第六十話 仕事を片付けて愛理沙ちゃんのために峠でバトルする悟瑠たち
再度仕事が来て片付けていく悟瑠たち。
片付いたと思ったら愛理沙ちゃんのお願いで峠に行って
その後に雅子たちは百合ちゃんの持って来た仕事で
主な登場人物
佐野 雅子 ヒロイン 24歳 4月生まれ
峠のバトラー⇒TSカップレーサー、8勝目にトライ中。
家業の佐野自動車販売の中古車販売店兼整備工場の経理、整備の段取り担当の副社長
前職はスーパーの経理兼販売促進
所有免許;大型2種、牽引運転免許、2級整備士免許、危険物乙4、玉掛、ガス溶接、救急救命士
レース以外の趣味:
オフロード走行:大型の2軸総輪駆動のエンジン、サスペンションをいじって自分好みした。
パソコン:プログラム組むのも好きでシステムを自力で組める
所有車
バス:ニジュちゃん、エムエム君。
大型総輪駆動:藤子ちゃん、ボンネットダンプ:カービーちゃん
小型車:イチゴちゃん
僕;佐野 悟瑠 雅子の兄 27歳、3月生まれ 妹の雅子より4学年上
家業の佐野自動車販売に就職して6年目、整備工場の工場長兼副社長。
所有資格 2級整備士、MIG溶接機、レーザー溶接機、ガス溶接、玉掛。免許は大型、けん引免許
カーキチ、スペックオタク
所有車:
バス:ゴーゴーくん、ロザン君、なごみちゃん、ルーシーちゃん、パン君、ニイナちゃん、キューピーちゃん、獅子丸くん、フーセンちゃん。
大型総輪駆動:サイバー君
小型車:サンゴちゃん、三四郎君
加藤 隆弘 27歳
悟瑠の同級生で親友。専学卒業後家業の内燃機整備工場に就職、佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。悟瑠の幼馴染。
所有車両
大型総輪駆動:ラッシー君 小型車:エスティーくん。
加藤 隆文 24歳
隆弘の弟。雅子より一学年上だが、3月生まれで実はほとんど同い年。工業高校から家業へ就職。佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。
所有車
大型総輪駆動:まゆかちゃん クロカン4×4:ロックン
趣味:TSカーレース
松尾 百合 24歳
雅子の親友、丸松建設のお嬢さん。雅子と同じ高校卒業して同じスーパーに入って家業に転職。
所有車
バス:武蔵君、ラムちゃん
総輪駆動:美浜ちゃん、ボンネットダンプ:徳次郎君、小型車:エッちゃん
現在は丸松運輸の副社長 TSカーレーサー
松尾 譲 26歳 百合ちゃんの兄 丸松建設の副社長
所有車
バス:ビーフさん、ボンネットダンプ:旦那さん
小型車:KE70HT
小笠原 愛理沙 23歳 TSカーレーサー
雅子の同じ学校の一つ後輩。小笠原食肉のお嬢さん。元レディス総長。2児のママ かつて雅子がいたスーパーに勤務 大型免許所持
所有車:小型車、GXE10
バス:ババロアちゃん
400ps/2400rpm、140kg・m/1400rpm
小笠原 哲史 26歳 愛理沙の兄。別の会社に勤めているが家業に転職検討中
所有車 小型車:AE70セダン
バス:マーシーちゃん
300ps/ 2900RPM 80kg/1700~2350RPM
長野さん 29歳。
バス会社に居たが欲しい車が排ガスの関係で住んでいる地域で登録できなくて雅子がいたスーパーに転職。今は愛理沙ちゃんの上司
所有車バス:
9メートル自家用 190ps/2900rpm、52kg・m/1700rpm
9メートル観光 175/2900rpm、46kg・m/1800rpm
9メートル路線 190ps/2900rpm、52kg・m/1700rpm
小型車:NE
狩野さん 29歳
運送会社にいたが首都圏の事業縮小で地方に転勤になったが偶然募集していた松尾建設に転職
所有車 ダンプカー
6×4V10ダンプ
V22C⇒V25C 450ps/2200rpm、165kg・m/1400rpm
6×4V8ダンプ
F20C 355/2200rpm、135kg・m/1400rpm
小型車:ND
「お兄ちゃん、ふへへへへー、昨日のミーティングの後に百合リンと話して、丸松運輸から稼働率の低いKB112D買っちゃった。ママのデコちゃん見てていいなあって思ってたのと昨日ボンネットバスのデビちゃん運転して更にいいなあって思って。エンジン調子悪いから新しいEP100当たりに換装しようとおもうの」
「なんだってえ?」
「うん、それで、お兄ちゃん。悪いけどカービーちゃんのエンジンスワップとパワステとエアコン、エアサスにするのよろしくお願いね。ニックネームはカービーちゃんね」
「雅子、ちょっとまて、ババロアちゃんのターボと6トンボンネットエアサスの仕事があってパン君の積み替えが進んでないのに」
「悟瑠、デコちゃんのクレーンの工事もよろしく。加藤運輸のトラクターミッションMTに換装も」
「おおおおお」
天を仰いだ僕だった。
「お兄ちゃん、とにかく加藤運輸のトラクターのMT化が先でしょ」
「だな、部品は揃えたから換装するか。このところ加藤運輸のトラックってMT増えたよね」
「悟瑠、親父は故障ばかりのAMTにはもう辟易してるよ。荷主には怒られるし。ドライバーも乗りにくいとか言ってるし」
「だよなあ」
「それなんで、うちはAMTは導入しないって言ってるよ。ない時は海外向けのでも持ってこいだとさ」
「それもよしだろ。外資系のAMTはボロがおおいよな」
「整備しててそう思う。無理効かなくて壊れるし、交換部品は高いし納期はかかるから預かった車は駐車場の置物になっちまうんだよな」
「そう思うよ。もう辟易だよな。クラッチペダル無いから無理するとエンストしてしゃくりできなくて嵌って結局壊すんだよな」
「そうそう、最近だけど。11リッターエンジンの樹脂オイルパイプの割れトラブル出てきたな。原設計が陽気なラテン系の会社じゃあ仕方ないか」
「レバノン人がえげつないくらいにコストダウンしまくって故障引き起こしてだろ」
「そうそう、中国のイミテーションの金属製の方が耐久性良いってどういうことだって。ロシアの整備動画でもひどいって言われているよな」
「信頼性はシンプルなほうにかなわないか」
僕らはそういいながらトラクターのミッション載せ替え作業をやっていた。
突貫でやって2日で終わらせると動作確認して納車していた。
同時に鈴木さんたちに頼んでデコちゃんのクレーンの工事をやっていた。
「工場長、フレームに補強入れないとヤバいですねえ。この会社のはここが薄いんですよ」
「だよねえ。長年積みっぱなしだと歪みますもんね」
「さすがですねえ。わかりますよね。それなのでここから全体的に板を入れて、閉断面にします。ここは更に重点的に補強しようと思いました」
「厚みはいくつで?」
「6mmがいいかなと」
「ですね。おまかせします」
僕らは次のババロアちゃんのターボ化の検討していた。
「クランクの強度なら400psは大丈夫だなあ。それで行くか?」
「だな。幸い、エンジンルームは旧車だけあってスカスカだから行けるよ」
「ミッションも8DC9ターボのが使えるだろ」
「うん、それに載せ替えてインクラも追加だな」
「見たらレイアウトは成り立つよ。よし。部品揃えて行くぞ」
部品を発注して来るまでの間に6トンボンネットのエアサスの検討していた。
「やっぱりフレームのここに補強入れないとだめだろ」
「だなあ、ちょっとフレームのここに負担がかかるからなあ。シャックルの間をがっちり補強だな」
「じゃあ、決まりだな。ここに補強入れてリーフは一番だけにして。常時はエアばねが支える方式だな」
「他にはあるかな?」
「4バッグにしてシャックルのところで支えるって手もありだなあ」
「そうすると補強不要かあ」
「そうなんだよ。前も同じくフルエアにしてシャックル取り付け点にエアバッグを置く方がいいかと思って来た。リーディングアームとラテリンは必須だけど」
「後ろも同じだよな」
「まあな。後ろはAアームの方がいいだろ。前開きか後ろ開きどっちがいいかはむずいか?」
「前開き一択だろ。後ろ開きだとカーゴならOKだけど、ダンプじゃあレイアウトが無理だ」
「そうだな。とにかく後ろは4バッグにしてやってみようぜ。俺たちのはリーフを生かしたけどこっちは完全にリーフを捨ててだな」
「やってみよう。前はリーフかなあ」
「そうだなあ、総輪エアの部品が合えばだな」
「そうしよう」
僕らは部品を調べてうまくいくか検討していた。そうすんなりとはいかなそうだが後ろは中型増トンの部品がちょっと加工すれば良さそうなのでその部品でやろうと決めて準備していた。
前は輪重変動を考えるとフレームを補強して僕らの総輪駆動と同じ方式にすることで進めていた
「悟さん、ババロアちゃんのターボ化うまく行ったよ。さすが社長やることすげえよ。エギゾーストマニフォールドバッチリでいいよ。排気干渉すげえ少ない」
「親父は若い頃そういった加工やってたからって聞いたぞ」
「隆文、俺達の親父の会社の車を改造してたのは悟瑠の親父さんたからな。ババロアちゃんみたいなV8のトラックにターボなんてお手の物らしいよ。路線のトラックもターボにしてたなあ」
「親父の昔は整備工だったからなあ」
「そうそう、うちの親は元々絵営業だから意外にって言うかメカは苦手って言ってたな。ボディ、フレームの修理は悟瑠のところに頼んでてエンジン内部だけは叔父さんがやってたんだよな」
「親父はエギマニだけは整備工場からのつながりでやってたんだよ。フレームとのレイアウトの関係でエンジンよりもフレームの方でやった方がいいってことで」
「叔父さんが爆発事故でけがしなかったらここにいたんだろうけどな」
「まあ、相手のミスだから補償は出たようだけどな」
「と、言っても俺たちや、悟瑠の先生だもんな。今は親父の会社で運行管理の副社長やってるけどな」
そんな雑談しなからババロアちゃんのターボ化したエンジンをかけていつものように放置していた。
重要なのはエンジンルームの通気口と言えばいいのか?空気の通りがいいようになっているはずだがいかんせん設計が古いので床下やボディサイドから空気を取り入れて通気口から排出するようになっておらずダクトを作って追加、ラジエターファンを駆動するのも最新のものに交換してオーバーヒートしないように気をつけていた。
「隆弘、次は6トンボンネットのエアサスだな」
「ああ、フロントはリーフを2枚まで抜いてバンパーラバーのところにエアベローズだよな」
「うん。伸びのストローク取りたいから総輪駆動と同じでフルに伸びてる時は離れてもいいようにしようぜ」
「もちろんだ。荷物をいっぱい積んで縮んだ時に当たってその時にエアベローズが支えればいいようにする。僕らの総輪駆動でやってることの応用だな。ラテリンもドラッグリンクに合わせて追加だな」
「隆文、わりいが明日はまたテスト行って愛理沙ちゃんの家に納車してくるよ。隆弘と行ってくるから。ババロアちゃんの重量なら2軸総輪駆動レッカーで行けるだろ」
「その次はカービーちゃんとパン君ですか?」
「まあな。急いでやんないとデコちゃんクレーン化も無理だな」
「そうだ、うちのトラックのAMTが壊れて換装頼まれたよ。部品がちょっと遅れててもう少しかかるって言ってるからその間に終わらせればつながるな」
「そうだな。MT探してだろ」
「おう。そうだ、明日はカービーちゃんのエンジンも引き取りに行くんだろ」
「おう、ついでだな。帰りは隆弘も運転してみろよ」
「それは楽しみだ。隆文。仕切り頼むぜ」
次の日、僕と隆弘はババロアちゃんのテストに行っていた。
いつもの道を全開で走ってどうなるか見るのだった。
出力を310psから400psにあげ、トルクを104kgから140kgにあげた分相当走りやすくなったと思っていた。
レブリミットは同じ2600rpmなのだが、黒煙対策で2400rpm以上で燃料を絞ったので少し高回転は苦手となったところはご愛敬か
『悟瑠。いい調子だよ。黒煙ほとんど出てない。生の時は高回転で結構吐いていたけど今は皆無だよ』
「それは良かった。黒煙吐かないように2400から上で燃料絞ったから2400超えるともう使えないか。2600迄の200回転はマージンだな」
『電制ポンプもいい仕事してるな』
「ああ、いい仕事してるよ。普段なら2000+で走れるからいいよ」
『下りは変わってないんだろ」
「まあな、愛理沙ちゃんなら心配ない。お兄さんの哲史さんの方が心配だ。それで液体リターダー入れたんだよ」
『だったなあ』
僕らはハンズフリーでしゃべりながら下っていた。
ウッディパラソルについてたまたまお店に来ていた笠木さんのお父さんにババロアちゃんを見せると
「これかあ、親父が高尾製油所に紹介した車だよ。綺麗に直したもんだ。鈴木さんたちが直したんならルーフは亜鉛メッキ高張力鋼板だろ。エンジンは8DC8とターボか現代的な走りができそうだな」
「はい、ルーフの溶接はレーザーにしてリベットはやめました」
「そのほうがいいよ。シーラーも要らないし、モノコックにも亜鉛メッキしたんだろ。いい具合だ。そうだ。俺の販売車で高尾製油所の食用油扱うから挨拶に行ったら高尾製油所のバスが綺麗にレストアされてて奴の息子の奥さんが乗ってたぞ。あれも直したのか?」
「はい、鈴木さんが同じようにやって直しました。このバスもですけど高尾製油所のバスもルーフベンチレーション取っ払ってエアコン入れてます。ルーフにはエバポと送風ファンだけにしてコンデンサーは下に置いてます。この床下のスペースを使ってます」
「それはいいなあ。また、たまには遊びに行くって伝えてくれ。それにたまにはうちにも来いっても」
「はい、ありがとうございます。」
「お、加藤のせがれだな。隆義は元気か?」
「はい、元気です。今は加藤運輸も安泰です」
「それは良かったな」
「では、失礼します」
そう言って僕らはカービーちゃんに積むエンジンとミッションを引き取って隆弘の運転で帰って来た
ババロアちゃんを小笠原精肉に納車した後お店について
「お兄ちゃん、お帰り。愛理沙から車探し頼まれちゃったよ。リースで使ってるトラックが故障続きで困ってるんだって」
「そうか、どんな奴だ?」
「ウイングがあると良いらしいの。4トンクラスで納車前にメンテしてほしいって」
「OK。もう雅子は頼んだんだろ」
「うん、ニジュちゃん買ったお店に。あそこって結構いい仕事するじゃん」
「そうだな」
「悟瑠、ババロアちゃんってすげえなあ。あのパワーならターボにするのがいいかもねえ」
「だろ。今日は雅子が会合に行くんで来れなかったけど雅子なら全開で登って楽しんでいたかもな」
「全く、お兄ちゃんが一番楽しんだんでしょ。でも400psなら愛理沙も満足でしょ」
「だと思うよ」
僕らはその日は買って来たエンジンを降ろしてオーバーホールの準備していた。
「お兄ちゃん。明日、愛理沙を連れてニジュちゃん買ったお店に行ってくるね。U-FB2WEAAがあるって。構造シンプルだからいいかなって思って3.5トン積み。最終型」
「頼んだよ。僕は雅子のエンジンオーバーホールと6トンボンネットのエアサス化の改造で手が回らない。他はなんとかパン君にRG8エンジン積んだからあとは漏れ確認しないと」
「OK。忙しいのね。じゃあ、愛理沙とお店に行ってくるね。明日はニジュちゃんで行くかな?このバスが元気だって言うことを見せるために」
「うん、それがいいかも」
僕はその後は6トンボンネットに来た部品を組み込んでエアサス化していた。
エアサス化で必要となるエアコンプレッサーも電動を追加して更にエアタンクも増設しておいたのでエア不足になることはないだろうと思っていた。
エアサス化が終わって納車できるようになると
「悟瑠、何とか出来たなあ」
「ああ、何とかなったようだ。納車の準備だな。その辺を走って問題ないか確認してパン君の試験のついでに行って来るよ」
「やっとパン君が出れるか。思った以上にかかったな」
「まあな。色の塗りかえも含めるとそんなもんだ」
「よし、これで少しは工場がすくな」
「ああ、残りはデコちゃんをクレーンにすることと雅子のカービーちゃんのエンジン載せ替えだな」
「現代のエンジンに載せ替えるのは部品確保でいいよ」
「ああ、この車は特製のコンロッドでストロークを150mmにするよ。325psの115kg・mにしておくからまあ大丈夫だろう」
「それなら雅子も満足だろ。普通に走るだろ。それにしても雅子がボンネットに興味示すとはなあ」
「バスを探してきそうで怖い。ボンネットバスを」
「そうなったらエンジン積みかえの方がいいだろ」
「そうだな。じゃあ、明後日は僕と雅子で6トンボンネットを納車に行ってくる。ついでにパン君の全開試験もやってくるよ」
「納車で代金回収とかあるからな。任せたよ。」
「隆弘にはデコちゃんをクレーンにするのとカービーちゃんのエンジンオーバーホール任せるからよろしく」
「おう、それにU-FB2WEAAがの整備があるだろ。それもやっておけばいいんだろ」
「ああ、悪いけど頼むよ。オーバーホール済のW04エンジンは倉庫にあるよ。いい子ちゃんの時に使ったエンジンが」
「そうだな。調子見て載せ替えて納車だな。悟瑠。ターボはいいのか?」
「隆弘、いいこと言うなあ。そうかあ、欲しいといいそうだな。ターボにして載せ替えの方がいいだろ」
「FDはどうする?」
「W06用に変えれればいいけど無理しなくていいよ。そのままで行こう。ミッションはターボ用が良いな」
「方針は決まったな。ババロアちゃんみたいにターボが欲しいって言われるなら最初からつけておけばいいんだな」
「それで行こう」
僕と隆弘は今後の方針を決めて仕事を進めていた。
次の日、雅子が愛理沙ちゃんを連れてU-FB2WEAAを見に行った。
その間に僕らはデコちゃんをクレーンにすべくフレームを開断面から閉断面にして補強、防錆処理をしてクレーンキットをのせていた
昼過ぎに雅子が帰ってきて
「お兄ちゃん、この個体結構調子いいよ。でも愛理沙はターボいるって言ってるの。ターボに出来るかな?」
「うん、もう準備してある。乗せればOKで他は確認したよ。メキシカン料理の移動販売車に準備したいいエンジンで全く問題なし」
「お兄ちゃん、それに載せ替えね。その後は?」
「明日は6トンボンネットの納車行くから雅子一緒に来てくれ。僕はパン君運転するからついてきて」
「OK。U-FB2WEAAはターボにするのね。もう準備とはさすがね」
「もちろん、そのほうがいいでしょ。メキシカン料理の移動販売車と同じすれば。愛理沙ちゃんのババロアちゃんのこと思い出して準備したよ」
「OK。愛理沙には言っておくよ。って言ってもパワーは175ps/3200rpm 42kg・m/2000rpmならちょっとはいいいかな」
「もちろんだよ」
僕らは納車の準備していると
「こんにちは」
「あ、愛理沙、どうしたの?」
「メキシコ料理販売車って10都市対応ってできるのかなって」
「できるけど、DPRつけて届け出れば」
「どのくらいでできるんですか?」
「お値段?それとも時間」
「すみません、両方」
「DPRは在庫次第で50万。加工費5万かな」
「やっぱりね」
「愛理沙のお店の車で行けるのは。ええと。お兄ちゃん、移動販売車で10都市対応してるのってどれだっけ?」
雅子が聞いてきた
「KC-、KL-で始まるのは全部いけるよ」
「え?そうなんですか?」
「酸化触媒とDPFつけてあるから煙は吐かないはず。BDFならほとんど詰りはないはず。それなんで問題ないと思うけど」
「そうですね。お兄ちゃんいつの間に」
「ああ、課長の綿貫さんに頼まれてやったよ」
「課長は何も言わなんだから」
「まあ、あの時はメキシコ料理販売車で百合ちゃんにおこられてて言えなかったんじゃないかな?ひどいエンジンだったんだよね。お兄ちゃん。エンジンルーム内オイルだらけでお掃除大変で」
「課長はこれよね」
「ああ、確かに。あの時の百合リンの剣幕ってすごかったんだよ。予算オーバーと納期かかるっていって。課長がたじたじ。販売開始迄間に合わないとか言ってて」
「百合先輩って普段はおっとりだけどキレるとすごいもんね。以前、ベテランのパートの人がこそっと落とした肉を洗って戻そうとしたの見つけて怒ってた時なんてあの剣幕はもうすごかった」
「百合リンは曲がったことが大嫌いだからね」
「愛理沙ちゃん。お弁当の販売車はいけるよ」
「そうですね。什器は違うけどいけるかも」
「あのお弁当の販売車には鉄板焼き機付いてるよ。クレープ焼けるようにしてあるからそれつかえればタコスとかブリトースト焼けるよ。換気扇強で回さないとだめだけど」
「あ、悟瑠さん、あたしより詳しい。そうか、良い手ですね。ありがとうございました。課長にはそう言っておきます」
「什器組んだのお兄ちゃんだもんね。どこになんの機械があるかわかるよね。愛理沙、お兄ちゃんはもうU-FB2WEAAにターボ組んでるって。175ps/3200rpmと42kg/2000rpmにしてるから大丈夫でしょ」
「ありがとうございます。とても助かります。ここまで乗ってくるときも結構非力でやばいかなって思ってたんです。これならいいですよ」
そう言って愛理沙ちゃんは帰って行った
その後、僕らは6トンボンネットの納車準備とパン君の全開テスト準備していた。
次の日、僕がパン君で全開テストして問題ないことを確認、そのまま高尾製油所に6トンボンネットを納車して帰って来た。
帰り道、高尾さんと一緒にこの前のお店でお蕎麦を食べてトラック、バス談議に花を咲かせてしまっていた。
「お兄ちゃん、明後日の土曜日はあたしたちお休みだよね」
「うん、このところ日曜日しか休んでないから疲れがたまってるかも」
「でさあ、愛理沙からまた走り方教えてくれって来てるの」
「どうしたんだい?」
「ほら、この前、菅原ってやつが愛理沙に挑んで負けちゃったでしょ。悔しかったらしくって今度はあっちのホームのところでだって」
「まったくよ。それで走り方か」
「そこならあたしがバトルした時のデータあるから」
「うん、そうだな。ダウンヒルでも三四郎君で行くよ。久しぶりに峠もいいな。雅子はやめておけよ。TSカーレースに出てチャンピオン取ってるから」
「うん。クレーン付きレッカーで待機ね」
「ああ、万一のためな。ドライバーはぼくが行くよ、ダウンヒルは隆弘で」
「あーあ、チームブルームーンズ再始動ね」
「雅子や隆文が出ちゃまずいだろ。僕と隆弘ならレースドライバーやってないし」
「そうかあ。それなら。ダウンヒルなら隆弘さんの車ね」
「おう」
「わかった、愛理沙に言っておくよ」
「作戦は簡単だ。愛理沙ちゃんがチームのリーダーってことにして下っ端の僕らに勝ったら愛理沙ちゃんと勝負ってことにすればいい」
「隆弘さんとお兄ちゃんが返り撃ちにしてってことね」
「その通り」
「三四郎君なら結構いけるでしょ」
「ヒルクライムはダウンヒルほどノーズの重さはハンデになんないからね。それに他車種のVDC改造したAYCつけてあるから」
「なにそれ」
「設定スイッチをオンにしてステアリングを右に切ったら右前輪に軽くブレーキを掛ける。そうするとフロントデフが左輪にトルク配分するから頭が入りやすくなる。これはFY33の4WDのVDCを組んでちょっといじってあるんだ」
「全く、いつの間に?」
「ということでだ。隆弘いいだろ」
「もちろん、俺のターボが火を噴くぜ。今までは隆文が乗ってきてたけどな」
「はああ、まあいいや。愛理沙には言っておくよ」
ちょっと時が流れた金曜日の夜のことだった。
僕と隆弘、雅子、隆文、愛理沙ちゃん、百合ちゃん迄集合場所にきていた。
しかも、レディースの歴代総長から現在のメンバー迄そろっていたのだった。
「あ、小笠原。おめえ」
「何を言ってる。うちのチームのリーダーに仕掛けるならまずは下っ端の俺達をを倒してからだろ」
隆弘が言う
「下っ端なあ」
「そうだよ。あたしはチームブルームーンズのリーダー。その手下を倒してからだよ。この前も負けたんだろ。10年はやいわ」
相手に向かって啖呵を切る愛理沙ちゃん、普段のママの顔は消え去り、凛として敵に立ち向かう総長の顔になっていた。
「チッ、そういうなら。いいぜ。今度は俺がヒルクライム。もう一人がダウンヒル」
「いいぜ。じゃあ。最初はヒルクライムだな」
「いいや。先にダウンヒルだ。俺が出るのはトリだ」
「ちょっと練習するからな」
隆文と僕は流して往復するとデータで合わせてきたセッティングにずれがないか確認していた。
「悟瑠。全く問題無しだ」
「こっちもだ。雅子の解析の精度が上がっててばっちりだぜ」
「悟瑠さん、隆弘さん。いいんですか?」
「こら。愛理沙。さん付けだめじゃん。今は愛理沙がリーダーなんだかんね。あたしたちは手下」
「はい、行きますよ」
相手のところに行って
「おう、こっちはいいぜ。ダウンヒルは隆弘。頼んだぜ」
「おう。リーダー。行ってきます」
隆弘がメットをかぶってシートベルトを締めた。
「え?メット?兄貴が本気だ。雅子。レッカー準備」
「そうなの?」
「ああ、隆弘が久しぶりに見せる本気モードだ。クラッシュも恐れずだ」
「うん、わかった」
雅子がクレーン付きレッカーのエンジンをかけた
「じゃあ、行くぜ」
「リーダー。各コーナーに手下配置しました。手下に実況するよう言ってます。ナンパしようにも全員喧嘩百戦錬磨の猛者です」
由香里という12代目のレディース総長が愛理沙ちゃんに話しかけてきた。普段は7代目と言われるのだが今日はリーダーと呼ぶ
「由香里、ありがと。みてて。隆弘の走りと悟瑠の本気の走り。やばいからね。動画で見たけどレースやってるあたしがやばいってビビるの」
「はい。メンバーには動画撮るよう言っておきました」
「由香里、もちろん。車にはドラレコついてるけどね」
そう言っていると、ブロロロローンと2台のエンジンが咆哮をあげ並んでレーシングしている。
「レディー。ゴー!」
スターターの両手が下がって2台の車が全力でダッシュしていった。
相手はCP9A、どんないじり方しているかはわからないがブレーキはGSRの物を移植してあったのと5MTからすると相当走りに振ったのだろう。
「そ、リーダー。なんか加藤さん一歩ひいたような」
「ああ、兄貴は多分、後ろから見て途中で抜くだろ。いつもの作戦だな。相手はこっちの情報がない。でもこっちには百合ちゃんや愛理沙ちゃんから集めた情報がある。弱点もわかってるよ」
「隆文、わかってるじゃん。ってことは高速の後の突込みかしらね」
「兄貴は右コーナーの後に左がくる高速で抜きに行くよ。昨日も自分で撮った動画何回も見てた。それにデータも。俺が見てもよくわかんないデータだけど兄貴は既に勝利の方程式を解いてるよ」
「まあな。隆弘は理論派だかんな。攻め込めるところを見つけていくよ。多分ワンちゃんに掛けたよ。慎重派なところもあるから雅子の言うようにそこで抜けないなら高速の突込みもあるさ。ブロック方法もわかってる」
『こちら分隊1.総長、今』
「こら。今日はサブだよ。次間違えたらしばくよ」
『すみません。サブ。2台ともピッタリで行ってます。あああ、くっそー、ブロックしやがった』
「ありがと。」
『サブ、分隊2.いい勝負です。って言うか立ち上がりはうちに分がありそう。インからいったけど。次のアウト?うーん抜けないか』
「ありがとう。次は3かな?」
『はい、サブ、3.おおお、並走してる。今度はアウトから』
「アウト?」
『うわあ。がっちりかぶせてる。行ける行ける、いったー』
「いった?」
『次は左コーナー。完璧。抜いたー』
「抜いたって」
『5です。グングン引き離してる』
「ありがと」
『高速です。いけええ。やばい。この突込み。やばいって』
「やばいって何よ?」
『はあはあ、突っ込んでくるかと思った。後ろがブレーキ踏んでも全開なんです』
「えええ?」
「出たぞ。兄貴のブチ切れモード」
『7です。ゴール間近。もう何秒?ぶっちぎり。やばいです』
「OK、ありがと」
『ゴールです。今通過。勝ちましたー。ええと。後ろがやっと来た。あれ?白煙吐いてる』
「OK。リーダー白煙吐いてるそうです」
「うん、ありがと。悟瑠。オイルに注意ね。乗ったらやばい」
「リーダー。OK。雅子。待機頼む」
「うん」
雅子はエンジンをかけっぱなしにしているクレーン付きレッカーの運転席に乗った。
「次はヒルクライムだ。俺が行く」
「悟瑠。いい?作戦は」
そう言うと、空いているドアから顔を突っ込んできていきなり愛理沙ちゃんがキス
「勝利の女神のキスよ。勝ったから」
「ありがと」
その場面を悔しそうな表情でみていたのは相手のCN9Aのドライバーだった。
「全く、リーダーは」
「由香里。勝ったわよ。悟瑠の本気の走りを見てて。みれるのは多分最初で最後よ」
「はい。こちら拠点A次は動画絶対撮ってよ」
『『『『『『はい』』』』』』
僕はヒルクライムのスタート地点、すなわちダウンヒルのゴールに行った。
隆弘とレディースのメンバーが5人いた。
「やるぞ」
「じゃあ、こっちでスタートやりますよ」
そう言うと派手な特攻服を着た大柄な女子が出てきてスタートのための両手をあげた。
「レディー。ゴー」
"どん、キャリキャリ、パシューン"三四郎君が猛ダッシュする。最高出力600psが炸裂。一気に隣のCN9Aをおいていく。
第一コーナー、ややオーバースピード気味で突っ込むがAYC+LSDがグイグイと車をインに引っ張りコーナーをトレースしていく。
後ろは全く見ないで迫りくるコーナーを抜けていく。
時につないでいるSNSライブから"こちら7、全然追いつきませんぶっちぎり"とか"やばい、何なの、曲がるの?えええ?曲がったー"とか"こちら1、後ろ全く見えないよ。すげえやべえ"と聞こえてきた。最後のコーナーを曲がるとゴール。止まって戻っていくと
「悟瑠。よくやった。さすが。」
愛理沙ちゃんがにっこりしていた。
どうやら後ろは途中でエンジンブローしてリタイヤらしい
「お兄ちゃん、勝ったね。愛理沙って大胆ね」
「いいでしょ。このくらいやればもう言い寄ってこないでしょ」
そう言うと、車を降りた僕に抱き着いてきてもう一度キス
「はああ、リーダー、これじゃあねえ」
由香里ちゃんが呆れていた。
全員がそろったところで
「みんな、今日は本当にありがとう。雅子先輩。動画をあげたらアドレスお願いします」
「はいよ。そうね。ドラレコの動画もあげておくよ」
「はい、ありがとうございます。あたしたちも7代目に続けるよう勉強します。みんな。解散。無事につくのよ。おうちついたら連絡ヨロ」
「「「「「オスッ」」」」」
最後にレディースの挨拶してみんな帰って行った。
「お兄ちゃん、愛理沙をおうち迄送ってね。あたしアジトに帰るから。愛理沙ったらみんなの前でお兄ちゃんをカレシにする宣言したようなものね」
「はい。先輩、今日はレッカー車ありがとうございました」
「隆文、サンゴちゃんうちに頼むぜ。ダウンヒルの予備車なんだが出番はなかったな。隆弘、衰えてなかったな。じゃあ、戻ろうか?」
「久しぶりでさあ。ほんとはまだ膝が笑ってるよ。クラッチ踏めるかな?百合ちゃん。動画ありがと。おかげでイメトレできたぜ。雅子。データは正確でよかったよ。ばっちりセッティング決まったよ」
「兄貴さすがだったよ。兄貴もレースに出ればいいのに。あんなに速いんだぜ」
「はあああ、隆弘さん素敵」
そう言って車に乗ろうとしていた隆弘に抱きついてキスしていたのは百合ちゃんだった
「あははは。みんな熱いわね。お兄ちゃん。隆弘さん。お邪魔虫は消えるね。あ、そうそう。隆弘さん。百合リン送るのお願いね。ちなみに百合リンも明日はお休みよ。意味わかるわね」
「そうだな。兄貴は早くて2時間後か」
「たかふみー!!!」
「おお怖っ」
「きゃはははは」
そう言うと雅子と隆文はエンジン音を響か帰って行った。
その日、僕がアジトに着いたのは次の日の明け方だったのだ。
休みが終わって会社に行くと
「悟瑠、隆文。まったくおめえらは隆義が呆れてたぞ。聞いた話じゃあ。コースレコード二人とも更新してて、しかも隆弘と走った方も5秒以上更新してたとか」
「そうですか?社長」
「ああ、あそこは隆義が当時3Sを乗せたGZ10で作ったんだが、なぜかCN9AでもCP9Aでも抜けずにいて10年前にやっと更新したんだよ。それがSW20の松尾のお嬢ちゃんだ」
「えええええ?百合リンが?」
「そうだよ。奇跡のタイムと言われていて抜けなかったんだ。雅子も走ったろうけどバトルの時は無理だな。理想ラインを走れるわけはないから」
「そうなのか。隆弘はそれを抜いたのか?バトルで」
「そう、松尾が言うにはお嬢ちゃんメロメロだってよ」
「へええ、隆弘さん、良かったわね」
「悟瑠もだかんな。ヒルクライムはトップがあのCN9Aだったらしいけど10秒以上更新して不倒の記録って言われてるってよ」
「はああ、親父たちのネットワークと来たら」
「ってことだ。今週は加藤運輸の車のミッション載せ替えとデコちゃんのクレーンとスーパーの3.5トンのウイング改造だろ。雅子のカービーちゃんのエンジン換装だろ仕事が詰まってるぞ」
「はいよ」
そう言ってると、ドリュドリュドリュドリュというV8エンジンの排気音を響かせて丸松運輸のV8トラクターが超低床船底に結構錆だらけのZH110を積んで百合ちゃんとお兄さんの譲さんがきた。
「百合リン。これどうしたの?」
「うん、先週。仕事で山中の建屋解体に行ったら中に眠ってたの。公道復帰できるかな?いいことに書類はグローブボックス入ったままで綺麗だった。ほら」
百合ちゃんが書類を見せてきた。
「ということで隆弘さん。この車の修理して公道復帰お願いします。あたしが乗ることにしたの。ニックネームはゼットワンね」
「百合リン、美浜ちゃんはどうすんの?」
「うん、ママが乗るって。このところ山間部の足場の悪いところに行くことが増えててデビちゃんやでん六くんはLSDあるけど2WDは無理であたしの美浜ちゃんを取られたの」
「それで?載せ替えるエンジンあるかなあ。無いとパワーアップできないって」
「エンジンは任せます。ゼットワンって前後のデフにもロック有っていいから直してほしくって。50年以上前の車だけどよろしくお願いね」
「百合ちゃん。公道復帰承知しました」
「よろしくね、ダーリン」
そういう百合ちゃんを不思議そうな顔して見ていた親父だった。
僕らは必死に笑いをこらえていた。
仕事がやっと片付いたかと思ったら峠でバトルする悟瑠たち
雅子が今度はボンネットを買ってその次は?
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