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走り屋の妹(全年齢版)  作者: 浅野 武一
73/73

第七十三話 ボンネットバスの快適化と3台のスポーティーカーレストアとバスミーティングに行く

納車したバスが活躍中

禁断の扉を開いた百合ちゃんのパパ、もう一台増えることが確定して?

悟瑠たちがバスミーティングに行って仕事を頼まれるのはいつものことだった


主な登場人物と所有車


佐野 雅子 ヒロイン 25歳 4月生まれ

峠のバトラー⇒TSカップレーサー、10勝目にトライ中。

家業の佐野自動車販売の中古車販売店副店長兼整備工場副工場長、整備の段取り担当の副社長

前職はスーパーの経理兼販売促進

所有免許;大型2種、牽引運転免許、2級整備士免許、危険物乙4、玉掛、ガス溶接、救急救命士

レース以外の趣味:

オフロード走行:大型の2軸総輪駆動のエンジン、サスペンションをいじって自分好みした。

パソコン:プログラム組むのも好きでシステムを自力で組める

所有車

大型バス:

観光系 ルーシーちゃん(U-RU2FNAB改)

路線系 獅子丸くん(U-UA440HAN)

    フーセンちゃん(KC-HU3KMCA)

短尺系 ニジュちゃん(U-RP210GAN)

    エムエム君(U-MM618J改)

大型キャブオーバーダンプ

4×4 藤子ちゃん(U-FZ2FJCA改)

大型ボンネットダンプ

4×2 カービーちゃん(KB112D改)

小型車

クーペ イチゴちゃん(GF-S15改)


僕;佐野 悟瑠(さとる) 雅子の兄 28歳、3月生まれ 妹の雅子より4学年上

家業の佐野自動車販売に就職して6年目、整備工場の工場長兼副社長。

所有資格 2級整備士、MIG溶接機、レーザー溶接機、ガス溶接、玉掛。免許は大型、けん引免許

カーキチ、スペックオタク、エンジンスワップ大好き

所有車

大型バス:

観光系 ゴーゴーくん(RA552RBM改)

    ロザン君(KC-RU3FPCB)

    なごみちゃん(RA531MBN改)

路線系 パン君(UA452PAN改)

    陽菜ちゃん(UA460NAN改)

    キューピーちゃん(KC-LV280N改) 

大型キャブオーバーダンプ

4×4 サイバー君(KC-CF53XH改)

小型車 

セダン サンゴちゃん(GF-GC35改)

    三四郎君(GFーENR34改)


佐野 康晴 僕の父親 56歳 佐野自動車販売の社長。趣味人 マニ割、エギマニ作りの名手 元整備工で板金も得意

所有車

バス:路線系 

大型  ニイナちゃん(UA521NAN改)

中型  アサイー君(P-LR312J改)

    ケーテン君(K-102H改)

小型  いい子ちゃん(P-RB115AA3)

大型ボンネットダンブカー

4×4 タフさん(TF30GD改)

セダン 

    Q-LS131H改


佐野 康子 僕の母親 54歳 佐野自動車販売 副社長 佐野自動車販売店長、営業、仕入れ担当

所有車

大型リアエンジン路線バス 

    錦くん(U-LV224K)

大型ボンネットダンブカー クレーン車改造済

4×2 デコちゃん(TD50AD改)

バン

    KG-VWMGE24改


加藤 隆弘 28歳

悟瑠の同級生で親友。専学卒業後家業の内燃機整備工場に就職、佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。悟瑠の幼馴染。2月生まれ。エンジン加工の名手、エンジンスワップ大好き

所有車両

大型キャブオーバーダンプ

4×4 ラッシー君(U-FR415H改)

大型自家用バス 

    兎ちゃん(U35H改)

小型車:

セダン 

    エスティーくん(CBA-GVB)


加藤 隆文 25歳

隆弘の弟。雅子より一学年上だが、3月生まれで実はほとんど同い年。工業高校から家業へ就職。佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。板金と排気系を作るのが得意

所有車

大型キャブオーバーダンプ

4×4 まゆかちゃん(K-SKS390改)

大型ボンネットダンプ

4×2 きみこ(DA100D)

バス 大型短尺路線系

    恋路ちゃん(MR510改)

クロカン4×4 

    ロックン(KC-VGY61)

趣味:TSカーレース 今シーズン未勝利


松尾 百合 25歳

雅子の親友、丸松建設のお嬢さん。雅子と同じ高校卒業して同じスーパーに入って家業に転職。松尾運輸の副社長。普段はおっとりだがスイッチが入ると途端にせっかちとブチ切れになる 5月生まれ

TSカーレーサー 1勝あげ、2勝目を目指す

所有車

バス:大型観光系

    武蔵君(P-RU636BB改)

    ラムちゃん(P-RA52M改) 

大型ボンネットダンプ 

4×4 パイ君(W81D改) 

4×2 徳次郎君(TK20GD改)

小型車:

クーペ エスワン(EーS110)


松尾 譲 27歳 百合ちゃんの兄 丸松建設の副社長。マニ割マニア

所有車 

バス

キャブオーバー 

4×2 ビーフさん(BF30改)

大型ボンネットダンプ 

4×2 旦那さん(DU780H改) 

4×4 ゼットワン(ZH110改)

小型車

    E-KE70HT

    E-GS130改


松尾 隆 丸松建設の社長 百合ちゃんの父親 56歳 速い車大好き

所有車 

大型キャブオーバーダンブカー

4×4 サンデー君(CF30DD改)

大型ボンネットバス

4×2 なみちゃん(TDJ72改)

セダン

    E-GNY33改


松尾 友香 百合ちゃんの母親、丸松運輸の社長 54歳 旧車大好きながらもオリジナル主義

大型ボンネットバス

4×2 デビちゃん(DB100改)

4×4 てつしくん(TSD43改)

大型ボンネットダンブ

4×2 でん六くん(TXD60D改)

HB

    E-KP61


小笠原 愛理沙 23歳 係長

TSカーレーサー

雅子の同じ学校の一つ後輩。小笠原食肉のお嬢さん。元レディス総長(7代目)2児のママ かつて雅子がいたスーパーに勤務 大型免許所持 抜群の運転センス

所有車

小型セダン

    TA-GXE10

大型リアエンジン観光系バス

    ババロアちゃん(B806K改)

大型キャブオーバーダンプ

4×4 フライヤーちゃん(K-FR113H改)


小笠原 哲史(さとし) 27歳 愛理沙の兄。別の会社に勤めていたが家業に転職、副社長 大型免許所持 旧車好きで母親に似てオリジナル主義

所有車 

小型車セダン

   E-AE70

小型クーペ

   E-MA45改

大型路線系バス

   マーシーちゃん(MAR480改)

中型総輪駆動トラック

   美浜ちゃん(U-FT3HGAA改)


長野さん 30歳。 移動販売課 課長代理

バス会社に居たが欲しいバスが排ガスの関係で住んでいる地域で登録できなくて雅子がいたスーパーに転職。今は愛理沙ちゃんの上司

所有車

大型短尺系バス

自家用 

   伊那路(P-MM517J) 

観光系 

   五平君(MM515H改)

路線系 

   鬼丸君(MR520改)

小型車クーペ 

NE


狩野さん 30歳 業務課長

運送会社にいたが首都圏の事業縮小で地方に転勤になったが偶然募集していた松尾建設に転職

所有車 

大型キャブオーバーダンプ6×4

V10 

   古武道君(U-FS1VKBD改)

V8 

   福田屋君(KC-FS3FKD改)

小型車EHT 

ND


綿貫 洋平 スーパーの販売部 課長 37歳

中型リアエンジン

    ロニー(B622B改)


橋爪 正治 スーパーの社長 61歳

ボンネットバス

    ポニーちゃん(BX521改)

    デッサン(BXD30改)

「悟瑠さん、恋路ちゃん(MR510改)のエンジンをターボ取っ払って生にしたいんだけど、6D15に125mmクランクって組めるかなあ?」


「6D17の4バルブが出る前のクランクなら。それじゃないとクランクのジャーナル径が合わないんだよ。コンロッドを6D17にしてできるかだよ。ブロック高は6D16と6D17は同じだったような気がしたけど6D15まではわかんない。クランクとコンロッドは在庫にあるよ。在庫の6D17ブロックに6D15スリーブ入れるっていう手もあるよ」


「使えるならそれ組みますよ。コンロッドも17用に交換すればいいかなあ。」


「一度寸法測ってだな。ピストンの圧縮ハイトが合うかだなあ。10mm以内がどうしてもあわないならアッパーデッキ組む手もあるよ」


「そうかあ、低速トルクをあげるにはいい手だと思ったんだけどなあ」


「そうだよね。そうか、125mmのストロークなら7.5リッターになるよね。オリジナルの6DBエンジンよりも排気量は0.8リッターほど小さくなるけど、直噴でパワー出るし、トルクはチョイ落ちかな?しかも隆文特製のエギゾースト系だろ。実力で190psでトルクは52キロか。オリジナルよりも5キロほどトルクが落ちるけどミッションは今のターボと変えないで6速のクロス、ファイナルローギヤのままならいいんじゃないかな?」


「はい、悟瑠さん。その手で行きます。ターボやめて生でいくんです。恋路ちゃん(MR510改)をターボにして乗ってましたけどやっぱりターボってなぜかいまいち性に合わなくって。190ps位に出来れば生の方がいいって思ってるんですよ。低回転から高回転までスムーズに回って、あるところからドッカンと来ないような特性がいいんですよ。兄貴の兎ちゃん(UA35H改)みたいなエンジンがいいんですよ」


「隆文は生が好きなんだなあ」


「ビールも生でしょ」


「「「「「あはははは、至言」」」」」


「雅子、今週の仕事の段取りを組む前に、百合ちゃんに聞いて買ったというTDJ72改の状態を見てからにしよう。それにしてもボンネットのレントゲン車なんて初めて聞いたぞ」


「お兄ちゃんが知らないって相当なレアものじゃんじゃん。あたしも百合リンにTDJ72改の情報聞いてみるよ」


「そうだね」


雅子は百合ちゃんにTDJ72改の状況を聞いていたのだった。

すると、


「お兄ちゃん、百合リンに聞いたらとにかくTDJ72改を見て欲しいだって。エンジン掛からないからサルベージが必要とかも言ってるよ」


「えええ?もしかして溶けかかってるとか?GS130達3台は見たら保管状態良いってわかったけど。バスってもしかして雨ざらしなのかな?」


「悟瑠、それは結構つらいかもなあ。とにかく見てみようぜ」


「そうなんだよなあ、隆文の恋路ちゃん(MR510改)もエンジンのターボ取っ払うのやるんだろ。スーパーの社長のBXD30もエアコン付けるのちょっとにてこずってるけどな」


「2重ダクトだろ。それはそれでいいけどダクトに着く結露の排水も考えないといけないよな」


「そうなんだよ。幸い網棚は要らないって言うから網棚のところを使って吹き出し口上手く着けてやるけど、暑すぎる日は結露するよなあ」


「悟瑠、エアコンで余った風は冷気ダクトの外を戻すんだろ。」


「もちろん。そこで外ダクトで多少結露するところは車体側でやるしかないんだよな」


「とにかく、そうやってみるしかないだろ」


「天井の内側にダクトを隠す場所を作ってか」


「うん、ルーフの錆防止で網棚と天井のベンチレータは取っ払う、その空いたスペースをうまく使って冷気のダクトの通り道作るよ。ポニーちゃん(BX521改)と同じ様に」


「悟瑠さん、そういえば俺の恋路ちゃん(MR510改)にも天井ベンチレータ―ないよ」


「ないよ。それは仕方あるまい、恋路ちゃん(MR510改)は高尾さんに再生を頼まれた時に20年は錆びないようにって依頼だったから、防錆処理が難しい天井のベンチレータは全部取っ払ったから。網棚もないでしょ。網棚はステンレス使うだろ、そうなると異種金属接触でボディを錆びさせるからって言うことで取っ払った。エアコンもさっき言ってた通り、ベンチレータと網棚があった場所を使ってやってるよ」


「ってことは、悟瑠、それはいい手だな。隆文の恋路ちゃん(MR510改)は2重ダクトじゃないんだろ」


「うん、天井材には防水コートした樹脂を使ってるから錆はない、ポニーちゃん(BX521改)もそうやって観光バス用のエアダクトでエアコンの冷風回してる。BXD30は社長が網棚を使わないって言うからそれも取っ払う」


「なるほどね。それからエアサスのコンプレッサーは電動にして後ろのオーバーハングにつけるんだよなあ、そういえばエアコンも電動コンプレッサーか?」


「その通り、ポニーちゃん(BX521改)と同じく、もっというと軽快君(P-HTW12K改)とかてつしくん(TSD43改)もそうだよ。鈴木さんたちが提案してくれたよ。前にいた会社でも古い車をエアサスにする時はそうやってたみたいで。コンプレッサーの電動をエアコンにも応用したのは僕だけど」


「そうかあ、この前エンジン換装したBXD30とかマーシーちゃん(MAR480改)とか恋路ちゃん(MR510改)もそうなのか?エアコンとエアサスのコンプレッサーを電動化したのは」


「そうだよ、隆弘の兎ちゃん(UA35H改)もそうだし、デビちゃん(DB110改)も、鬼丸君(MR520改)もそう、五平君(MM515H改)とか古いバスで観光系以外はもとからエアコンって考えてないから電動が一番速いよ。エアサスにするならコンプレッサーも電動にするからオルタネーターを高用量ツインにして、バッテリーも高容量の物に交換するんだぜ。それなら全く問題ない」


「そういっちまったらそうだな。悟瑠の言う通り」


「実はだな。ディープサイクルのサブバッテリーも積んでて、シフトが入ってて、クラッチはなしてアクセルオフにしたらオルタネーターを全開で駆動して急速充電するようにしてある。そうすると加速時にオルタを切ってもサブバッテリーから電力供給するから燃費もいいよ」


「やること、これだよ。ツインオルタってやそういうことなのか、ハイブリッドとは言えないけど」


「本格的なハイブリッドみたく大容量じゃないから回生失効すぐするけどな。この方針でどうだ?」


「よし、それでいこう」


と、方針をきめたところ、雅子が工場に来て


「お兄ちゃん、百合リンがTDJ72改おいてある現地を案内するから現地に来てだって、住所送って来た。もう現地に向かってるんだって。スイッチ入るとせっかちで」


「わかった、親父。ちょっと下見行ってくる。TDJ72改の高さを測ってくるけど通行申請いるかも。雅子、今日は念のため僕のサイバー君(KC-CF53XH改)で行くよ」


「悟瑠、引き取り先の住所ここか。申請だしておくよ。TDJ72改の車高よろしくな。」


「もしかしてタイヤがつぶれていたらその分低くなるのか?どっちにしても4.2は超えないと思うけどな」


「そうだな。日野のBH15が3040、BXD50が2965だろ。デビちゃん(DB110改)が3070、それなら高くなってもプラス50がいいところか?ってことは3100位か?」


「たぶんそうだと思う、雅子。百合ちゃんからの詳細情報よろしくな。隆弘、聞く限りじゃあ錆で結構てこずりそうだから防錆鋼板の在庫見ててもらっていいか?多分だけどほとんど全部外板張替だと思う。モノコックじゃないけど、多少厚くなってもいいからさ」


「ああ、モノコックの兎ちゃん(UA35H改)のと同じもの頼んでおくよ。インナー用にはスケルトンのゴーゴーくん(RA552RBM改)と同じもの頼んでおくさ」


「おう、頼んだぜ。フレームあるからモノコックよりは薄いと思うけどな」


「とにかく、運ばれてきたバスを見てだな。フレーム逝ってると結構大変だ、同じメーカーの2軸総輪駆動レッカー(KC-CVS80改)のフレームの厚さ測っておくよ」


「頼む、できれば念のため4軸総輪駆動レッカー(KC-CB55EW改)のフレームも」


「良いよ、後は2軸トラクター(SH3FGEG改)のフレームも見ておくよ」


「加藤運輸のアルミブロックとかカーゴのフレームの数値もあると助かる」


「OK任せろ」


隆弘と隆文にフレームの厚さを測る仕事をお願いして僕と雅子はサイバー君(KC-CF53XH改)でTDJ72改の下見に行った。

現地に着くと、百合ちゃんがソーラー装置が乗っている倉庫の前に停めてある自分の徳次郎君(TK20GD改)から降りてきて


「雅子、ありがと。そこの建屋の中に有るのよ。一応通風はしてたみたいだけど、結構きてる。まああたしが買ったエスワン(EーPS110)、そうかPS110はエスワンって呼ぶことにしたの。エスワン(EーPS110)もこの建屋にしまってあってその時に見つけたのよ。このエスワン(EーPS110)ってママが乗ってるKP61のオーナーから買ったみたいね。その建屋って屋根のソーラーパネルで発電して、あそこの車を木材で作った棚に乗せて床下からの湿気がたまらないように通風してんだよ、それなんで、エスワン(EーPS110)もMA45改もGS130改も床下の錆はあんまりなかったハスだよ」


「そうだね、見たけど床下は全く錆びてないよ。じゃあ、TDJ72改を見てみよう」


百合ちゃんがカギをあけてくれた、中に有ったのは予想通りTDJ72の顔にバスボディをつないだ仕様のバスだった。

おいてある場所は、30cm位嵩上げはしてあったが、エスワン(EーPS110)たちが乗っていた棚よりも低いのは仕方ないかもしれない

それになぜシャシがこのメーカーかと考えれば、このメーカーはボンネットバスを一番長く製造していて、しかもボンネットトラックも遅くまで作っていた。

その関係でキャビンからバスボディへつなぐところの部品の設計のノウハウが多いので、バスを作りやすいのだろう。


「百合リン、この車作ったのってどうして?なんか理由を聞いてる?あたしはどう考えても不思議でしようがないの」


「あたしもそう思ってオーナーに聞いたの。そしたらこのレントゲン車は県境の峠近辺の集落で使っていたんだって。この車が現役のころは冬が寒くてキャブオーバーだとフロントガラスが凍って駄目なんだって。それに豪雪地帯だから検診の時にエンジンかけててもフロントガラス凍ってしまうのを防ぐんだって」


「あ、そう言うことか」


「うん、ボンネットバスはボンネットからエンジンの排熱をフロントガラスに導くと凍ってる雪が解けるんで特注で作ったみたいね。ボンネットの中で一番長いフレームを使って、しかも後ろのオーバーハング延長して荷重かけて冬に駆動力稼ぐみたいな設定ね。デフロックも着いてたよ」


「そうかあ。今はデフスターに電気ヒーター使えるけどその頃はそんなのないもんね」


「そうよ、しかもV8エンジンに載せ替えしてあるの。パパはあたしが乗ってたマキちゃん(U-LV270H改)と同じエンジンにしたいとか言ってるよ」


「なるほどね。ってことは前が空いてるからターボ付くなあ」


「パパも同じこと言ってるよ。マキちゃん(U-LV270H改)位のパワー欲しいって」


「百合リン、どうもありがと。これから車体を見るけど、結構きてるかもね。お兄ちゃんどう思う?」


「うん、ボディはフロア含めて全部鉄板張り替えて、フレームは幸い問題ないからそのままいけそうだ」


「このバスはそうそうなみちゃん(TDJ72改)って呼ぶの。普段はパパの趣味車だけど37人乗りにして会社の送迎車にもするからね」


「はいよ。てことはシートはこの会社純正を使って強度証明つければいいかなあ」


「そういったらそうだな。これって良いことに運転席のところから前向きシートに出来るじゃん。百合ちゃん、37人乗りにするんだよね」


「はい、お願いします」


「百合ちゃん、このなみちゃん(TDJ72改)は船底で運ぶから、はみ出した分の申請がいるんだよ。申請通ったら引き取るよ。高さは4.1、長さは+3メートルで申請してある」


「どうもありがとうございます。パパには言っておきます。人足運びが大変って言ってもねえ。こんなのどこでみつけるんだか?」


「僕らはお仕事もらえるからいいけどね」


「お兄ちゃん、アジトでエスワン(EーPS110)とGS130とMA45改の3台の車を直すんだよね」


「勿論、3台はアジトで直すって言うかエンジンスワップして公道復帰する。見た感じからするとここの建屋は旧車の保管用に作ったみたいで、湿気を排出すること重視してるんだよ。埃こそ被ってるけど錆がほとんどないはずだからボディの板金いらないはずだよ。書類もあるからエンジンのオーバーホールと駆動系のオーバーホールで公道復帰できるよ。優先度は百合ちゃんのエスワン(EーPS110)でその次にMA45改かな?」


「はい、それでお願いします。実はここの建屋の解体もお願いされてて、この場所を売っちゃうんだって。それでお兄ちゃんとパパが下見に来て車とバス見つけて買うって言い出したんですよ」


「そうなのね。譲さんなみちゃん(TDJ72改)を欲しがってたでしょ」


「それがね、ボンネットダンプの旦那さん(DU780HD改)ゼットワン(ZH110改)で前方視界の悪さにこりたみたいで、要らないって。お兄ちゃんってキャブオーバーが好きみたいね」


「なるほどね。それで、お父さんが買ったってことね」


「そう。ママのデビちゃん(DB110改)とか、てつしくん(TSD43改)を見ていいなーって。デビちゃん(DB110改)てつしくん(TSD43改)はパパにとっては遅すぎるから、自分が持つならマキちゃん(U-LV270H改)位の速さにしたいって言ってるのよね。軽快君(P-HTW12K改)でも遅いとか言ってるんだよ」


「お父さんの速い車好きは百合リンがそっくり受け継いじゃったもんね」


「むうう、何よ。雅子は、下りでオーバーレブさせてエンジンから足出すほど壊さないわよ」


「百合ちゃん、あれってお父さんの肩持つつもりはないけど、実はデビちゃん(DB110改)のエンジンのクランクには既に罅が入っていたみたいで、たまたま下りでオーバーレブしたから壊れたけど、どっちにしてもブローするみたいだったよ。破断面見ててそう思ったんだ。一気に破断したってことは内部のクラックが成長して一気に来たってこと」


「ええええ?そうなの?」


「X線で検査することがなかったから、オーバーホールしたときには気が付かなかったけど、スーパーチェックだけじゃあ内部の破損はわかんないよ。念の為、デビちゃん(DB110改)のクランクとコンロッドは強化品鍛造鋼削り出し品に換えておいたよ」


「あー、お兄ちゃんまたやったわねー。んもういくら自分の趣味って言っても」


「雅子、いいじゃん、クランクの図面とか3次元画像送ると削り出しで作ってくれるところがあって、その会社も旧車の部品に手を出し始めたんだよ。試作ってことで純正のクランク位の値段で作ってくれたよ」


「ってことは、コンロッドはどうしたの?」


「うん、そこの会社で鍛造の軽量コンロッドを作ってくれたよ。ブロックの強度の関係でレブリミットは同じにしてるけど、ブロックの強化できれば3400rpmまでは行けるよ。今はクランクとコンロッドにとっては余裕もって使ってるってこと」


「お兄ちゃんはこれだよ」


「悟瑠さん、どうもありがとう、デビちゃん(DB110改)のエンジンはカウンターフローだからちょっと面倒だよね」


「それは御愛嬌だな、インタークーラーの配管が苦しいのと片側に重量物が寄っちゃうからね。バランス考える必要あってね」


「うーん、奥が深いんですね」


「勉強すればするほどね」


「悟瑠さん、この車、V8ですけどタービン置く場所が狭そうですけど大丈夫ですか?」


「大丈夫そう、この車のエンジンってコンパクトなのと、エンジンルームの幅に余裕あるから行けるよ。マキちゃん(U-LV270H改)と同じパワーにしてエアコン、エアサスかな?」


「ってことは、BXD30と同じことやるの?エンジンは換装かなあ」


「そうなるなあ。8PEがないけど8PDは見つけてある、8PCよりはクランク太くなるからいいと思うよ。でもパワー上げるなら、ミッションの交換がいるかも。よく見ないとわかんないけどV12のミッションにするかな?」


「悟瑠さん、いいですよ。パパの趣味車でもあるんだから。パパまでバスに嵌まるとは思わなかったわ。しかもボンネット」


「そう言ったらそうね。あたしも愛理沙も隆文、譲さんたちまでもバスにハマるなんて思わなかったわね」


「そうだね。総輪駆動も面白いけど、昔のバスって結構スムーズに運転するのにコツがいるから運転の練習にはもってこいじゃん」


「そうなのよね。うちじゃあ、一番ハマったのはお兄ちゃんで、一時期10台くらいあったよね。次にパパが嵌って3台買っちゃったし、その次はあたしかあ。ニジュちゃん(U-RP210GAN)エムエム君(U-MM618J改)のほかにお兄ちゃんからルーシーちゃん(U-RU2FNAB改)獅子丸くん(U-UA440HAN)フーセンちゃん(KC-HU3KMCA)もらっちゃったからね」


「あはは、そうなのね。うちで最初に嵌ったのはあたしでその次がママかなあ?ドライブ君(DR15改)だけの予定がデビちゃん《DB110改》も買ったからね。その次はお兄ちゃんかしらね。お兄ちゃんはキャブオーバーに嵌ったわね。まさかパパにマキちゃん(U-LV270H改)取られるとは思わなかったけどラムちゃん(P-RA52M改)もらっちゃったからねえ」


「そうかあ、結構みんななんだかんだ言いながらも楽しんでいるんだね」


「よし、雅子、お店に戻ってなみちゃん(TDJ72改)引き取りの準備しよう。大体状態わかったからさ」


「お兄ちゃん。レストア開始はスーパーの社長のBXD30仕上げた後ね」


「うん、隆文にはアジトでGS130改とMA45改とエスワン(EーPS110)のボディのチェックやってもらってる。ボディの錆が無くてエンジンだけなら納車まで早いよ」


「悟瑠さん、なみちゃん(TDJ72改)の引き上げお願いしますね」


「はいよ」


僕らはお店に引き上げて来て、引き上げの段取りを考えていたのだった。


「悟瑠、TDJ72改はどうだった?」


「全面張替が必要だよ。ざっと見た限りフレームに問題はなさそうだからフレームは一旦全部カチオンを落として亜鉛メッキかけなおし、その後に水がたまりそうなところに念のための亜鉛板を貼って、再度カチオンやり直して必要なところに電子の防錆装置取り付ければそのままでいける見込みだよ」


「それなら、俺たちは鉄板がくるまでは先にBXD30を仕上げてだな」


「その通り、エアコンと内装は鈴木さんたちにお願いして僕と隆弘と村上君で足回りをやるぞ。隆文は6D15エンジンのエギマニとクランクを125mmストロークに交換だな。みたらフロント周りを6D16のに交換すればいけるはず。他はリース車のメンテの仕事だな」


「「「「「はい」」」」」


「悟瑠、BXD30は以前もやったから楽は楽だな」


「ああ、同じことやるのは楽だよ。最初の車を試行錯誤で直すのが難しいんだよな」


「まあな、それが楽しいって言うのもあるけどな」


「そうだね。それにしてもこのころのバスって設計変更いろいろ入ってるよなあ」


「そうそう、一年違うと別物になってるよなあ。なんか前やったBXD30とちょっと形違うじゃん」


「工場長、このBXD30は最終年式ですよね、ってことはもしかして丸松建設のビーフさん(BF30改)と同じですか?」


「村上君、そうかもね、雅子に聞いてみよう、ビーフさん(BF30改)をエアサスに変更した時の図面が残ってるはずだな。雅子はデータ捨てないからクラウドがあっという間に満杯になるんだよな」


僕は事務所に行って雅子にビーフさん(BF30改)をエアサスにした時の図面を出しもらって、スーパーの社長から預かったBXD30の形と比べてみるとほぼ同じだ


「さすがだねえ、合ってるよ。あちこちで変えてるのかなあ?」


「悟瑠、そうかもなあ。これでブラケット作ってだな」


「村上君、ナイスだ。BXD30でもどっかで変えたんだろうな」


僕らは鉄板を加工していると、鈴木さんが


「工場長、この前にレストアしたBXD30は62年式で実質BX731なんですよ」


「でも、この前のBXD30は4灯だったよね」


「それなんですが、オーナーの趣味で前に再生するときについでに4灯に変更したんですよ。師匠がやってましたもん」


「え?そうなのか。そこまでは気が付かなかった。隆弘と逆パターンかあ」


「もっというと、どうもキャブオーバーが変更された時にBXD30何か変更が入ったらしいとは聞いたことありました詳しくは情報が無かったんです」


「そう言うことか?リーフの取り付け点の形が少し変わってるけど、うーん」


「それですよ。あの頃は結構認証もザルだから多少の変更なら届け出しないでできたんじゃ?」


「そうかあ。なんかビーフさん(BF30改)の方がブラケットをコストダウンしたような形になってるんだよなあ。ところで内装はどうですか?」


「木目風のリノリウム床にして、天井材はアルミで作ります。ポニーちゃん(BX521改)とおなじですね。エアコンダクトもOKですよ。防カビ対策ばっちりです。この車って良いことに乗降ドアのあることの右側に乗降用の装置をつけるブラケットがあるんでそれ使ってエアコンユニットが付くんですよ」


「すごいなあ。鈴木さん。よろしくお願いいたします。たすかります」


「悟瑠、どうする?ビーフさん(BF30改)の形でやるか?」


「もちろん、コストダウンしたような形って言っても剛性はこっちの方が高そうだ。余計な曲げを減らして加工しやすいようにしてあるよ」


「そうかもなあ。雅子のデータを見るとその通りだなあ。そうかあ。この部分がまっすぐになってるんだな」


「後ろの方はどっちにしてもブラケット追加すればいいから楽だろ」


「センターのバンパーラバーは大容量のウレタンでいいよな」


「もちろんだ、以前やったBXD30に合わせる」


「それだな。フロントはリーフで位置決めしてエアはアシストのみだな。フロント周りは前にやったBXD30と同じなんだな、ビーフさん(BF30改)とは大違いじゃん」


「隆弘、ビーフさん(BF30改)のフロントのフレームは同じエンジン積んでるキャブオーバートラックの物になってるんだよ。ビーフさん(BF30改)はフレームの前部分が違う」


「なるほどね」


僕らは足回りを変更して、エアサス化を仕上げてオルタネーターを増設、大容量のディープサイクルの全個体LIBバッテリーも増設して仕上げていたのだった。

2週間かけて仕上げていて、その間に特車で通行する許可が下りたのでなみちゃん(TDJ72改)を引き上げてきて鈴木さんたちに見てもらっていた


「悟瑠、このBXD30の全開試験はどうするんだ?」


「行くよ、部品からすると問題はないはずだけど、隆文のKPを見てると同じ部品を使っているからとはいっても安心はできないって」


「そういったらそうだなあ」


「DA640のターボ+ボンネットの組み合わせはこのBXD30が初めてで見ないとまずいだろ。全開でずっと坂を上るってことはほとんどないと思うけどね」


「なるほどな、確かにハットくん(P-HTW12K改)鉄子ちゃん(K-TSD45G改)は6B系に載せ替えたもんなあ」


「そう言うことだ。古いだけあって発熱量はDA640が多いよ。6B系は冷え性なところ有るよ」


「じゃあ、載せ替え終わったら行って来るんだな。そういえばこの車もルーフベンチレータ取っ払ってあるんだもんなあ」


「どうも、前に鈴木さんたちがいた整備工場で取っ払ったらしい。ルーフまで見て無くて取っ払うとか言っちまったけどな。天井材の風の出口を残すって言う小技にはまいったけどなあ」


「エアコンはなかったのかあ」


「前から後付エアコンの風をルーフの風の出口まで送ったらしい。最も夏はほとんど走らなかったとか言ってたよ」


「悟瑠さん、この車についてたラジエターみたら、錆で半分くらい詰まってましたよ。夏場にガンガン回したらオーバーヒートしますよ」


「悟瑠、そうか。オーバーヒートするから夏は走ってなかったのか」


「そうかもね。ラジエターはビーフさん(BF30改)と同じものに交換したし、空冷のオイルクーラーも追加したからターボでのいけるはずだ」


「そうだな。試験はいつ行くんだ?」


「明日行く、ところで悪いが隆弘、クレーン付きレッカー(PK262HFZ改)でついてきて来てくれないか?明日は雅子が百合ちゃんたちと遊びに行くって言ってて休みなんだよ」


「いいよ。じゃあ、明日だな。」


「隆弘、念のため、黒煙も見てくれ、ブースト圧が低くなってたから合わせ直した」


「OK、と言ってもこのエンジンにはブーストなくてもいいんだろ」


「まあな、ブーストかけるのは黒煙対策だよ」


「悟瑠は黒煙対策はばっちりだもんなあ」


「悟瑠さん、俺もいいですか?恋路ちゃん(MR510改)組み終わって全開で試験してないんで」


「良いよ。2台で行って確認しよう。鈴木さんにはいないって言っとかないとな」


次の日、僕らはアジトからいつもの道にいって黒煙の確認をしていた。

僕が改修を終えたBXD30、隆文が恋路ちゃん(MR510改)、隆弘はクレーン付きレッカー(PK262HFZ改)で走っていた。


『悟瑠、いい調子だよ、黒煙は全くわかんない』


「そうか、良かったよ。ブーストもばっちりかかっている」


『兄貴、俺の恋路ちゃん(MR510改)はどう?高回転域がちょっときついか?」


『隆文、黒煙は若干吐くけど、そのくらいならいいんじゃないか?DPDはないんだよな」


「ない、念のため着くように準備工事はしてある」


「隆文さすがじゃん」


『悟瑠さん、ありがと。BXD30速いなあ。恋路ちゃん(MR510改)じゃついて行くの結構大変かも。4速だとあんまり加速しないし、3速じゃあ吹け切っちゃう」


「そうかも。パワーは同等でも重量で相殺。ミッションのギヤ比は恋路ちゃん(MR510改)が低めだからいいはずだよ」


『そうかも。悟瑠さん、坂が急すぎてこの速度までしか乗らないなら変わんないか?クロスミッションの威力発揮するところまで行ってない』


「そうなんだね、恋路ちゃん(MR510改)のギヤ比は戸隠に合わせたからかな?ターボ用のトルク用だよ」


『約10キロ、20%ほどトルクがない分きついのか?仕方ない』


僕が運転するBXD30は3速全開でメーター読み40キロ過ぎたところでレブリミットになっているので4速に居れて引っ張っていく


「隆文、3速だとBXD30のほうがギヤが高いから伸びで有利なんだろう。こっちも4速だとじわじわとしかあがんないよ」


『そうですね。こっちは3速で40キロいかないうちに4速です。4速だときついです。それに登りだと3速でも3000がせいぜいでリミットまで吹け切らない』


「仕方ないかも、それにこのBXD30は加速重視のミッションが入ってるから速いんだよ。元々は路線バスだったのかも。リミットの2900迄簡単に吹けちゃうよ」


『そうなんですね。高回転の伸びの差もあるのか?』


「そうかも、パワーバンドの差はでかいかも」


『悟瑠、隆文、走りはいいけど2台とも水温、油温のデータは異常なしか?』


『うん、恋路ちゃん(MR510改)は大丈夫。ターボ取った分余裕がある』


「こっちも大丈夫。ビーフさん(BF30改)の部品がマッチして良かったよ」


『登りきったな。じゃあ、戻ろうか?』


「おう、下りは新設したリターダーで上手く下れればいいかな?」


『俺の恋路ちゃん(MR510改)はもう不利な条件で見てるからいいよ。リターダー2連と排気でいけそうだ』


僕らは補助ブレーキをフルに使って下って帰ってきた。

忙しく仕事して、スーパーの社長から依頼されたBXD30を注文通りに仕上げてスーパーに納車しに行った、その時に僕と雅子は次の週末に隣の県で行われる最大のバスミーティングに行かないかと誘われた。

どうやら、松尾建設にも声をかけているようで、雅子が確認すると百合ちゃんたちは一家で参加して、狩野さんと大型免許を持っている神山さんにも会社所有のバスを展示するために会場に乗ってきてもらうらしい。

展示の資格は1994年以前でU-以前ならOKということらしいので、僕は自分のバスの中ではいいのがないので親父にアサイー君(P-LR312J改)を借りていくことにした。

雅子は考えた末にエムエム君(U-MM618J改)、親父はケーテン君(K-102H改)、お袋は錦くん(U-LV224K改)を展示すると言っていた。

隆弘と隆文を誘ったところ、隆弘は兎ちゃん(UA35H改)、隆文は恋路ちゃん(MR510改)を乗って行くと言っていた。

雅子から聞くと、百合ちゃんはラムちゃん(P-RA52M改)、譲さんは29人乗りに再改修したビーフさん(BF30改)、母親はてつしくん(TSD43改)、父親が軽快君(P-HTW12K改)、百合ちゃんの父親に引っ張りだされた狩野さんはドライブ君(DR15改)、神山さんがマキちゃん(U-LV270H改)に乗って行くと聞いた。

愛理沙ちゃんと哲史君も参加するらしく、愛理沙ちゃんはババロアちゃん(B806K改)に乗って参加、哲史さんはマーシーちゃん(MAR480改)を乗って行くらしい。

当のスーパーでは社長はポニーちゃん(BX521改)で参加、課長の綿貫さんは自分のロニー(B622B改)で参加、他には長野さんが鬼丸君(MR520改)で参加。それに河野さんも引っ張りだされて、納車したばかりのBXD30を乗って行くのだった。

件のBXD30には型式にあるDと3を使ってデッサンと愛理沙ちゃんがニックネームをつけたらしい。加えて、移動販売員が、お弁当のキッチンカー(RM211GAN改)を乗って来てメキシコ料理を販売するらしい。

大凡100台が集まったミーティングの日、そこで見た激レアの剣道面スタイルのBH15改やBXD20E、DB100Cもあってみんな興味津々だった。


「お兄ちゃん、このBH15って1964年式で最初の東京オリンピックの時に作られたんだって、それ言ったらポニーちゃん(BX521改)の方が61年式だから古いのか?」


「そうだね。って言ってもポニーちゃん(BX521改)のボディは70年代にメーカーが全面作り直しで再生したから70年代のバスっていってもいいけどね」


「そうか。メーカー純正で再生だもんね」


「ほら、雅子、展示してあるDB100Cはデビちゃん(DB110改)の兄弟だね。ガソリンエンジンって結構びっくりだよ」


「そうね。こんなの残ってたんだ。1948年式ってすごい。何年前よ。お爺ちゃんが子供のころ作られたっていうかさあ。すごいよね。それが今でも走るんだもんね」


「そうだね。おおお、これはBXD20とBXD20Eのならびかあ。レア車同士じゃん。まさに兄弟車の並びだよ」


「そうね、ってことはこれも兄弟かなあ?」


雅子が言うのはビーフさん(BF30改)の隣にスーパーのデッサン(BXD30)を展示してあるところだった。


「まあ、そうだね。オリジナルならどっちも同じエンジン積んでるよね、言う通りデッサン(BXD30)ビーフさん(BF30改)も兄弟車だよ。ほんとはBXD30Eがフレーム共通の兄弟なんだけどね」


「お兄ちゃん、そうかあ。それでビーフさん(BF30改)と社長のデッサン(BXD30)を並べたのね。あ、百合リン、愛理沙。お帰り。どう?何みてきたの?」


「うん、隆弘が恋路ちゃん(MR510改)ちゃんの運転手になって一緒に見れなくってつまんないからボンネットバス見てきた。そうだ。高尾さんもきてて、K-MK116J展示してたよ。後で挨拶行くって」


「ありがと」


「悟瑠さん、中型の展示にスーパーの移動販売車の先輩がいましたよ、中型10.5メートルの最も古いもので、型式はU-JP211NTN改です。酷使される路線バスのこんなレアなのが残ってたんだって思っちゃいました」


「へえ、改ってついてるってことは?何か違うのかな?」


「雅子、多分だけどエアサスだよ。純正のエアサス付きだ。改造形式で純正でエアサス付きがあったんだよ」


「へええ、そうなんだね」


「雅子、愛理沙、バスの説明はお兄ちゃんたちに任せて悟瑠さん他も見に行きましょうよ。結構マニアックな仕様がありましたよ」


「そうですよ。あたしのババロアちゃん(B806K改)なんてまだ可愛い方ですよ」


「そうかあ」


「国鉄の高速バスと同じボディを持った一般向けのバスもありましたよ。6速なんでもしかすると国鉄以外の民間の高速夜行バスかも」


「へえ、あ、あの15HDボディのか?」


「お兄ちゃん、もう見つけてたの」


「あはは、それはご愛敬ってことで、V10ってエンブレム貼ってあったけどエンジンとミッションスワップかもなあ」


「お兄ちゃんと同じじゃん」


「保存会の車で本物の国鉄形式を展示してたけど13Bだよね」


「そうだね。1速発進の5MTって言う特殊なミッションだよね」


他に見て行くと。旧車バスの定番のBXD30、TSD改の総輪駆動が展示としては一番台数が多く、保存台数の多さを物語っていた、その中でも丸松建設の軽快君(P-HTW12K改)はかなりの異彩を放っていて百合ちゃんの父親が嬉々として説明していた。

珍しいバスにBXD30Eがあった、譲さんのBF30との違いは長さがBXD30Eの方が100mmほど短く、ヘッドランプがBXD30Eは2灯、BF30は4灯、フロントトレッドがBF30の方がボディ面近くまで広くなっているのだ。

残る側面や後面はほとんど同じで、マスクやフロントトレッドを見ない限りはその差はわからないだろう

惜しむらくは、BXD30Eはちょっとボディのあちこちに錆が浮いてきて傷みが目立って来たようで、このへんでがっちりメンテしたほうがよさそうな個体に見えた。

そのBXD30Eが僕らがエンジンを載せ替えた62年式のBXD30と並べてあったのだ。

ミーティング会場のサーキットコースでは、定番のバスの試乗会もやっていた。

軽快君(P-HTW12K改)はエントリーしていなかったがぜひ試乗会にも提供してほしいという主催者からの依頼があって気をよくした百合ちゃんの父親が嬉々としてハンドルを握っていた。

軽快君(P-HTW12K改)は6QAに換装した時に、乗りやすさを重視してエアオーバーブレーキ、エアアシストクラッチ、パワステ、フィンガーシフト、エアコン完備、総輪エアサスにしてあるので運転してても楽で、乗ってる方も猛暑の中でも涼しく、かつエアサスの効果で乗り心地もよく快適なのもあってボンネットの中では一番の人気になってしまっていた。

ほぼ一日中に近く運転した百合ちゃんの父親は、次こそはなみちゃん(TDJ72改)で参加すると意気込んでいたのは言うまでもない。

他には、隆文の恋路ちゃん(MR510改)の2灯仕様や哲史さんのマーシーちゃん(MAR480改)、長野さんの鬼丸君(MR520改)のような古いリアエンジンのバスには人気が高くて恋路ちゃん(MR510改)軽快君(P-HTW12K改)と同じく主催者から頼まれて試乗会に引っ張り出されていたのだった。

恋路ちゃん(MR510改)も再生の関係で軽快君(P-HTW12K改)と同じく、エンジン換装、エアオーバーブレーキ、エアアシストクラッチ、パワステ、6速MT、エアコン完備、総輪エアサスにしてはいるものの、内部はオリジナルのままなので昔の雰囲気が良く出ていて、乗った人たちにはやはりエアコンが効いてて、猛暑にもかかわらず暑くないのが良かったらしくこれまた好評だったのだ

恋路ちゃん(MR510改)の運転は隆弘と隆文の二人が交代でやっていた。

楽しんだ、バスミーティングから帰って来た月曜日にパソコンを開けると


「お兄ちゃん、さっそくバスの修理が来ちゃったよ。高尾さんの紹介だって」


「車は何だろ?」


「定番だよ。BXD30E。展示してあったやつ」


「ああ、見たよ。ミーティングに来てた奴だろ。外板のあちこちに錆が出まくってたもんな。修理って言うよりも張替したほうがいいよ」


「悟瑠、今後の仕事はBXD30Eの再生となみちゃん(TDJ72改)の公道復帰だろ、エスワン(EーPS110)とGS130改とMA45改のエンジンオーバーホールか?」


「隆弘、MA45改は1G-Gにして欲しいとか言ってたぞ。理想は7M-Gでもいいとか200ps欲しいとか言ってるよ」


「GS130改はRB25?」


「それかRB30かな?300出ればOKでしょ。25でもって言うか25+26クランクの250psでどうかな?」


「百合のエスワン(EーPS110)はZ24?Z20のままでいくんじゃないよな」


「それかKA20がいいよ。既にボディは3ナンバーになってるから、どっちでもOKだよ」


「それで行こう。MA45改は1G-GでGS130改はRB25改、エスワン(EーPS110)はKA20だな」


「それでいいよ。エンジンは全部在庫にある。それらのエンジンのオーバーホールだ。その次はなみちゃん(TDJ72改)の再生工事だな」


僕らは段取りを決めると、3台のスポーティーカーのエンジン積みかえを開始するのだった

3人が見つけてきた旧車を直す仕事が残った悟瑠たちだがミーティングに行ったらまた仕事がくる

嬉しい悲鳴


いつも読んで頂き、どうもありがとうございます。

今回はここで更新します。

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次回は出来上がり次第投稿します

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