中で休んでいた。
午後に部の時間になって
"午後の部の開始です。10周のスプリントレースですが、フルコースですのでトータルで約60キロ越えになります。さてポールは断トツのスコアで愛理沙選手、続いては・・・・・"
「愛理沙がポールポジションから行ったら、何台ラップ遅れにするかしらね」
「そうだな。ところでこの前に愛理沙ちゃんに言われてた伊原ってやつは?しんがりから3台目か、愛理沙ちゃんラップされて抜かれたら落ち込んで立ち直れないか?」
「そうね。セッティング変えないで行ったらあっさり抜かれるんじゃ?結構後ろ行くよ」
「そうだな」
雅子としゃべっているとレースがスタートした、予想通り愛理沙ちゃんがあっという間に後続を離していく
"愛理沙選手速い、もう独走に近いですね"
"でしょうねえ、先ほど見てたら車のセッティング変えてましたよ。これができるのは佐野自動車で整備している強みでしょうね。佐野兄妹が来てますから鬼に金棒もいいところ、鬼にバズーカ砲ですね"
"愛理沙選手が順調にラップを重ねていきます。必要最小限のドリフトで抜けていきますね、TSカーカップで活躍してるだけあって走り方も変えてますね"
"そうですよ。何に乗せても速いと思いますよ。それにTSS10改とTSカーカップで乗ってるKA11は後ろがリジッドなんで車の感覚が近いんでしょうね"
"確かに、言う通りですね。って愛理沙選手早すぎでしょ。あっという間に引き離して2着以下と半周以上の差がついてます。3周もするとしんがりに追いつきますよ"
"しんがりは伊原選手ですね。初戦の洗礼を受けましたね。菅原選手はマシン壊してリタイヤ、伊原選手はドリフトでも2回スピンしていいところ無しでレースはどうもセッティングがあってないようでなんか遅いですね"
"はい、やはりオーバーすぎるのでしょうか?なかなか踏めない状況が続いているようですね。レースは残り2周です、え?うそっ。愛理沙選手が伊原選手に追いついてあっという間に抜き去って行きました"
"この差はいかんともしがたいですね。ドリフトでも全くいいところなし、スプリントでこんなにあっさりラップ遅れにされてなすすべなしで抜かれては"
"そう思います、愛理沙選手がまた躱していく。ファイナルラップです"
「愛理沙ちゃん、やるなあ。どんどん抜いて行くよ。全車ラップ遅れ狙ってる?」
「愛理沙ならやりかねない。全車ラップなんて言ったら哲史の立場もないよ」
「愛理沙も育児と仕事でストレスたまってるのかも」
「そうかもね。解消は僕の役目だな。恥ずかしい限りだ」
「はああ、お兄ちゃんそれだから河野さんも堕ちそうなんだからね」
「へ?」
「だーみだこりゃ。このトーベンボクは」
レースの結果は、愛理沙ちゃんがぶっちりぎでポールトゥウイン、ドリフトと合わせてパーフェクトウインだった。
「愛理沙ちゃん、おめでとう。今日はゆっくりできるよね」
「はい、子供たちはママが見てます。明日もお休みです。有給休暇消化がいるので」
「じゃあ、帰りはパン君で」
「はい」
嬉しそうな顔でパン君に乗って来ていた
「はああ、今日はお兄ちゃんは帰ってこないってことね。みんな、積載車にTSS10改積んでね。おろすのはいいからね。悪いけどここで解散ね。気をつけて帰ってね」
雅子が積載車でアジトに帰って行った
次の日僕は愛理沙ちゃんを送って午後から会社に出ると
「悟瑠、DA90ベースの移動事務所は完成だ。今週で先輩と植木さんと佐藤さんはお店が直ったんで帰る、金曜日は送別会やるからな」
「はいよ。それまでに納車してか」
「あ、そうだ、BXD20Eの輸送を明日やることにしたから、雅子と船底で取りにいってくれ」
「親父、取りに行く場所は?」
「場所は戸隠の山奥だよ。持ち主がフォークで動かしてくれるようだ。それに買ったオーナーって言うか野上さんって言うんだ。高尾さんの紹介で見つけたらしい。高尾製油所に集合だ」
「OK、行って来る」
その日はDA90ベースの移動事務所の磨きを入れて、仕上げて納車の準備していた。
最終確認して、次の日には親父が納車に行くということになっていた
次の日、僕と雅子は2軸トラクターで船底を引っ張って引き取りに行っていた。
高尾製油所に着くと、以前BXD30を依頼してきた野上さんという方がいたのだ
「こんにちは、BXD20Eの引き取りにきました」
「朝早くからありがとうございます。高尾、案内頼むぜ」
「佐野さん、ありがとうございます。僕の6トンボンネットの後についてきてください。これって今年亡くなった方の遺品で売りに出そうとしても動かせなくてウッディパラソルでも今はレッカー車が故障してて動かない車の引き取りは難しいってことで僕に相談が来たんですよ。僕の6トントラックを佐野さんに引き取ってもらったんで」
「そうなんですね」
現地について、持ち主と高尾さんが話をつけてきて、倉庫からゆっくりと6トンボンネットでBXD20Eを引っ張ってきた
「これです。書類付きのBXD20Eがあるよと野上に言ったらすぐに買うってことで佐野さんに話が行ったんですよ。BXD30はウッディパラソルに委託したらあっという間に売れちゃったらしいですね」
「ええ、うちで色の塗り直しとエンジンを生にしてくれといわれてやってます」
「そうなんですか?」
「スーパーマーケットの社長が買いました。平たんなところしか走らないのでターボは要らないので取っ払って、乗りやすさ重視にして欲しいということです。小学生を運ぶんですよ」
「いいですねえ。うちもそうですけど。レトロバスでですね」
「はい」
僕と高尾さん、雅子は話しながら船底に積んで固縛して念のため、BXD20Eのタイヤの空気を抜いて運べるようにしていた。
「高尾さん、野上さん。確かに引き取りました。公道復帰ですね」
「佐野さん、いつもありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
その帰り、僕は笠木さんから頼まれた荷物を届けにウッディパラソルによった、
「佐野さん、ありがとうございます。親父が無理言ってすみません」
「笠木さんのお父さんにはお世話になったんで」
「いやいや、わざわざ寄っていただいてありがとうございます」
対応してくれた笠木さんは、どうやら納車されたばかりに見えるバスを確認しているようだった。
「笠木さん、これって? 入庫したばかりですか? 西工ボディですよね。UAですか?」
「いいえ、このへんでは珍しいでしょ。これはU-LV218Mの西工58MCB1です。最初に使っていたところでPM・NOX法に引っかかって、西日本の地方に流れて行って、それからこっちに流れてきて送迎用で使ってたんです。こっちに来てからはずっとうちで面倒見てたバスです。29人乗りにしてます。オーナーがもう歳なので手放すんです。委託販売ですよ」
「いかほどですか?」
「お兄ちゃん? また?」
「うん、欲しくなった。これを8PDエンジンにするのもいいなあ。LV270Hがあるからなあ」
「はああああああ」
がっくりと肩を落としている雅子だった。
悟瑠たちが直したバスが売りに出ているのを見たスーパーマーケットの社長が買って
研修センターと駅のシャトルバスにを増やした
BXD20Eの引き取りの途中で用があってウッディパラソルに行った悟瑠が衝動買いしたレアバスの使い道は?
いつも読んで頂き、どうもありがとうございます。
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