第六十七話 TSカーレースシーズンインと沼ったバスのメンテに忙しい隆弘たち
開幕を迎えたTSカーレース。初戦の結果は如何に?
気に入って買ったバスのメンテも大変
主な登場人物と所有車
佐野 雅子 ヒロイン 24歳 4月生まれ
峠のバトラー⇒TSカップレーサー、8勝目にトライ中。
家業の佐野自動車販売の中古車販売店兼整備工場の経理、整備の段取り担当の副社長
前職はスーパーの経理兼販売促進
所有免許;大型2種、牽引運転免許、2級整備士免許、危険物乙4、玉掛、ガス溶接、救急救命士
レース以外の趣味:
オフロード走行:大型の2軸総輪駆動のエンジン、サスペンションをいじって自分好みした。
パソコン:プログラム組むのも好きでシステムを自力で組める
所有車
バス:
観光系 ルーシーちゃん
路線系 獅子丸くん
フーセンちゃん
短尺系 ニジュちゃん
エムエム君
大型キャブオーバーダンプ
4×4 藤子ちゃん
大型ボンネットダンプ
4×2 カービーちゃん
小型車
クーペ イチゴちゃん
僕;佐野 悟瑠 雅子の兄 28歳、3月生まれ 妹の雅子より4学年上
家業の佐野自動車販売に就職して6年目、整備工場の工場長兼副社長。
所有資格 2級整備士、MIG溶接機、レーザー溶接機、ガス溶接、玉掛。免許は大型、けん引免許
カーキチ、スペックオタク
所有車
バス:
観光系 ゴーゴーくん
ロザン君
なごみちゃん
路線系 パン君
ニイナちゃん
キューピーちゃん
大型キャブオーバーダンプ
4×4 サイバー君
小型車
セダン サンゴちゃん
三四郎君
加藤 隆弘 28歳
悟瑠の同級生で親友。専学卒業後家業の内燃機整備工場に就職、佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。悟瑠の幼馴染。2月生まれ
所有車両
大型キャブオーバーダンプ
4×4 ラッシー君
バス
兎ちゃん
小型車:
セダン エスティーくん
加藤 隆文 25歳
隆弘の弟。雅子より一学年上だが、3月生まれで実はほとんど同い年。工業高校から家業へ就職。佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。
所有車
大型キャブオーバーダンプ
COE4×4 まゆかちゃん
大型ボンネットダンプ
4×2 きみこ
バス
恋路ちゃん
クロカン4×4
ロックン
趣味:TSカーレース
松尾 百合 24歳
雅子の親友、丸松建設のお嬢さん。雅子と同じ高校卒業して同じスーパーに入って家業に転職。
所有車
バス:
観光系 武蔵君
ラムちゃん
大型ボンネットダンプ
4×4 パイ君
4×2 徳次郎君
小型車:
軽4輪 エッちゃん
現在は丸松運輸の副社長 TSカーレーサー
松尾 譲 27歳 百合ちゃんの兄 丸松建設の副社長
所有車
バス
キャブオーバー ビーフさん
大型ボンネットダンプ
4×2 旦那さん
4×4 ゼットワン
小型車
KE70HT
小笠原 愛理沙 23歳 TSカーレーサー
雅子の同じ学校の一つ後輩。小笠原食肉のお嬢さん。元レディス総長。2児のママ かつて雅子がいたスーパーに勤務 大型免許所持
所有車
小型セダン
GXE10
大型観光系バス
ババロアちゃん
大型キャブオーバーダンプ
4×4 フライヤーちゃん
小笠原 哲史 27歳 愛理沙の兄。別の会社に勤めているが家業に転職検討中
所有車
小型車セダン
AE70
大型路線系バス
マーシーちゃん
長野さん 29歳。
バス会社に居たが欲しい車が排ガスの関係で住んでいる地域で登録できなくて雅子がいたスーパーに転職。今は愛理沙ちゃんの上司
所有車
大型短尺系バス
自家用 伊那路
観光系 五平餅
路線系 鬼丸君
小型車クーペ
NE
狩野さん 29歳
運送会社にいたが首都圏の事業縮小で地方に転勤になったが偶然募集していた松尾建設に転職
所有車
大型キャブオーバーダンプ6×4
V10 古武道君
V8 福田屋君
小型車EHT
ND
「悟瑠さん、9メートル大型バスは俺が買います。DA100Dは悟瑠さんがラテリン入れてフレームも補強してあって安定良すぎで練習なんないですよ」
「確かに9メートル大型バスはラテリンは入れたけどフレーム補強入れてないからね」
「佐野さん、K-MK116Jの整備お願いします。それと定員を29人乗りに変更お願いします。エンジンのターボ化とボディの錆と。9メートル大型バスはK-MK116Jが完成したら交換しに来ます。今日はこれからお隣の県のミーティングに前泊で向かいます。9メートル大型バスは僕としては最後の出品です。試乗会もあるんで提供します」
「承知いたしました。喜んで」
K-MK116Jの整備作業を請け負った僕らだった。
高尾さんたちがK-MK116Jをうちに預けて9メートル大型バスにのってミーティングの場所に出発した後、みんなでだべっていた。
「隆文、百合リンから買ったDA100Dのニックネーム考えたよ。"韋駄天"にしようと思ったけどちょっとパワー不足で韋駄天とは言うにいえないから"伊達"でどうかな?そうそう、隆弘さんのU35H改は"兎ちゃん"、今買うっていってた9メートル大型バスは"恋路ちゃん"ね。」
「あははは、確かに雅子の言う通りだよ。DA100Dは韋駄天とは言えないもんな。DAの"だ"、10の"テン"のンを無視するってことな」
「雅子は、うますぎて呆れるぜ。確かにあのパワーじゃあ韋駄天はないなあ。言う通り大型のナンバーが伊達かもな」
「でしょ。他もいいと思うよ」
「U35H改の兎ちゃんはU35をつかったな」
「そうよ。いいでしょ。MR510改は510で恋路ちゃん」
「雅子、っていうかさあ、俺が乗るのに女子系の名前ってだなあ、まゆかちゃんとかあるじゃん、それならDA100Dは伊達よりは政宗の方がいいなあ」
「いいじゃん。伊達って可愛いでしょ。麻雀プロにも声優にも可愛いのがいるじゃん。でも車の年式と近いのなら"きみこ"でもいいかも。DA100Dは72年式だよね」
「うーん、確かに。年代は近いなあ。そのとおり72年式だよ」
「じゃあ、"きみこ"で決まりね。これからはDA100Dをきみこって呼ぶね」
「あはは、雅子、恋路ちゃんも傑作だよ。とにかくいい名前をつけてるよ。僕の兎ちゃんもいいよ。気に入った」
きみこは雅子と百合ちゃんが経営するコースでTSカーのセッティングの後に、百合ちゃんから丸松建設で置き場が無くて困っていて稼働率の低いボンネットダンブを1台をうちに委託して売りに出すということを聞いたもんだから、きみこを再生した時に一番面倒をみた隆文がすぐに名乗りを上げて買ったのだ。
アンダーパワーのきみこでスムーズに速く走る練習したいということだった。
しかし、きみこにはハンドリング向上を目的にフロントサスにラテリンとサス部品をフレームに取り付ける部分のフレーム側に補強が入っているので多少のオーバースピードでもスムーズに走る。
安定が良くなって、しかも車自体のスムーズさも増したきみこではハンドリングは練習にならないといって性能の良くない別の車を探していたのだった。
そこに恋路ちゃんの引き取り手探しの話が出たもんだから衝動買いしたようなものだ。
「兄貴、恋路ちゃんのカスタム計画は決まったよ。まずはエンジンを6D15Tに載せ替えてパワー上げるよ」
「隆文、やりたいのはわかるけど、恋路ちゃんは、今以上の出力アップは無理だよ。デフとエンジンベイのボディーのマウントのところが持たない。鬼丸君は重量増でマウントが強化してある、それに高出力対応のデフに交換してあるよ.。恋路ちゃんはエンジンマウント部の補強はできるけどデフはできないよ。もう部品がない。車体が、狭いんだよ」
エンジン回りの改造をやった僕は鈴木さんにはエンジンベイの耐久性は恋路ちゃんの場合はエンジントルクで65kgがせいぜいと聞いていたし、デフも230psがせいぜいと聞いていた。長野さんの鬼丸君はデフがV8用に交換してあったのでパワーアップができる。しかし、恋路ちゃんではそのデフは車体幅の関係で入らないのだ。
「そうかあ。それなら出力は同じで低速重視にしよう。6D11よりは排気量増えるのと6速ミッションを見つけたから6速で行こう」
「そうだな。6.9リッターに増えるからその分低速のトルクをアップしてパワーバンド広げるんだな。6速のクロスならパワー同じでも乗りやすいって」
「隆文、恋路ちゃんはお客さんのK-UA31Kを片付けて、大型ショベルカーを片付けて、R31、K-MK116Jのあとだからね。お仕事いっぱいたまってるんだから」
「雅子。もちろんだよ、張り切って仕事をばりばりやるぞ。楽しみだー」
「目のまえのにニンジンぶら下がっていると貴文はコレだよ」
「良いじゃないの。ってお兄ちゃん。今週末からTSカーのシーズンインだかんね。パパたちにはあたし達土曜からお休みって行ってあるよ」
「うん、チェックしてある。雅子と愛理沙ちゃんの車は全部OK、消耗品は新品入れてある。エンジンもオーバーホールしてミッション油も交換したし、デフオイルも交換した。車体補強もバッチリだ」
「俺の車も、百合ちゃんの車もOK、兄貴とメンテバッチリやったからよ。油ものも全部交換したよ」
「百合リンのステアリングギヤはOKなの?」
「もちろん。TE用に交換したから行ける。タイロッドも強化されたバン用だよ」
「いいじゃん、お兄ちゃん、あたしのは?」
「それ言ったら雅子のもおなじだ。タイロッドをバン用にしたからピロの径が2サイズでかいよ」
「そうなの?良いかもね」
「愛理沙ちゃんのはサファリ・ラリー用の強化品」
「すごいわね。お兄ちゃんってどっからそんな部品見つけるんだか」
「いろんなとこからね。部品はオフロードコースで確認のときに入れてあるよ。左右のトーチェンジも合わせてあるからね」
「俺のKPも合わせた。走りやすいよ」
「週末が楽しみじゃん」
僕らは金曜日までK-UA31Kに積むPF6のオーバーホールとターボ化を仕上げてやっと部品が来たショベルカーのバゲットの修理を済ませていた。
迎えた土曜日、僕、雅子、隆弘、隆文、百合ちゃん、愛理沙ちゃん、そして譲さん、哲史さん、あろうことか僕と隆弘、百合ちゃん、愛理沙ちゃんの父親も開幕戦が開かれるTサーキットにきていたのだ。
車は僕のゴーゴーくん、積載車、マキちゃん、マーシーちゃんだった
「今日は開幕戦だな。二日間楽しみだ」
「親父、仕事はいいのかよ?」
「そう、いきなり休みにしてさあ」
「いいんだよ。子供たちの晴れ舞台だ。みないわけにはいかないだろ。配信もいいけど、見るなら生だろ。ビールも生がいいってよく言うだろ」
「わかったよ。今日の夜は飲んだくれて帰りはバスで寝るんだな。これだから」
「いいや、今晩は軽く飲むだけだ。明日は今日乗って来たマキちゃんを運転して帰る。悟瑠がやった車だよなあ。9メートル観光にしちゃパワーあるし、リターダーもしっかり効いててで高速のったらほとんどブレーキ踏まなかったよ」
「俺もちょっと運転したけど、康晴のいうとおりだったなあ。俺もおもったけど悟瑠君のセッティングはいいよ。エンジンとブレーキのバランスがとっても良い。乗りやすく仕上がっているな」
「だろ。実はこのマキちゃんを娘から取り上げた形になったけど。俺のお気に入りでもあるんだよ。速くて快適で、その割には乗りやすくて」
「これだよ、隆は速い車好きだからなあ。それが百合ちゃんに遺伝したな」
「まあ、そういうなよ」
「そうですねえ、3人の言う事わかりますよ。今日は息子のマーシーちゃんで来たけど、あの古いバスが高速道路を現代のバスと同等に走れるんでびっくりです。それに補助ブレーキがしっかりしてて安心して止まれますから」
「そうだな。ってあのバスは雅子のエムエム君とエンジン、ミッションが同じだから5速じゃあ高速乗ったら結構うるさいだろう」
「そうでもないですよ。結構ブン回すかもしれないけど、エンジンはなめらかで静かです。高速じゃあ4速で引っ張りすぎでガバナーに怒られてましたよ」
「レブリミットまでぶん回すのか?仕方ねーけどな」
「悟瑠くんはいい車作るよ。娘の2台の大型車も安心ですよ。今日はババロアちゃんで来ようとか行ってたんですけど、孫たちがこないんでこのバスの性能も見たいってことでマーシーちゃんにしたんです」
親父たちの会話を聞きながらプラクティスタイムになって雅子たちが走りに行った。
すると5周もしないうちに隆文が戻ってきて
「兄貴、もうちょっとアンダー減らせるかなあ?この前セッティングしたんだけど。ちょっとアンダーが強いんだよ」
「そうか、デフオイル交換したからその分プッシュアンダーが出るか。後ろのスタビワンサイズ上げるよ」
「ありがと」
「悟瑠、てつだってくれ」
「俺もやるぞ。隆文君の初戦だ」
「えええ?社長が?」
「何いってんだ。俺も昔は整備やってたんだ」
「お願いします」
僕らは突貫で後ろのスタビを交換していた。ボルトを規定のトルクで締めて確認、交換をおえて隆文をコースにだした
雅子は結構いい調子で飛ばしている、ありさちゃんも百合ちゃんも同様だった。
規定の練習時間が終わって4人が戻ってきて、
「お兄ちゃん。バッチリ、ガンガン行ける」
「あたしもです。悟瑠さん、どうもありがとうございます」
「あたしも、バッチリ。真ん中狙っちゃうよ」
「みんな、来てるなあ。兄貴。ありがと。ガンガン踏める」
「みんなやるなあ、見てたけど、車の姿勢が安定しているよなあ」
「そうよ、お兄ちゃんと隆弘さんが作る車は安定するの。安心して踏んで行けるんだよ」
「隆弘と悟瑠は車作りの名手だなあ。っていうかもうふたりとも職人だろ。エンジン組めば11000迄回るやつ作るし」
「はい、あたしもその御蔭で楽しく参加させてもらってます」
僕らがパドックで予選の準備していると、昨シーズンのレースでチームのクラス1のドライバーが雅子をブロックして抜かせないで出禁になったチームのリーダーが来た。
「昨シーズンは申し訳ございませんでした。ブロックしたドライバーは反省してます。今年は正々堂々と行きますんでよろしくお願いします」
「こちらこそありがとうございます。こっちもガンガン行きますよ」
「はい、望むところです、っていうかチーム佐野って女性ドライバーが3人なんですか?」
「はい、全員速いですよ」
「僕も頑張ります」
そう言って、そのドライバーは帰って行った。
「午後から予選ね。ふへへへへー楽しみじゃん」
「そうですね」
「そうよ。隆弘、同じエンジンを積んだあたしは負けないからね」
「望むところだ」
僕らは移動事務所になっているマーシーちゃんの中でお昼を食べて予選の準備していた。
"ぷーっ"と開始のラッパが鳴って予選の開始だった。
予選はクラス2の速い順番からスタートで昨年の総合優勝している雅子がトップでスタートだった。
一周の暖機走行が終わって
『お兄ちゃん、ラップよろ』
雅子がフルに攻めだした、ひときわ大きいエギゾーストノートを吐き出し、ライトをハイビームにしてタイムアタック中と周りに知らせている。
「もう一周いくのか?」
「そうみたいだな。とにかくレブギリ迄引っ張っていってるぜ。うわー。周りはドン引きじゃん。この速さはねーなー」
「あはははは、たしかに。おいおい、TSカーのレコードじゃん」
『次あたし行きます』
愛理沙ちゃんからインカムが入って4灯ライトをすべて点灯させてフルにエンジンをぶん回すサウンドがサーキット中にこだます。
『お兄ちゃん、いいところ行ったでしょ」
「ああ、多分トップだろ。愛理沙ちゃんが走ってるから邪魔するなよ」
『はいよ』
愛理沙ちゃんもそのまま2周走っていた。
『次はあたしです』
「百合、いけえ」
『うん』
Aとはちょっと違う重めの排気音とエンジン音で百合ちゃんのKE55がこれまたハイビームでカッ飛んでいく。
『俺もいくぞ』
「いいぞ」
隆文もハイビームにして全開、ホームストレートをかっとぶ
雅子がクーリングを終えて戻って来た。
「愛理沙、え?同タイム?」
「だな。となるとディフェンディングで雅子がポールだな」
「愛理沙、やるなあ」
と言っていると、愛理沙ちゃんの車も戻って来た。
「どうですか?」
「愛理沙、同タイムよあたしと。うかうかしてらんないわね」
「ええ?そうなんですか?遅いかなーって思ったんですけど」
「見ると、愛理沙ちゃんは第一コーナーから第二ペアピンまで速い。ストレートがちょっとかなあ」
「そうなの?あたしはストレートでってこと?」
「シミュレーションすると雅子と愛理沙ちゃんは本当にコントロールラインのところで並ぶんだよ。といっても第二ペアピンで0.1秒差だから何かミスったら逆転だよ」
「そうなんだ。愛理沙、決勝は勝負ね」
「はい、正々堂々いきますよ」
そう言う愛理沙ちゃんの顔はレディースの総長をほうふつさせる顔になっていた。
その後に、百合ちゃん、隆文の順番で戻ってきてタイムを見ていた
3番手はと4番手も同タイムで百合ちゃんと隆文だった。
しかも昨年度はポイントが同点なのでポジションはコイントスになって、3番手の位置は百合ちゃんだった。
「うーん、タイムを見ると第一コーナーから第二ヘアピンまで一番速いのは隆文じゃん、って言っても0.1秒ないけどな」
「そうかあ」
「百合ちゃんもいい勝負でストレートの伸びはKE55、コーナーの速さはKP61か。車幅の違いかもなあ」
「悟瑠さん。この差って意味あるんですか?俺がちょっと速いだけって」
「ないよ。こんなのはちょっとしたミスで逆転。4人は拮抗してるんだよ」
「ってことは、俺もチャンスはあるってことか」
「そうだな」
「よし、やったるでー」
「はあああ、隆文が乗っちゃったよ。これは怖いよ」
「雅子。そうなの?」
「うん、乗りで走るタイプだからなあ」
「明日ね。勝負は」
「もちろん」
僕らは車を片付けて宿にマキちゃんで向かっていた。
親父たちは宿についてすぐに着替えると温泉に入りに行ってしまった、僕と隆弘、隆文、哲史さん、譲さんは明日のピットの段取りを考えてきたのだ
「親父たちは旅行気分で来てるなあ」
「仕方ないか。親父たちもうっぷん溜まってるんだろうなあ」
「そう言っちまったらそうだな」
「段取りを決めよう」
「そうだ、悟瑠さん。明日は狩野さんが来ますよ。今日は用が入ってて来れないんですけど。明日は来るそうです。明日は会社の要請で派遣にして休出扱いにします」
「そうですね。ボランティアにしては大変ですもんね」
と言っていると、愛理沙ちゃんがきて
「悟瑠さん、長野さんと河野さんがくるそうです。保冷車にはメキシカンの食材積んでここでメキシコ料理の販売するんですって。風が強いって聞いてるんでお弁当販売車でメキシコ料理販売するんです。料理担当も来ますよ。最近車内の鉄板焼き器はタコス用になってますよ」
「そうかあ、綿貫さんも来たりしてね」
「課長きますよ。自慢のバスに乗って。悟瑠さんにエアコンもつけてもらったでしょ。それなんでニコニコですよ。もしかするとBDF積んでくるのかも。保冷車のエンジンかけっぱなしなのでガス欠しないように」
「それならローリーできそうだよね」
「そうなんですけど。乗りたいんですよ。B622Bに。高速に乗っても左車線をせいぜい80キロくらいで流してきて」
「なるほどねえ」
「買った時よりもパワーあがったってニコニコですよ。長野さんは明日はお弁当販売車の運転手と販売員の両方ですよ。河野さんが調理担当と補充車のドライバーです。課長は呼び込みですよ。売り切れが目標だって言ってますから」
「そうかあ」
そんな会話しながら決勝の段取りを決めていた
次の日、僕らの準備が整った頃、駐車場だろうか?良い匂いが漂って来た。
「これってスーパーのメキシカン料理のじゃん。え?これそこのビジョンのインタビューまでやってるの?レポーターも来ちゃってまあ」
「へえ、お弁当も売ってるの?本格的」
「愛理沙、簡易販売ワゴンも?観客席でも販売でしょ。美味しそうじゃん」
「百合先輩、この簡易販売ワゴンは長野さんのアイディアですよ。広めの道の駅に行ったときにこれに積んで売るんですよ」
「愛理沙、いいじゃねーか。俺が買っておくよ。レース終わったら腹が減るだろ。タコスか?」
「そうだな。雅子は大食いだからタコスとブリトーストの両方だろ」
「んもう、パパはあ。あたしが腹減り女みたいに言わないでよ」
「百合のためにも買っておかんとな」
「あはははは、隆文は和食派だから普通のお弁当でいいかな?」
「そうだな」
「親父、レースの方を頼むぜ、弁当はレースはじまってからでいいから」
「そうだな」
僕らはテレメのチェック、燃料の確認と必要な準備をしていたのだった。
「インカムのチェックするぞ。一番OK?」
「OKよ。ばっちり」
「次は隆文だ。2番いいか?」
「悟瑠さん、OK」
「愛理沙ちゃんは?」
「感度良好」
「百合ちゃん、OK?」
「うん、ばっちり」
掲示板にコースインと合図が出てぞくぞくとTSカーがコースに入っていく、ポジション順にならんで行って一旦グリッド上に止まった。
スタッフが確認して、白いフラッグをあげる。
"ぷーっ”とラッパが鳴って"ふぁーん"とペースカーのクラクションとともに"ブババババン"と各車のエギゾーストノートがサーキットに響き渡る。
"TSカー初戦の火ぶたがまさに切られようとしております。本日の実況は私、日吉、解説は槌谷さんです。レース終了までお付き合いのほどよろしくお願いいたします。"
場内のアナウンスが聞こえてきた。
"槌谷さん、本日の見どころはどこでしょうか?"
"はい、シリーズチャンプを取った佐野選手を今年止めるのは誰かですね。予選の結果を見るとチーム車工房が上位を独占ですからね。同じチーム内での争いかもしれませんし、ほかのチームがどう来るかですね"
"そうですね。タイムを見ると2秒近く離れてますよね"
"分析したんですが、この4人が速いのは第一コーナーから第二ヘアピンまでですよ"
"そうなんですね、おっと、シグナルが青になってレースのスタートだ"
"ぷわわわーん"と全車のエギゾーストノートが吠える。
ペースカーがピットに入って30周のレースのスタートだった。
"ポールから行ったのは佐野選手。前評判通り速いですね"
"そうですね。車のバランスがいいのと、4人の腕ですよ。とにかく速いです"
"遅れましたが、選手の紹介です。ポールはゼッケン1番、佐野選手、セカンドには同タイムでゼッケン10番の小笠原選手、3番手はゼッケン39番加藤選手、4番手にはゼッケン52番松尾選手、5番手にはゼッケン61番色部選手、6番手は・・・"
と、解説の言っている通り、ポールの雅子は上手く2番手以下を抑えながらも逃げ切りを目指している。
4人は同じ考えだろう、雅子との差を広がらないようにしながらベストタイムのラインで走って5番手以下を離していく。
5番手以下は既にバトル状態になっていてどうしてもタイムが伸びない。
「雅子の作戦だな」
「うん、隆弘。ちょっと気になったんだが、昨日のタイヤを見てて隆文の走りって結構無理かかってないか?30周だとラップタイム抑えないとまずいだろ」
「隆文には言ってあるよ。決勝はちょっと抑えないともたないって」
「だよなあ。いくら軽いっていっても」
「そうなんだよ。俺も見たけど。雅子ってもしかして決勝の走りで予選走ったのか?」
「タイヤを見る限りそうだな。ほとんどいたわって走って多分だけど交換は負担がかかる左だけって作戦みたいだ」
「そうだろ。愛理沙ちゃんも予選専用の走りだったし、百合も」
「ってことは、うーん。ほとんど予選のペースで走ってるじゃん」
「やっぱり強いよ」
「雅子さんって予選のペースなんですか?」
狩野さんが聞いてきた。
「うん、このペースで行くと隆文のタイヤがやばい」
「落とせと言っても意地で落とさないだろ」
雅子はガンガンかっ飛ばす。うちのチームの選手を除いた他は完全に追うのをあきらめたようだ。
"佐野選手好調ですねえ"
"予選と同じペースでカッ飛んでますよ。佐野選手が速いのは本物ですよ。5周目ですよね。もう15秒も差がついてますよね。うーん"
"信じられないですね。どんどん離れていきますね"
"エンジンも脚もしっかり仕上げてきましたねえ"
アナウンスの言う通り、雅子たち4人は結構なペースで飛ばしていく、去年のペースをはるかに上回るので全くついてこれないようだ。
"色部選手以下は上位が下がってくるのを待つ作戦の様ですね。リタイヤしてくれたら儲けものと言うか"
"そうですね。このペースで行ったらエンジンも持たないでしょ。速過ぎでしょう"
"槌谷さん、タイヤは持つんでしょうか?"
"微妙ですね、交換前提でしょうが燃費も結構わるいかもしれませんが"
"ですか、ピットとクラス1の躱し方いかんですね"
"そうですね"
雅子たちはいいペースのまま走っていた、10週もしないうちにクラス1に追いついた。
雅子はハイビームにして走る、以前ブロックが有ったのでブルーフラッグ2回連続で無視すると即失格になる、しかもバトル中でもフラッグ振られるので即よけないといけないルールだ
バトル中の速い車を邪魔した場合は即失格になる厳しい変更がされてしまったのだ。
クラス1の車たちは後ろも気にしながら走るのでペースが更に落ちることになってしまった
"昨年ここで残念ながらトラブル起こしたチームの車を入賞させたくてブロックしたのでフラッグ無視が厳しくなりましたね"
"ええ、小笠原選手でしたが、結構ひどかったですからね"
"あの選手はシーズン中出禁になりましたもんね"
"今年からはシーズン中どころかひどいと次のシーズン出禁もになりますからね"
"ええ、程度によってシーズンまたいで3戦とかできましね"
"はい、大変ですけどバトルが邪魔されるという事態が無くなるといいですね"
アナウンスしている通り、雅子たちの車がくるとドンドンよけて行って4台は開けてもらったところを駆け抜けていく
レースはそのまま17周目
『兄貴、ワリイ、タイヤがもうズルズル。4輪交換頼む。雅子はペース落ちねえよ。それにストレートスリップ使っても飛び込めねえ』
「そうか。準備OKだ。ガスもだろ」
『はいよ、ガスも頼む』
レースも後半に入るとピットに入る車が増え始めていた。
タイヤ交換、トラブルで対応するものいろんな理由だろう
「隆文がくるぞ」
「おう」
隆文の61が入って来た
「兄貴、頼む」
「おう」
耐熱手袋した隆弘とその親父さん、うちの親父が交換作業する
「フロント、OK」
「リア、OK」
「ガス、OK」
はいって15秒で隆文を送り出した。
『すみません、いいですか?愛理沙です、タイヤとガソリン』
「はいよ、気をつけて」
『あたしも、お願いいたします。』
愛理沙ちゃんと百合ちゃんが入ってくる
「隆弘、百合ちゃん頼む。こっちは愛理沙ちゃんを交換する」
「OK」
タイヤとガソリンを準備して待っていると2台が連なって入って来た
「交換」
"ガガガガガ"というインパクトレンチの音が響く、僕と親父、愛理沙ちゃんの親父さん、哲史さんの4人で交換している。
百合ちゃんの車は隆弘、隆弘の親父さん、狩野さん、譲さんが作業だ。
ピットの交通整理は百合ちゃんの親父さんがやっている。
「OK」
「愛理沙いけえ」
「百合、OK、いけ」
"ぶおおおおーん"と2台が出るとインカムに
『お兄ちゃん、タイヤとガス』
「はいよ。準備OK」
『もうロード』
「OK!雅子が来たぞ」
雅子のピット作業も15秒で終わらせると送り出した。
「どうだ?」
「順位は変わってないな」
「愛理沙ちゃんと百合の2番手争いがヤベえぞ」
「どっちも引かないだろう」
「隆文は?ちょっとペース上がらないなあ」
「多分、空力の問題だろう。ウイングがストレートではどうも逆効果かも」
「うーん」
"槌谷さん、どうですか?ばらけましたねえ"
"ええ、加藤選手はピットアウト後のペースが上がりませんね、さっきまではストレートで佐野選手の車に引っ張られていたのかもしれませんね"
"空力のせいですか?"
"そう思います、それにしても佐野選手は上手く車作ったもんですねえ"
"トラブルでピットに入る車増えてますねえ"
"そうですね、あのペースで飛ばされてはオーバースピードでいったんでしょうね"
「雅子って上手く走らせるなあ、全然ペースが変わんないぜ」
「僕もびっくりさ」
「康晴、雅子ちゃんどんだけ速いんだ?」
「俺もびっくりだ。予選のペースでカッ飛ぶとはなあ」
『隆弘、ブレーキやばいかも』
「百合、どうした?ブレーキ?」
『踏みごたえが甘くなって来た。ちょっとクーリングしないと』
「わかった、残り5周か。よく頑張ったよ。5周なら逃げ切れる」
『ほんと?とにかく走ってみるね』
『兄貴、油温がもう厳しい。120超えた。百合ちゃんは追えないよ。後方は大丈夫だよね?』
「隆文、目の前のクラス2が5番手だ。安心していけ。後4周ちょっとならそいつについていけばOKだ。今の隆文より遅い、完走狙いだ」
『そうか?遅いから抜こうかと思ってメーター見たら油温がやばかったんでついていたんだが、そうか。よし』
「上位はもう走り切れば確定だな」
「雅子は、ペース落としたな。この差なら愛理沙ちゃんには追い付かれないよ」
「それにしても雅子はやるよ」
"佐野選手はペース落としましたね。後3周、小笠原選手に追いつかれないとの読みせしょうか?"
"そうですよ。この差なら追いつきませんよ。と言うか小笠原選手もペースが落ちてますね"
"トラブル抱えながら走ってるんでしょうか、各車ペースが落ちてます"
"多分、上位はブレーキですよ。佐野選手のペースで走ってブレーキがやばくなったんでしょう"
"そうですね、ブレーキはやばいですね"
"オーバーヒートもあるでしょう、今日は気温高めですから"
"それもそうですね"
"佐野選手のレース運びは見事ですよ。逃げ切ってしまいましたね"
"はい、TSカップ初戦は佐野選手が文句なしの完璧なレース運びで、今チェッカー。おめでとうございます。初戦優勝です"
"この強さ、誰が止めるんでしょう?この選手を止める選手が出るか今年の楽しみです"
"そうですね。続々とゴールしてます。2着は小笠原選手、3着は松尾選手、4着加藤選手・・・"
場内のアナウンスが流れる中、雅子が一周のクーリングラップして戻って来た。
「雅子、おめでとう。やるなあ」
「実はブレーキが最後の3周やばかったんだよ。愛理沙がペース上がってないから安心だったけど」
と言っていると愛理沙ちゃん、百合ちゃんが戻ってきて
「ブレーキギリですよ。もうやばかった」
「愛理沙も?道理であたしもブレーキがやばくて」
「百合リンもそうだったのね。あたしももうやばくて」
隆文が戻ってきて車を見ていると
「オイルクーラーおかしくないなあ」
「隆文。ダクトがないよ。走行中外れたの?」
「外れてないよ。あ、上に引かかってる」
「これかあ。風が当たんなくって油温上がったのか?」
「そうだな。油温が上がったのは風が上手く当たんなかったんだよ。どうして外れたんだろ」
「かえって点検しないとわかんないよ。とにかく、今日は雅子の完全勝利だな」
「次はあたしが真ん中乗るもんね」
「百合いうじゃん」
「後ろにABSあると良いよねえ。Gセンサー付きで」
「今回はそのおかげだろう。めいっぱい後ろに効きを寄せてあるし」
「そうですね。でないとフロントが持ちませんよね」
「みんな、今日は俺のおごりだ。お店に帰って宴会とはいかんがパーティだな。綿貫さんにデリバリー頼んでおくよ」
「そうねえ。この人数をと言うかこの車たち停める場所ってアジトかうちのお店しかないもんね」
僕らは撤収するとお店に帰って来た。
そこではお酒こそないがみんなで楽しく過ごして雅子のトップのお祝いしていた。
次の日からは溜まっていた仕事と僕らが改造した丸松建設のボンネットダンプカーの車検をやっていた
4台が終わってやっと、高尾さんのK-MK116Jの錆チェックと全体の塗りなおし、エンジンのターボ化を完成させて全開テストついでに納車していた。
ミッション交換しなくていいとの注文だったのでパワーは恋路ちゃんと同じ所でやめてすこし排気量が上がった分を乗りやすさに振っていた。
その帰りに恋路ちゃんを引き取って帰ってきて隆文がお店で嬉々として点検していた時のこと、室内のフロント部分を点検していた隆文がやってきて
「悟瑠さん、この恋路ちゃんのヘッドランプを2灯から4灯に変更した痕跡がハーネスにありますよ。もしかして?事故った?」
「ええ?この前再生した時には気が付かなかったなあ。最初から4灯だとばっかり思ってた」
「隆文さん。私も気が付きませんで」
「だよねえ。隆文、俺もヘッドランプが光量アップで4灯ともLEDになってるから全くハーネスには触らなかったもんな」
「何があったんだろ」
「フレームって言うか、モノコック見ようか?」
「そうですね」
僕らは隆文がおかしいところを見つけたフロント周りのモノコックのところに事故歴がないか恋路ちゃんをピットに入れて見ていた。
するとフレームは全くいじった後は無く、何らかの理由でフロントの正面パネルだけを交換した後が残っていたのだった
「ってことは、理由がわかんないよ、笠木工房に聞いてみよう。何か知ってるかもライトの取り付け点ってってババロアちゃんと同じ形状だよねえ」
「そうですね。あの辺の大型車たちはほとんど笠木工房で修理でしたからね。どっちもボディの銘板は同じメーカーだし」
そう言いながら僕は笠木さんに電話して聞いていた
『MR510ですか?うーん、記憶にないから親父に聞きますよ』
「よろしくお願いします」
僕が電話を切って5分もしないうちに笠木さんの親父さんから電話がかかって来た、さっそくスピーカーモードにして聞いていた。
「佐野です。お電話ありがとうございます」
『笠木です。息子に問い合わせたMR510なんだけど。ボディビルダーが左のドア前の防錆をしくったのか?塗料の乗りが悪かったのか?下側から塩カルにやられて錆びてボロボロになってパネルに穴が開いたんだよ。前ドアでしょ。どうも防錆処理と防水処理が甘くてベンチレーターのところに塩水がたまったみたいだよ。悪いことに製油所の運転手がかなり気にしないって言うか、鈍感って言うかさ、穴があくまで気が付かなくて、気付いた時には左側のパネルがズダボロだったんだ』
「ああ、ひどいなあ。そうなんですね」
『しかも、左右のライトの取り付け部のところの天辺に防水が甘くて隙間があってそっから水が入って右も左もライト周りのパネルが裏側から錆びて取り付け部は下側もボロボロ、ボディーの方もライトの取り付け部に隠れてて、ライト周りを修理しようとした時は既にパネルに大穴が開いていたんだよ。それでやむなく左右のべセルとフロント周りのパネルを交換したんだけど。悪いことに2灯ライトのベースも腐ってて交換必要なんだけど、したくてもその部品が当時欠品しちまって納期が出なくてやむなく在庫があった4灯に交換する羽目になったんだ。フロント周りのパネルを全部ばらして防錆処理しなおしした。その時に4灯に交換したんだよ。MAR480は元から4灯、出たばっかりのB型の後期型ボディで、山陰地方から富山辺りで結構見たボディだよ』
「そうなんですね。MR510は事故ではなく、錆ですか。MR510の67年式にしては珍しい4灯と思ったんですよ」
『そう言うことだ。しかもMR510は高尾製油所でフル稼働中だったんで修理は納期優先。それがあってだな、やむなく左右ともフロントのパネルを交換するからついでにライト周りの部品は在庫が有った4灯に変更だな。何ならオリジナルの2灯ライトの部品は息子が持ってるから送るぞ。オリジナルに戻すのもいいかもな。高尾さんはMR510は機会あったら2灯に戻したいって言ってた。製油所の爺さんに頼まれて俺の親父が部品を集めたんだ。俺の息子の部品を捨てらんない性格は俺の親父と一緒でなあ。使ってくれ、送るよ』
「ありがとうございます。お願いします。部品代を後で教えてください」
『いいよ。部品代はロハだよ、どうせうちじゃあ使い道のないデッドストックだ。すぐに送るよ』
「はい。では着払いで」
『OK、隆義のところに送っとく。受け取りよろしくお願いいたします。』
僕は電話を切って聞いていた隆弘たちに説明した、4灯になったのは事故ではなく錆でということ、修理の納期の関係でやむなく4灯にしたこと、事故の修理は一回もないことを。
「悟瑠さん、実はライトの結線のところが擦れてて銅線が時々ボディの鉄板と接触してるんですよ。漏電の原因でしたよ、どうもありがとうございます。ハーネスを全部引き直すんで2灯の部品が来たらフロントを全部交換します。」
「隆文、フロント全部交換やるのか?パネルごと?」
「もちろん、2灯ヘッドライトのスタイルがレトロでいいと思います。縦にヘッドランプとフォグが並んでるのが何とも言えないですよ」
「そうだな。やるなら俺も協力するよ」
「オリジナルのスタイルの良さが旧車の魅力ですよ。フロント周りは全面防錆鋼板にします。ふへへへへー楽しみ」
旧車に沼った隆文だった。
隆弘と隆文も古いバスを買って始まるバスライフは順調
TSカーレースではトラブルが起きて4着に沈んだ隆文
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すみませんが10月中まで本業多忙で更新が不定期になります
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